日本アニメをオマージュ!?
ピクサー初のアジア系女性監督
ドミー・シーが語る最新作裏話
映画ライターよしひろまさみちが、今注目するシネマミューズをご紹介。今月は3月11日よりディズニープラスにて独占配信が開始されるアニメ映画『私ときどきレッサーパンダ』の監督を務めるドミー・シーにインタビュー。
ピクサー初のアジア系女性監督、誕生!
今回は俳優じゃなく監督。なぜかっていうと、すごいエポックメイキングな人なのです。その人は、ピクサー・アニメーション・スタジオで初めて、アジア系女性監督になったドミー・シー。最新作『私ときどきレッサーパンダ』は、彼女にとって初の長編だけど、その前に『インクレディブルファミリー』(2018年)と同時上映された短編映画『Bao』でアカデミー賞を受賞しています。
「『Bao』でアカデミー賞を受賞したのはすごく励みになったわ。あの受賞のおかげで、“私はもっとストーリーを語っていいんだ”っていう自信がついたの。その後、スタジオからは長編映画のために3つアイデアを出してくれ、と言われたんだけど、オスカーを獲得したおかげで長編に挑戦する気持ちもできたってわけ。それがこの作品よ」
北米のチャイナタウンに暮らす中華系の女のコが主人公なのは、『〜レッサーパンダ』も『Bao』も同じ。「同じユニバースの話じゃないんだけど、セットになってると考えてほしいの」と監督。
「『Bao』は母娘の関係を母親視点で語ってるんだけど、『〜レッサーパンダ』は娘の視点で語っているの。ティーンの女のコが抱える思春期の問題を、彼女自身の心情と母親との関係で描いているのよ」
レッサーパンダになった主人公メイはめちゃくちゃ可愛いんだけど、なんでレッサーパンダ? ジャイアントパンダじゃなくて。
「ジャイアントパンダは人気があり過ぎるからよ(笑)。他の映画でもパンダといえばジャイアントパンダだもの。それに私自身はレッサーパンダのほうが、ちょっと間の抜けた感じが可愛いと思うのよね。それに私はディズニーと日本のアニメを観て育っているから、『パンダコパンダ』とかも大好き。好きだからって同じものを作るのは違うと思うのよね」
小さいころは『らんま1/2』や『美少女戦士セーラームーン』、ジブリ作品を観まくっていたんだとか。あれ? 主人公の名前、『となりのトトロ』と同じでは‥‥?
「ふふ‥‥。ちょっとしたオマージュよ。似てるところは、よくしゃべってにぎやかなところかしらね(笑)」
Domee Shi(ドミー・シー)
1989年9月8日、中国重慶市生まれ。『インサイド・ヘッド』(2015年)で長編映画に初参加。2018年の初監督短編『Bao』がアカデミー賞短編アニメーション賞を受賞。ピクサー初の女性アジア系監督。
text : MASAMICHI YOSHIHIRO / photo : KIRA SCHRODER