2023年の日本映画トップクラスの傑作。『正欲』を観るべし!【よしひろまさみち】
ちょっとした時間があるとき、未見の映画やドラマに手を出したいんだけど、分かんないから好きなのを繰り返し観ちゃう……という方。映画ライターよしひろまさみちが実際に観て偏愛する作品を、本音でおすすめしますよ〜。
よしひろさん、「きのう何観た?」
『正欲』
★屈折した愛がお好きな方へ★
今年の日本映画の中ではトップ3のひとつに入るかな〜、ってくらいよくできた作品だったのよ、『正欲』。ってことで、おかわりしてきました。
主人公はこの人、ではなく、思い切り群像劇。中核になるのは5人かな。彼らに共通しているのは、「ちょっと人には言いにくい悩みと特性をもってます」ということね。これは観てからのお楽しみ。で、ここで問題になるのが、ダイバーシティ・インクルージョンでございます。
ダイバーシティって頭ではわかってても、形骸化してませんか? ってことを伝える映画なのね。インクルージョン=受け入れることがセットじゃないとダメ。ほれ、推し活って推しがない人からは理解されにくいじゃない。それよ。誰が何を推そうが、それはご当人だけのことですから。それを遠目に「あぁ、推しねー」と眺めるだけでは受け入れてないってことなの。自分と違うことを受け入れるのは、非常に難しいことだとは思うんだけど、全部を受け入れろとはいってないのよ。要は「うまい距離感でほっときあえばよろしい」ってこと。頭ごなしに否定してしまったり、受け入れているように見せかけたり。それがどれだけ当事者を傷つけるか。もっというと、それゆえに当事者はどんどん気持ちをこじらせていってしまうか、ってことをこの映画では考えさせられるわけです。
はぁ、長かった。で、あたしがこの作品で一番の推しはガッキー演じる夏月。めちゃくちゃ素晴らしい芝居なんですよ〜! 何度でもおかわりします。