長野の美しい大自然と人間の汚い部分。濱口竜介監督の話題作『悪は存在しない』、傑作心理劇です!
世界の濱口監督が
最新作を語ってくれましたよ〜
ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞、そしてアジア全域の映画の祭典アジア・フィルム・アワードで最優秀作品賞と最優秀音楽賞を受賞した、濱口竜介監督の『悪は存在しない』がついに日本でお披露目。『ドライブ・マイ・カー』で音楽を担当した石橋英子さんのライブパフォーマンス用映像を作るという企画から生まれた長編映画です。大自然と共生する人々の暮らす町に、突如怪しげなグランピングサイトの企画が持ち上がり、善意と憎悪の間に立たされる人々を描く傑作心理劇。そこで、濱口監督からオトナミューズ読者にコメントをいただきました〜。
「ライブパフォーマンスで流す映像というタイプの作品は作ったことがなかったのでかなり試行錯誤しました。なにせ音声を使わないんですから。それで石橋さんとディスカッションを重ねるうちに、僕自身が作ってきたタイプの映画を作ることになり、石橋さんの仕事場がある長野県富士見町を舞台にリサーチをし、この物語が生まれました。『悪は存在しない』といいつつ、まがまがしさが感じられる、人の深層に触れるような物語なんですよね。でも、人柄のよい方が揃った少人数のスタッフ・キャ ストによって、観た人がテーマを深く考えてくれる作品になったんじゃないかと思っています」
ぜひ大スクリーンで長野の美しい大自然と人間のきちゃないところ、どっぷり楽しんでください。
text:MASAMICHI YOSHIHIRO
otona MUSE 2024年6月号より