日本人オーナーがオーガニック大国・ドイツのビオ製品を日本へ届ける。「エコルルカ」の熱い思い
ドイツ・デュッセルドルフ在住でフリーアナウンサーの小山瑶さんが、現地で暮らすからこそ得られるディープで旬な情報を教えてくれる連載。アナウンサーそしてジャーナリストとしての視点を交え、ドイツの情報をいろんな角度から伝えて頂きます。今回は日本人オーナーが経営する、日本未上陸ブランドのベビーアイテムを取り扱う、とある企業にフォーカス!
ビオ大国ならではの日本未上陸ブランドに迫る!
フリーアナウンサー小山瑶の海外生活in Germany Epi.27
ドイツに住んで1年半が経ちましたが、つい先日、デュッセルドルフで暮らす日本人オーナーが運営する、ベビーに特化したビオ製品を取り扱う企業があると知り驚きました。なんと今回は、特別にそのオーナーであるケンピンスキー恵実さんに取材させていただける機会に恵まれました! ECサイトの設立から実際に商品販売に至るまで、同じ女性として異国の地で活躍する姿は、非常に勉強になりました。
日本未上陸! ドイツベビー用品を取り扱う
Eco-LULuca Bab&Mom(エコルルカ)
今回お話を伺ったのは、ベビー・子供用品を取り扱うドイツ発の会社、エコルルカのオーナーであるケンピンスキー恵実さん。2021年春にローンチし、今年で3年目を迎えます。コンセプトは「ドイツのオーガニックで安心の子育てを日本のスタンダードに」。後悔しない選択を、安心安全な子育てが叶うアイテムを提供する、という想いが込められているそう。取り扱っている商品はベビーフード「pumpkin organics」や老舗ベビー用品メーカー「nip」、ドイツナチュラルコスメメーカー「boep」などの商品。エコルルカで人気商品ランキング3つはこちらです。
栄養学に基づいた離乳食を作る
「Pumpkin organics」
ベビーフードブランド「pumpkin organics」は、ドイツのとあるご夫婦が2015年に設立したブランド。食品業界に長く携わったオーナーが持病である橋本病を克服するために、自身の食生活を鑑みたことがきっかけで生まれたもの。このブランドのベビーフードはお塩・お砂糖・添加物不使用。野菜や果物・穀物は全てEU国内で生産された、厳しいオーガニック申請を通過したものだけを使用するという徹底ぶり。
有害物質を一切排除して
製造される「nip」
老舗ベビー用品メーカー「nip」は食器やおしゃぶりなどが有名。有害物質を一切使用することなく、90%以上を自然に帰化できる素材を使用し、耐久性も優れているというものです。デザインはもちろんのこと、色使いもドイツのナチュラルさを生かして作られています。
一生健康的な肌を保てるよう
原材料にこだわった「boep」
ナチュラルコスメメーカー「boep」は、医者であり3人の子を持つママが、市場にあったベビーケア商品の多くにシリコンやPEGsなどの合成成分が使用されていることを知り、自ら開発しようと立ち上げられたブランド。高品質な原材料だけを使用したスキンケアアイテムは、ドイツ皮膚医師会から最高評価を得るなど、赤ちゃんのみならず、家族で使用できると人気を集めているそう。
ドイツの当たり前を日本の当たり前に。
熱い思いがあふれる起業ストーリー
オーナーは自身もデュッセルドルフ在住で二児の母でもある、ケンピンスキー恵実さん。2017年にドイツ人のパートナーと結婚し、その後妊娠を機に外資系企業を退職。2020年に長女を出産し、今年は次女を出産されました。ドイツで子育てをするなかで、ドイツのオーガニック商品の多さに感化され、自分がもし日本で子育てをしていたとしても、からだに優しい商品がすぐに手が届く場所が欲しいと思ったこと、そして何か社会に還元できないかという想いが起爆剤となり、起業を決意。初めてのことで戸惑いや困難もたくさんあったそうですが、不安と闘いながらここまで確立してきたそうです。
起業準備期間は半年間。販売しようと思っている商品メーカーに直接アポを取り、足を運んで話を聞いては、市場調査を続け、2021年の春に念願のECサイトを自身で開設。初めはドイツから直輸入という形で日本のお客様に商品を提供していたそうですが、2022 年3月の伊勢丹新宿店でのポップアップをきっかけに日本での展開を本格化させたそうです。
今後の目標は、日本で子育て中のママたちに幼児教育や食のライフスタイル、悩みを共有できるようなオンラインコミュニティーを作ることだそう。日本とドイツの子育ての隔たりをなくすこともひとつの課題だと恵実さんは話して下さいました。ドイツのビオフードのレベルの高さはどこの国よりも優れていると力説する恵実さん。健康がなによりも大切と思う根底には、癌でお母様をなくしていることが大きくあるといいます。
大切な人と健康に過ごしていきたい、自分の子どもには健康に過ごしてもらいたい、ママも自信を持って安心して子どもに与えられるものを選びたい、恵実さんの我が子に対する愛情が非常に印象的でした。愛情がビジネスを生むということも勉強になりました。
ドイツで暮らしていると非常に子どもの数が多いように感じるのですが、データをたどると出生率は年々減少しているという事態。日本でも少子化が問題視されていますが、ドイツもその状況は同じです。国の対策としてドイツでは出産費用の無償化や産休手当、各種税控除、親手当(月€300の支給)、子ども手当(25歳まで月€150以上の支給)など、さまざまな子育て支援策があります。それでも下降傾向であるため、今後も支援策の試行錯誤が強いられる状況です。
子育てをテーマにドイツを見てみましたが、いかがでしたでしょうか。我が子を想う気持ちは世界共通だなと強く感じました。世界中のママが安心して過ごせる環境がもっと広がりますように。自分も子どもを持つママになったら愛情が自然にあふれてくるのかな〜としみじみ感じました。取材にご協力いただいた恵実さん、本当にありがとうございました!
text : HARUKA KOYAMA