CULTURE

坂本龍一特別上映は必見。超話題! ニューオープンの「東急歌舞伎町タワー」で極上シネマ体験を

■必見の坂本龍一特別上映

4月14日に開業し、すでに東京の新名所入りしている新宿・歌舞伎町の「東急歌舞伎町タワー」。推しを追求することをテーマに、飲食はもちろん、リアル脱出ゲーム、クラブ、ライブハウス、舞台などなど、ビル中にエンタメ要素をぶっこみまくった新施設よ。とはいえ、それだけ聞くと「あー、お若い方向けよね……」って思っちゃうそこのあなた! ノンノン。ガチでオトナ向け、というか、オトナしかこの楽しみ方わかんねーだろ、ってところも入ってるんですのよ。それが9・10Fに入っている映画館「109シネマズプレミアム新宿」。

いやマジすごいのよ、ここ。4月最終週末の上映スケジュールをみると、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』や『シン・仮面ライダー』などの全国公開作品もあるし、おかわり客続出の『RRR』や『トップガン マーヴェリック』、ファンムービーの『BTS:Yet To…』や『中森明菜イースト・ライヴ インデックス23 劇場用4Kデジタルリマスター版』なんてのもやってたり。

いわば、全国公開の話題作+コアなファンの皆さん寄ってらっしゃい観てらっしゃい! というセレクトをしてるのね。このプログラミングも他のシネコンにはないからさすが、なんですが、なによりすごいのはオープニング企画として5月18日まで開催の「坂本龍一 Ryuichi Sakamoto Premium Collection」。追悼企画……ではないのよ、これ。結果、追悼企画になっちゃったけど、そもそもこの映画館では、シアターの音響監修と館内音楽を坂本さんが務めているから、坂本さん関連作をドドドッと上映しちゃうんだから~、という企画。サントラを手掛けた『トニー滝谷』(05)や『天命の城』(17)、懐かしの『シェルタリング・スカイ』(90)に『戦場のメリークリスマス』(83)など(戦メリなんてなんと35mmフィルム上映よ!)。坂本さんが「世界のサカモト」として決定づけられた名作を観られるという絶好の機会なわけ。

なかでも注目は、ここでしか観られない『Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2022 +』。渋谷・NHK放送センター509スタジオで収録され、2022年12月に世界配信された『Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2022』にボーナストラック1曲をプラスした特別版よ。あたしが観に行ったのは日曜の夕方だったんだけど、まさかの満席。それも、プレミアムシートにあたるCLASS Sから先に完売してたの! 皆さん、もー、お目が高い~。

『Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2022 +』
製作:空里香/出演:坂本龍一
photo by zakkubalan ©2020 Kab Inc.

これがCLASS Sのシート。Aもいいけど、こっちは極上。

■オトナのための極上シネマ体験

と、ここで、料金について注意。じつはこの劇場、料金の高さばかりがフィーチャーされてしまってるけど、ぶっちゃけ理にかなった設定なのよ。CLASS Sは6,500円(シネマポイント会員と毎月1日は6,000円)、CLASS Aは4,500円(シネマポイント会員と毎月1日は4,000円)、ScreenXの追加料金は700円……って、えっと、テーマパーク級すよね。そうなんです、テーマパークと思ってください。それも、オトナしかいないテーマパーク。だってー、スクリーンの座席は、一人がけの革張りソファで、隣の人が全く気にならないくらいに席数を絞っているし、ちょっとだけリクラインするから最前列を含むどこの席でも最高の環境。

しかも、この料金の中にはウェルカムコンセッションと呼ばれるソフトドリンク+ポップコーン代(酒類とフードは別料金)が含まれてるだけでなく、CLASS Sだったら「OVERTURE」というラウンジが鑑賞前後に使えちゃう。おまけにですな、ラウンジが使えないCLASS Aだったとしても、館内は外の喧騒とは別世界のゆったり設計。なので、上映前に坂本さんの館内音楽を楽しんで、上映を楽しみ、帰りにちょいと鑑賞後のまどろみタイムを楽しんで、っていう、ほぼ半日コースでくつろげちゃう。ほれ、他のシネコンだと、上映10分くらい前に「〇番スクリーン、オープンしましたー!」っていうアナウンスがあったり、そもそも座る場所なく人があふれかえって雑然としてるもんじゃない。それが一切ない。というか居心地重視でできない。くつろぐしかない、という空間設計なのよ。「映画の世界にどっぷり浸って、鑑賞前後をまどろみたい」っていう余裕あるオトナなら一発で気に入る! あたし、気に入った! 次はCLASS Sのチケットをゲットし、OVERTUREでくつろぎながら、酒を飲んで映画パンフを熟読したいって思ったもん。

で、話を戻しますと、『Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2022 +』はすんばらしいです。マジで。収録場所にコンサートホールじゃなくてNHKのスタジオをなぜ選んだかってのも、観たら納得(坂本さんご自身の指名だったそうです)。闘病でやせた坂本さんが、動ではなく静のモードで1音1音を大事に弾くさまを、顔、全体だけでなく、指、ダンパーペタルの足など、一挙手一投足逃さずとらえた映像とサウンドなのですよ。激しさゼロだけど、グイッグイ引き込まれて、目の前で演奏してるみたいな感覚になるのね。これは絶対に音響のいいスクリーンで観るべき映画だわ、って思ったわ。というか、ここでしか上映しない理由も分かった。

最後にとくダネ。この映画だけなんだけど、本編上映前に数分間の特別映像が流れます。それは、坂本さんご自身のインタビュー映像。この映画館の音響設計などに関わった理由、映画街・新宿で育った思い出などを語る、最初で最後の坂本さんの言葉なの。これがいきなりエモい。彼、亡くなる前にさまざまな発言はされていたけど、SNSなどのテキストベースだったじゃない。肉声はこれがオーラスだと思うのよ。だって……(泣)。観ればすぐ分かるから! だからこそ、GWのタイミングで観に行って。このタイミング逃したら二度とこの体験できないわよ~!

OVERTUREの1人がけソファ。西口高層ビル街と違って歌舞伎町はめちゃ見晴らしいいのー!

ウェルカムコンセッション。お酒は別料金よん。

109シネマズプレミアム新宿
住所:東京都新宿区歌舞伎町1-29-1 東急歌舞伎町タワー 9・10F / 料金:CLASS A 4,500円 CLASS S 6,500円(ScreenXは700円追加)※ウェルカムコンセッション(ソフトドリンク&ポップコーン)込み

text:MASAMICHI YOSHIHIRO

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