ドイツ・フランクフルト在住でフリーアナウンサーの小山瑶さんが、現地で暮らすからこそ得られるディープで旬な情報を教えてくれる本連載。アナウンサーそしてジャーナリストとしての視点を交え、ドイツの情報をいろんな角度から伝えて頂きます。第8回目は、ドイツ国内のひとつの街を取り上げ、この時期ならではのイベントを紹介していきます。

10月に突入し、ドイツは秋まっしぐら。というよりも、冬の寒さがやってきました。友人によると、今年は寒くなるのが早いんだとか。秋を通り越して冬支度中です。 この時期になるとスーパーや市場では、老若男女、みんな大好きな芋、栗、かぼちゃ類がたくさん販売されるようになります。特にかぼちゃは色も形も様々。ハロウィンがあるので、店頭の装飾からも気合を感じます。

先日、友人と毎年恒例のかぼちゃ祭り《Kürbisausstellung》に行ってきました。ヴァイターシュタットにある大きな農園、BAUER LIPP（バウアーリップ）は、この時期ならではのかぼちゃを楽しもうと多くの親子連れで賑わいます。 会場はフランクフルトから電車で1時間ほどの自然溢れた場所にあります。こちらの農園は100年以上の歴史があり、春はシュパーゲル（白アスパラガス）、イチゴ、ラズベリー、そして秋はかぼちゃを主に栽培していて、収穫の時期になるとイベントが開催されます。郊外から観光バスで訪れる観光客も多く、休日は周辺が大渋滞になると聞きました。私が行った日は平日でしたが、それでもとても混んでいました。 会場にはこれでもか！ というほどのかぼちゃがずらっ〜と飾られていました。一生分のかぼちゃを見た気がします。飾りはとてもユニークで、どれも思わず写真を撮りたくなるものばかり。

こちらでは140種類以上のかぼちゃを栽培していて、その数は年々増えています。子どもたちがかぼちゃの種を植えて9月末に収穫できる体験教室も運営されていて、幼稚園や小学校の学習にも利用されているそうです。40以上の品種から好きな種を選んで指定された場所に植えることができ、収穫時には自分の植えたかぼちゃを素早く見つけるためにも、全てのかぼちゃに番号をつけているという徹底ぶり。収穫まで愛情込めて育て、子どもたちはいつでもかぼちゃの成長の過程を確認できるようにしているそうです。こうした活動を無料で提供しています。

実はあまり知られていませんが、ドイツはかぼちゃ大国！ 世界最大のかぼちゃ祭りが存在するんです。ルートヴィスブルク城で開催されるイベントには、500種類以上のかぼちゃが世界中から集まります。そもそもかぼちゃに500以上の種類があることに驚きですが……。 彫刻や展示、さらにはかぼちゃの大きさを競う選手権や、かぼちゃボート大会など大人気のイベントが開かれます。11月上旬までシュトゥットガルト近郊で行われているそうですよ。

おまけ話ですが、スーパーで小ぶりのかぼちゃが「ホッカイドー」という名前で販売されています。ドイツ人がかぼちゃを「ホッカイドー」と呼んでいてとても不思議ですが、馴染みのある言葉を耳にするとちょっぴり嬉しかったりもします。調べてみると、北海道出身でドイツ在住の日本人が、かぼちゃの種を日本から輸入し育てたことがきっかけだそうです。いろんな話がありますが、日本人がドイツでかぼちゃを普及させたとは驚きですよね。 日本で食べられている北海道産のかぼちゃとドイツの「ホッカイドー」は味が全く異なります。シャリシャリとした食感で、味が甘く濃いというよりは薄めでさっぱりです。さつまいもも似たような感じがします。

秋の味覚が大好きな私にとっては、今の時期がとても幸せです。リスのように冬に向けて栄養を蓄えなければ！ 私はただただ肥える一方ですが……。 秋の味覚が豊富に揃うこれからの季節、思う存分楽しみましょう！ Vielen Dank!!   BAUER LIPP Steinbrücker Hof, Orfelder Rod 1, 64331 Weiterstadt tel : 0615013030 営業時間：10:00〜18:30 ※季節によって営業時間が変わります