「自分をカッコイイと思いながら死んでいく生き方にしたい」注目ブランド「MIKAGE SHIN」とは?
母の一言が後押しとなり世界へ
進さんがパーソンズ美術大学へ入学をしたのは彼女が26歳のとき、当時勤めていた広告代理店を辞め心機一転、海外への道を選んだのだ。幼いころからファッションが好きだったという彼女だが、大学進学時はデザイナーになる自分は想像していなかったという。
「小学校6年生くらいでファッションにハマり出して、私服で登校できる高校を受験して好きな服を着て、ファッションライフを謳歌していました。高校は付属の大学以外行く子がほとんどいなくて、美大への進学はもちろん、デザイナーになるなんて考えることもなく。親が起業家だったので、私は家族とのワークライフバランスを取って安定した仕事に就こうと思っていました。大学卒業後は一般の会社に就職したのですが、ふと2年ぐらい経ったときに、自分が誰かが作った服に対して『これはあまりイケてない』とか『これは可愛い』とか批評家気取りで見ていることに気づき、服を作るプレイヤーの方が一番カッコイイはずなのに、挑戦せずにあれこれ言っていることがダサいなと思うようになりました。やりたいことにチャレンジする自分とそうでない自分、どっちをカッコイイと思えるか考えたとき、仕事や年齢を言い訳にして、プレイヤーにならなかったことをダサイと思いながら死んでいくのはすごい嫌だなと思ったんです。どうせなら、自分をカッコイイと思いながら死んでいくような生き方にしたいと思いました。正直、社会人2年目のタイミングで会社を辞めることはすごく勇気が必要でしたが、母に相談をしたときに『どっちの道を選んでも自分で正しくしなさい』と言われて。私はどちらの人生を正解にしたいかって思ったら、やっぱりファッションをやってる自分だなと思い、母の言葉があと押しとなって決断することができました」
そのときの決断があったからこそ、今ではファッション業界が注目するデザイナーの一人となった進さん。今後彼女はどのように歳を重ねていきたいと考えているのだろうか。
「 どうしても年齢を重ねていくと、自分が若かったころと今の世代は違うなって思う場面があると思うんです。でもそれだけで片付けたりせず理解する努力をしながら、考え方が古くならないようにしたいなと思っています。いろいろな経験をして分かった信念みたいなものは大切に、でも自分と違う世代の考えも否定せず、新しい価値観を積極的に知ったり吸収しながら、 遊び心がある、ちょっと余裕のある人になりたいと思っています」
【Information】
「もしもMIKAGE SHINが架空の◯◯の世界を作ったら?」というコンセプトで、
photograph:KAORI IMAKIIRE text:KOTOMI TAKAHASHI