人類初の月面着陸は「フェイク」!? 映画『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』は陰謀論×ロマコメのハイブリッド
ちょっとした時間があるとき、未見の映画やドラマに手を出したいんだけど、分かんないから好きなのを繰り返し観ちゃう……という方。映画ライターよしひろまさみちが実際に観て偏愛する作品を、本音でおすすめしますよ~。
よしひろさん、「きのう何観た?」
『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』
★陰謀論を信じていない人へ★
根も葉もないお話なのに、なぜか信じてしまう陰謀論ってありますよね? オカルトブームだった20世紀末は、おもしろがって信じている人が多かったけど、ちょいと最近のそれは……(以下自粛)。そんな数ある説の中でも、昔からまことしやかにささやかれていた「アポロ計画の人類初の月面着陸はフェイク」。この説を逆手に取って、コメディにしちゃったのが『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』ですのよ。おもしろかったのでおかわり。もちろんフィクションよ。
スカジョさんが演じる凄腕PRケリーが、失敗続きで崖っぷちのNASAに入り込んで、国家の威信をかけたプロジェクトを嘘でもいいから成功に導く、というめちゃくちゃなお話。人類初の月面着陸を目指しつつ、なんかあったときのために地上でその映像を撮っておきましょ、っていう超軽いノリ。フィクションにしたってええんか、これで!? と思うんだけど、ここで恐ろしいと思うのは、あたしらが吹き込まれている「あれはフェイクだ」という陰謀論。なんだか本当に見えてきちゃうのよね~。おっそろし。実際にこんなことあったとしたら、間違いなく証言者出てくるでしょうに……ということを頭の片隅に置いといてね。そういう話じゃないのは、観てるうちに分かるから。
しかもですよ、ここまで例の諸説がベースになっている作品が陰謀論に傾いてないのは、フェイク映像を作ろうとするケリーと、それに真っ向から反対するNASAのエンジニア・コールのロマコメに仕立ててあるから! きゃー、00年代を代表するイケメンと美魔女が恋ですよ! おまけにコメディ! この手のコメディ最近なかったから、そっちに首ったけ。ライトなノリで楽しんじゃって~。