CULTURE

FRI.04.01
2022

ウィル・スミスよ、何故に!
よしひろまさみちが第94
アカデミー賞を振り返る【後編】

LA時間327日に開催されたアカデミー賞授賞式。良くも悪くも歴史に残ることがてんこ盛りだった今回のアカデミー賞授賞式について、この1カ月さんざん予想やらなんやらしてきた映画ライターのよしひろが総評しちゃいます。後編は、3部門受賞の『コーダ あいのうた』と、世界を騒がせたあのウィル・スミス事件について。

前編はコチラ

なんやかや『コーダ あいのうた』は強かった

作品賞・脚色賞・助演男優賞。ノミネートされた3部門全て獲得!
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AFP/アフロ

作品賞を制したのは『コーダ あいのうた』。耳の不自由な家族と、彼らの耳となる娘の愛あふれる家族物語で、いい映画よ、ほんと。文科省推薦枠とれそうな模範的映画。それだけに、ちょっと癖がなさ過ぎじゃない? と思ってしまったのは、ひねくれ者のあたしくらいでしょうかね……。いや、そうでもない。だって、この作品、作品賞と脚色賞と助演男優賞の3部門しか候補入りしてないんだもの。他のノミネート作と比べたら少ないのなんの。しかも、それらを総なめ。受賞率100%だったの。ゴイスー!

もう一つこの作品の作品賞受賞にはすごいことがあります。それは「配信作品」だったこと。配信作品はこれまで作品賞以外は受賞できても、作品賞だけはのがしてたの。ってことは、今回のアカデミー賞はいわゆる見えない壁が崩れたってこと。今後は配信作品も頂点目指せるわよ~! とはいえ、はて、今日本でも劇場公開中じゃないのよ、と思いますよね? ところがどっこい、この作品は北米ではAppleTV+の配信作。サンダンス映画祭に出品された際、北米以外は劇場配給の会社が買付したんだけど、北米は配信のみのAppleが買っちゃったのよね。裏話でしたー。

助演男優書を受賞したトロイ・コッツァー。手話でのスピーチ、最高でした。
photo:AFP/
アフロ

どうかと思うわ、ウィル・スミス事件

自分で自分の晴れ舞台に泥を塗るってどういうおつもりで……。
photo:ED/JL/A.M.P.A.S./Camera Press/
アフロ

このネタを書くかどうか、非常に悩みました。だって、あたし、今もあの映像を観ると動悸が止まらないほどショックなの……。少なくともあたしはそんななので、もっとショックに耐性のない方は、トラウマになってるのでは、と思う「ウィル・スミス事件」。

この事件のいきさつや、その後の対応については授賞式翌日のテレビやラジオなどのニュースでさんざん報じられていたので、これ以上は申しません。事実は事実ですから。ただね、その報じられ方には疑問というか怒りよ。

だって、ウィル・スミスとクリス・ロック、どっちが悪いっていう論調があるんだもの。ノンノン、これは暴力事件。なので、言葉の暴力とガチの暴力、どっちもアウト。特に手を出しちゃったウィル・スミスの「妻を守るため」という言い分は、イイワケメイビーなわけですよ。だって、あの場を立ち去るとかマイクを奪うとか、他にも方法はあったのにビンタ。それも全世界数億人の前で。ありえません。

ちなみに、翌日から本国アメリカでは、ウィル・スミスがとった行動に対して非難轟々です。特に、これまで非暴力を訴え、差別と偏見をなくすためにがんばっている有色人種コミュニティから。だって、差別主義者からすれば「ほれみたことか! やっぱり野蛮だ!」ってなるんだもの。あの一瞬で彼らがこれまでコツコツとやってきたことは台無しなんだもの。喉から手が出るほどほしかったオスカーを手にした夜だったってのに、自分の感情で台無しにするなんて……そこまで考えてくださいよ、大スターなんだから。というか大人なんだからさー。ということで、この話題はこれでおしまい! 思い出すだけでムカムカしまする。

よしひろまさみち
本誌のほか、数多くの媒体で映画に関する企画の編集・執筆を行う。「本当におもろいもんしか紹介しない」がモットー。編集部も全幅の信頼を置いており、観る作品に困ったらとりあえずよしひろさんに聞いてます。

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