白幡啓×菊地美香子がトレンド予測!
2022年を占う魔女会議をレポ
スタイリストでstyling/のディレクター白幡啓が独自の視点でファッションにまつわる気になる「アレ」を取り上げる好評連載!
新年1発目はファッション&ビューティのトレンド予測! のつもりでいたのですが、おケイ先生の盟友・ヘア&メイクアップアーティスト菊地美香子さんをお招きしてあーでもないこーでもないと語るうちに、お話はちょっと不思議な方向へ。ど、どうなっちゃうんでしょ!?
服を着なくてもいい時代が
そのうちやってくる!?
-先生、2022年のファッションのトレンド予測をお伺いしようと思ったら、おや、お隣に……?
白幡啓さん そうなの。今日はヘア&メイクアップアーティストの菊地美香子さんもお招きして魔女会議しようと思っているの。
菊地美香子さん まず、陰陽五行説でいくと2022年は「水」と「木」の年なのね、だから水や木にまつわる自然災害に気を付けたいよね。それと……、
-ちょちょ、美香子さんちょっと待ってください! え、ガチの魔女? 占い? あの、そういうのものすごく気になるんですけどそれは後ほど個人的にお伺いするんで、メイクとかファッションとかのトレンドについてお話を……!
菊地美香子さん あ、そっちね、ゴメンゴメン。まあでも、昨年から続く「破壊と再生」がキーワードだし、だからこそ「人としてどうして生きるか」みたいなことよね。2022年春夏のセルヴォークのテーマはバーチャルだったの。このご時世、バーチャル接客みたいなものを試みたり、AIが発達してロボットが活躍して、20年前に近未来だと想像したものがどんどん現実になってきているでしょ。逆説的に「そっちに行き過ぎちゃダメだよ」って意味もあるんだけれど。しかもミューズ時代は青春だった? 2000年代がブームとしてきています。
白幡啓さん 分かる!
菊地美香子さん Y2Kファッションね。ブリトニー・スピアーズ的な。そこでシャイニーに使えるラメ入りのメイクも提案しているの。90年代後半からシャイニーなメイクとか、流行ったでしょ。
白幡啓さん 懐かしいよね。今の若いコって、そのころのファッションを知ってる人が育てているのよ。今40代半ばくらいの人が年ごろで結婚して子どもを産んでいたら10代とかでしょ。で、昔のお母さんの格好とか見て可愛いものは可愛いって思うのよ。遺伝子的にも取り込まれているのかしらね、お母さんが集めていたものとか。だからもしかしたらミューズ世代から見ると懐かしい格好をしているわよ、私たちはもう着られないかもって感じ。
お腹見せトップスとか、腰ばきのパンツとか。しかも、お腹が細かろうが太かろうが気にしないで出すの。そこがアップデートされているところかなって思う。昔は細くないと!ってみんなダイエットしてたわよね。でも今は自分に心地いいことしか求められてないの。
自分がよければいい、って方向に意識が変わってきているのね。それって、すごくいいことなのよ。だからトレンド予測って、そんなことはどうでもいいの。まぁ、「こういうのが流行ります」ってのがないと、服とか着なくてよくなっちゃうから私としては仕事困っちゃうけどねアハハ!
-服着なくていいってことはないんじゃないですかw
白幡啓さん 着なくていいのよ。自分のアバター作っちゃえばいいんだから。
菊地美香子さん 今後のバーチャルな世界ならね。
-ちょっと待ってください、バーチャル一回横に置きましょう、服は着ましょう。おしゃれして生身で会いましょうよ!
ミューズ的には気恥ずかしい!?
Y2Kがキテる!
菊地美香子さん 両方楽しめばいいよ。バーチャル世界のいいところもきっとあるよ、世界中の人たちとコミュニケーションができるとか。でもリアルでしか楽しめないこともあるよね。私ね、日本最古の歴史書っていう「古事記」を去年から少しづつ、ずっと勉強しているんだけれど、縄文時代の人たちって自分の内側の心を知っていたんだよね。でも私たちの世代って、物質にばっかりいっちゃった。あのね、物質だけじゃダメだし、精神だけでもダメなの。あとSDGsって言ったって、ナチュラルに自然に戻って昔の人みたいに暮らそうって話じゃなくてさ、海底に沈んだマイクロプラスチックって怖いよねってときに、すごく有能なロボットを開発すればバーッと安全に掃除できたりするわけじゃない。最新テクノロジーをそういうのに使っていくとか、そういうことだと思うのよ。
白幡啓さん ホントそうね。あとはやっぱり、出かけよう、旅に出よう、って派手な服を作るブランドと、黒装束みたいなブランドと両極端。黒い服作ってるブランドも戦闘態勢な服っていうか、バーチャルゲームのキャラみたいな感じなのね。老舗は結構、黒作ってるのよ。
菊地美香子さん 分かるわ〜。でもスピリチュアル的に言うとね、黒い服を着るのって自分が悪いものをもらわないようにガードするためらしいの。だからお葬式の服って黒でしょ。お歯黒も、疫病が流行ったときに病気が入ってこないように、って意味もあったらしいよ。コロナの流行が始まって、全員が黒い服だった撮影現場も結構あったな。実はそういう意味もあってセルヴォークのパッケージは最初から黒なの。
白幡啓さん ファッションって世相が出るよね。でも個人的には若いコに元気になってほしいな。私たちが着られない派手な服着てさ。岩堀せりちゃんが今ロスにいるけど、ロスの若いコって昔ロスで流行ったような格好を去年からしてるらしいよ。ピタピタのTシャツにボディコンとか。ミニスカートも。ちなみにミニが流行るのって逆の説もあるんだけれど、基本的には不景気のときなんだよね。
菊地美香子さん キラキラが流行るのもそうだよね。
「自分らしい」「他にはない」は
生き方にも言えることよ
白幡啓さん そうそう。でもねぇ、今の25歳以下のコたちがいろんなもの作ってこの世界を立て直していくと思うんだよね。そんなとき私たちは何をしようかってずっと考えてる。美香子さんも言うように、必要な人だけに何かを提供していくのが自分の仕事だと思うから。育てていく。伝承? 自分が何かを作ると言うより、私がこれまで経験したこととか見たこととか役に立つことを伝えていきたいと思ってる。
-先生昔からそれはおっしゃっていますよね。
白幡啓さん うん、まあ、本当のことを言えばお洋服は必要だよ。だけど、そんなにたくさんは要らないよね。みんなが顔が違うように似合う服は違うわけだから、何をピックアップしたらいいと思っていますか? って問いかけたいかな、今は。「みんなが着ているから流行ってる」時代から、「自分らしい」とか「他にない」の時代が本格的にやってくる。自分に向き合って、自分を見つめ直し、自分が喜ぶ装いこそがファッションだよ。だから「服には興味ない」って人も究極、アリよ。生き方にこだわるとかさ、そのこだわりがファッショナブルに見えたら、私から勝手に、おしゃれの合格あげる!
Starring/KEI SHIRAHATA[LOVABLE], MIKAKO KIKUCHI[TRON] Cooperation_AFLO