フリーアナウンサー 小山瑶の
海外生活 in Germany Epi.14
「Frohes Neues Jahr!」
ドイツ・フランクフルト在住でフリーアナウンサーの小山瑶さんが、現地で暮らすからこそ得られるディープで旬な情報を教えてくれる連載。2023年も昨年に引き続き、ドイツ生活での日々の発見や気になる話題をお届けします。2023年最初の連載は、クリスマスを終えたドイツでの新年のホットな迎え方をお届け。
明けましておめでとう!
Frohes Neues Jahr 2023
去年は大変お世話になりました。多くの方が日本から、そしてドイツでもコラムを楽しんでくださっているという話を聞きとても嬉しかったです。今年も皆さんにドイツの驚きと発見をお届けできるように邁進したいと思います。どうか2023年も宜しくお願いします!
さて、ドイツ国内でも賑やかなクリスマスシーズンが終わりを迎え、2023年を迎えました。日本では門松を飾ったり、おせちを食べたり、お年玉文化があったり。日本はどちらかというとお正月を重要視する文化が古くから根づいていますが、ドイツはお正月を祝うという文化がとくにありません。
強いていうなら、大晦日。派手にお祝いするところが多いようです。とくに大晦日の夜から新年にかけてとにかく街中が大騒ぎ。その理由は、花火!!
ドイツ名物!
大晦日のカウントダウン花火
新年を盛り上げるべく、ドイツでは風物詩となっている花火。個人向けの打ち上げ花火の販売が許可されているのは、なんと1年でたったの3日だけ! 大晦日の3日前からスーパーの店頭などで販売が始まります。購入できるのは18歳以上と、年齢制限も設けられています。
12時ちょうどがクライマックスで、色鮮やかな花火が街中を彩ります。花火を打ち上げるのは、大きな音は悪霊を追い払うという中世からの言い伝えからきているそうです。
盛り上がり方がやっぱり海外! なんて思いますが、その一方でさまざまな問題が発生していることを忘れてはいけません。大晦日の夜の花火による粉塵排出量が年間の大多数を占めるということや、ゴミ問題もそのうちのひとつ。
近年は花火の販売を中止する店も出てきていたり、花火の打ち上げを禁止する地区もでてきたり、取り締まりが強化されているそうです。今年は店やパトカーを燃やすデモが起き、ベルリンでは150人にものぼる逮捕者が出ました。
ドイツでは、クリスマスが1年を締めくくるクライマックスのため、元旦のみが祝日で2日からは通常運転に戻ります。お正月のない新年は、日本人にとってはものすごく不思議ですよね。もう少し休みにしてもいいのでは? なんて思うのですが、そうでもないのがドイツです。
大晦日の伝統文化
これってドイツ特有?
お正月の概念がなくても、大晦日は賑やかに友人や家族と楽しく過ごすのがドイツスタイル。そんな代表的な過ごし方をご紹介します。
①ラクレット(Raclette)
スイスの伝統料理、とろけたチーズに絡めて肉や野菜を食べるスタイルが定番。一家に一台ラクレットマシーンがある家も多いそうで、みんなでワイワイしながら、大晦日を過ごすそうです。クリスマスが終わるとスーパーのチーズコーナーは、ラクレットチーズが占領するそうです。
②ブライギーセン(Bleigießen)
ドイツ版おみくじのようなもの。自宅で簡単にできる占いで、大人から子どもまで人気の高いドイツ特有のものだそう。スプーンの上に鉛の玉を乗せ、キャンドルにかざして溶かした後、水の張ったボウルに入れてその形を見るというもので、その形が来年の運気を意味するそうです。
③ディナー フォー ワン(Dinner for One/テレビ番組)
日本で年末に観るテレビ番組と言えば、紅白歌合戦ですよね。実はドイツにもそんな恒例番組があるのです! それが『Dinner for One』。白黒で10分ほどのショートフィルムなのですが、各テレビ局で1日10回以上放送されることも。毎年同じ映像ということもあって、世界一多くテレビ放送されている番組としてギネス記録も持っているそうです。
ドイツの代表的な3つの恒例行事をお伝えしましたが、人によっては隣国のスイスにウィンタースポーツをしに旅行に行ったり、湖畔にコテージを借りて友人たちと楽しんだりと、過ごし方はさまざま。クリスマスに命をかけるといっても過言ではないドイツ。確かにお正月が過ぎた1月6日ごろまでも、街にはクリスマスツリーが飾られていて、クリスマスムードが残っていました。
ヨーロッパのクリスマスムードは格別です。今年はもっと多くの人が気兼ねなく海外旅行できるようになるといいですよね。ドイツは治安もよく街並みも歴史もあるのでオススメです。
texte : HARUKA KOYAMA