「30代で唯一の後悔は、旬を過ぎたオバサンだと思った時期があったこと」作家・LiLyが語る現在地
今から10年前、オトナミューズ創刊前に発売された準備号を手に取ったLiLyさんが「エッセイを書くのはこの雑誌しかない!」と編集部に直談判。以来、ずっと胸の内をつづってきたこの連載は、2024年7月号で幕を閉じました。今の心模様は? 未来予想図は? 少しゆっくりお話を伺います。
神様の采配に身を委ねて
ひとまず筆を置くことにした
―― 創刊から10年続いたオトナミューズでの連載が、ゴールを迎えることになりました。率直に今の心境を聞いてみたいです。
「10年という節目だからやめようと決めたのではなくて、書きながら『そろそろ区切りだ』と感じた、それが正直なところです。これってまさに人生そのもので、物事はコントロールができないからこそ、どこに行き着くのか分からない。そんな醍醐味を味わいながら書き続けてきました。今回は、そろそろ終わりかなと思ってそう書いたあと、ピタリ10周年だと気がついて。ならば、今はその流れに身を任せようって思ったんです」
―― ずっと自分の生き様をエッセイに書いてきた、LiLyさんらしいお話です。
「だってそのほうが、絶対に面白いものができあがるから。私の生きる哲学として『最後は神様の采配に委ねる』というものがあるんです。自分がしたいことを決断したら、もちろん9割は努力するけど、最後は神様に決めてもらう。私はピラティスの『FLOW』というクラスが好き。自分で未来への流れを全力で作ったら、あとはもう身を委ねて、神様にお任せする。そんなイメージです」
―― いろんなエッセイの形があるなかで、ここまで自らを赤裸々に書いてきた作家は少ないと思います。このスタイルはどうやってできあがったのですか?
「私はずっと、日記帳を片手に物事を考える、そんな子どもでした。親同士の絶えない喧嘩を見ながら『男女はどうすればもっと平和に愛し合えるのか』『私だったらこうやっていい家庭を作るのに』。そう頭の中で考えたものをとにかく書く。それが私のエッセイのベースです」
photo:RK text:MAHO HONJYO illust:ekore
otona MUSE 2024年8月号より