LIFESTYLE

木津明子のこども食堂日記vol.2

JR根岸線、横浜駅から約20分の洋光台駅。駅前のまちまどレンタルスペースの中に、「こども食堂レインボー」はあります。オープンは月に2日。昼ごはん30食、夜ごはん30食。 ずらりと並ぶカラフルなお惣菜、お魚とお肉のメインディッシュのワンプレートごはん。日によってメニューは変わりますが、家庭的で親しみやすく、栄養価の高い食事をいただくことができます。広めの廊下ではこども達が指揮をとって、わたあめやかき氷など食後のちょっとしたおやつを作ったりしています。 2021年8月に「こども食堂レインボー」は開店しました。 店主は『otonaMUSE』はもちろん、モード雑誌からタレントのスタイリングまで幅広く活躍しているスタイリスト木津明子さん。売れっ子スタイリストである彼女がなぜ、こども食堂をやってみようと決心したのか。vol.1では、開業に至るまでの過程を木津さんからお話しいただきました。 このvol.2から、月に1度こども食堂へお手伝いに行っている、編集・ライター 柿本 真希が木津さんにお話を伺ったり、実際のお店の様子をレポートしていきたいと思います。 今回のvol.2は、『“こども食堂”ってどんなこと?』を詳しくお聞きしました。
vol.1の記事はこちら

木津さんが思い描くこども食堂の在り方を、娘さんが絵に描いてくれました。

まず最初にこども食堂レインボーの仕組みについて簡単に説明したいと思います。支援チケットというものが用意されているので、それを支援したい人たちが好きな額だけ購入します(毎月の値段を決めて毎月買うという定期便もあります。購入は以下のリンクから可能です。
こども食堂レインボーbase
チケットには購入者の方の名前が書かれ、食堂の受付に並べています。食事に来たこどもたちは、そのチケットを選び、食事を無料で食べることができます。こども1人1回500円の食事代が支援チケットから引かれていくという仕組みになっているんですね。 例えば、わたし柿本が5,000円分の支援チケットを購入したとします。そうすると、柿本と名前が書かれたチケットが受付に置かれ、それをこどもたちが使うたびに500円ずつ引かれていくので、計10回または10人のご飯がまかなわれることになります。 こども食堂を始める際に、仕組みを考えていたという木津さん。  

"支援チケット"という仕組みによって
ハッピーの連鎖を

彼女はどうしてこの「支援チケット」という仕組みにしたのでしょうか? 「この場所の仕組みを考えていた時、まず“どんな場所にしたいのか”を、自分自身でよく考え、友人や家族にも相談しました。考えた時、「よく分からないけど、ここに来るとタダで食べられるんだ〜」というまるで夢みたいな場所にはしたくなかったんです。夢みたいなことなんて滅多に起きることじゃない。誰かのgiveによって食べられているということを実感して欲しいと思いました。だからチケット制という形を選び、こどもたちが支援者の名前を見たりすることで自然と実感できるような仕組みにしました。それは、恩を着せたいとか、感謝して欲しいとかとは全く違う話。giveによって食べられていると実感出来ることで、その喜びをまた人にgiveしたいと思って欲しい。大切にしたいのは、“ハッピーの連鎖”なんです。優しい想いが繋がっていって欲しいという願いを込めて、チケット制にしました」 シンプルでハッピーな気持ちから始めたことでも、支援する側と支援される側という位置が出来てしまうことがある。それだけは避けたかったという木津さん。 「みんなが満足できる場所であって欲しいんです。何かをしてあげているって自分も全く思っていません。私もいつだって自分がやりたいからやってるんだよね、というスタンス。上下ではなく関わる全員がフェアな場所であって欲しいと思っています。支援者、主宰の私、ボランティアの仲間たち、こどもたちやその家族。全員がフラットに“ハッピーの連鎖“によって繋がっていける場所がつくれたらいいなぁと強く願っていて、そこだけは続けていく上でブレないようにしていきたいです」 木津さんのその強い想いは、ボランティアの仲間たちにも共有されています。関わった誰もが「楽しかった」「ずっとこういうことがしたかった」「また来たい」と笑顔で口々に話しています。こども食堂当日もシリアスな雰囲気などは全くなく、キッチンや洗い場での会話はとてもつもなくくだらない話ばかり(笑)。 「前回もお話しましたが、こども食堂の運営は、友人&知人、家族の助けが無ければ本当に出来ないこと。けれど、ボランティアということに甘えたくはないし、そこも対等でありたい。だって、手伝ってくれている人たちは休みの時間を費やしてくれているんです。だからきちんと仕組みを考えたり整えながら、お手伝いに来てくれる人たちにもほんの少しでもお給料をお支払いできるようにしたい。それは目標のひとつ。ちょっとでもありがとうのお金がもらえるたら、食堂の帰り道にこれでケーキでも買って帰ろうかなとか思ったりするかもしれない。そうしたらお母さんも幸せで、ケーキに喜ぶこどもたちや旦那さんも幸せな気持ちになる。絶対にそういう連鎖を大切にしたいんです。支援チケットはこどもたちの食事だけに使わせてもらっていましたが、今後は食材・備品の買い出し、お給料などにも使っていけるように、明朗な仕組みづくりをしていけたらいいなと思っています」 “フェアであること” “ハッピーの連鎖“ それを軸に続けていけるよう、こども食堂レインボーは模索の途中。私もその連鎖の中で、自分自身が楽しみながらサポートしていけたらいいなと思っています。 次回にづく。 こども食堂レインボー、12月は11日と25日。1月は15日と29日開催予定です。 詳しくはInstagramをチェックしてみてください。
こども食堂レインボーInstagram

受付は、木津さんの娘さんが仕切りながらこどもたちで運営。この日は受付の横で綿あめも開催していて、食後にはこどもたちが嬉しそうに並んでいました。

受付に並ぶ支援チケットの一部。こうして並ぶチケットの中から食べに来たこどもたちが1枚選び、食べることができる。

木津さんがアシスタント時代にアルバイトしていたという「サインドグラス」からの差し入れのシフォンケーキ。

10月16日のランチは、カレー。夏野菜がのったカレーに副菜とスープ付き。ハロウィン間近だったので、海苔で顔を描いてみました。絵心の無いスタッフ多数(笑)

edit:MAKI KAKIMOTO

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