新たな街にお引越し。ドイツ・デュッセルドルフで見つけた日本【小山瑶の海外生活 in Germany】
ドイツ生活が延長。新たな街デュッセルドルフでの第一弾!
フリーアナウンサーの小山瑶の海外生活in Germany Epi.25
これまで24回に渡り私のフランクフルトでのドイツ生活をお届けしてきましたが、この夏デュッセルドルフにお引っ越しが決定! 実はパートナーの職業柄、次の移住先はドイツではないかもしれないと思っていたので、私にとってはまさかのサプライズでした。振り返ると欧州各国やドイツ国内をこれまでもか! というほど旅行し「他に行きたいところがあるかしら……」と思うくらい、ドイツ生活を堪能してきました。でも、まだまだ。もうしばらくドイツで暮らすと決まって、心が晴れた気がします。新たな気持ちで定期的にドイツの発信と情報、さらには生活の変化などをお伝えしていきたいと思っています。どうか今後もお付き合いいただけると嬉しいです。
ここは日本?
住みやすいけど不思議な感覚
引っ越しが決まってから2週間しかない! そんなバタバタな状況を乗り越え、7月中旬にフランクフルトからデュッセルドルフにやってきました。フランクフルトから電車で揺られること約1時間半。住む家も見つかっていない状態でホテル生活がスタートしました。驚いたのは、日本語がいたるところにある……。ホテルの予約もドイツにいながら、日本語でOKでした。それもそのはず、デュッセルドルフに住む日本人の数は7000人近く。日本人在住者が欧州で最も多いのがロンドン、次いでパリ、その次がデュッセルドルフなのです。数としてそんなに多くないのでは? と思う方もいると思いますが、そうでもないのが密集度。人口に対して日本人の数がNo.1なのです。歩いているとラーメン屋や日本食スーパーが点在していて、もちろん日本語があちこちから聞こえてくる。不思議過ぎる……! 今は慣れてきましたが、はじめの1週間はこの状況に1人でいても「すごい」と思わず口ずさんでしまうほどでした。
フランクフルトに住んでいたときは「(日本の)あれが食べたい!」と思っても簡単に手に入れられず、アジアスーパーで似たものを購入するしかありませんでしたが、デュッセルドルフは“リトルトーキョー”と言われるだけあって、普通のスーパーでも日本の商品が豊富に取り揃えられています。焼き芋やお寿司、お弁当、日本の甘いパン……。お店で流れている曲も日本の曲です(最新曲ではない気がしますが……)。
ここに来て驚いたのは、ドイツ人たちの日本食への愛。ランチタイムになるとお弁当を買いに日本食スーパーがドイツ人であふれかえっていました。そこには流暢に日本語を話すドイツ人まで。なぜそんなに日本語が上手なのかと伺うと「大学で日本語を学んでいて、ラーメン屋でバイトしてました」と返答が。デュッセルドルフの大学には日本文化を学ぶクラスがあるそうで、日本が好きでわざわざデュッセルドルフに住む学生もいるんだとか。日本人として嬉しくなりました。
こんなに苦労するの?
第1の壁“住宅不足”
約3週間のホテル生活がまもなく終わりを迎えるわけですが、タイトル通り、ドイツの住宅不足問題は深刻さを増しています。とくにデュッセルドルフは今年、異常なほど住宅の空きがないと不動産の方が話していました。ウクライナ情勢の影響で約2年前から移民が増えたことに加え、コロナウイルスが落ち着き、ワーホリで来独する学生や、各国から送り出された駐在員たちで飽和状態となり、空き住宅が追いつかない、という状態だそう。またこの世界情勢を背景に、近年ドイツの住宅の市場価格が高騰し、なかなか引っ越しを考えないという方が増えている傾向にあるそうです。
日本では不動産屋を介して住宅を探すのが一般的ですが、ドイツでは入居者を探しているオーナーが住宅情報を登録し、入居希望者を募る特別サイトを介して物件を探すのが一般的とされています。私も内見もできるか危うい状況だったので、ひたすらサイトで物件を探し、条件を調べては連絡する日々が続いていました。
何十件と連絡をし、やっとアポイントが取れた物件に内見へ! と思っていた矢先、問題が発生。予定時刻になっても物件担当者が現れず、結局内見ができませんでした。これが海外の洗礼ってやつか……と肩を落としました。電車やバスが予定時刻に来ないことが当たり前の世界にだんだんと慣れてきて、「まあ、そんなもんですよね〜」と言っている自分に驚きました。以前より丸くなった気もします。いや、寛容になったのか、大雑把になったのか……自分でもちょっぴり怖くなりました。これは友人から聞いた話ですが、連絡の時点でアジア人を受け付けなかったりすることもあるようで、内側には見えない人種差別があるそうです。
ドイツの住宅にもいろいろと種類がありますが、一般的なのが築100年を超える窓の大きさと天井の高さが魅力の「アルトバウ」。天井が4m近くあり、彫刻などが施された扉や壁が特徴です。内見にも伺ったのですが、かつて住んでいた人たちのリノベーションの跡や建てられた当時の彫刻が残っていたりと、ところどころ趣を感じさせられました。天井が高かったからか部屋自体が広く感じ、とても開放感がありました。
一方で、そうしたアルトバウにはエレベーターがないことが多く、私はエレベーター必須で物件を探していたので、素敵なアルトバウに魅力を感じていたものの泣く泣く諦めました。さらにドイツの物件にはキッチンが付いておらず、家具なしで、ただの箱のような状態が当たり前。自分で家をコーディネートできるのが魅力的ですが、はじめの1年ほどは準備期間と思って家の中を改造していく家庭が多いそうですよ。
そんなこんなで、デュッセルドルフで通常生活を送り始めるまで手こずった私ですが、なんとか家を見つけ、落ち着いて衣食住を送ることができるようになりました。やっとスタート地点に立った気分です。これからは今まで以上に幅広くドイツ生活をご紹介したい! と意気込んでいます。デュッセルドルフでの生活にまた新たな変化が現れたら、随時Instagramも更新しつつ、コラムでより詳しくご報告できればと思います。ぜひフォローしていただけると嬉しいです!
text : HARUKA KOYAMA