LIFESTYLE

木津明子のこども食堂日記vol.3

JR根岸線、横浜駅から約20分の洋光台駅。駅前のまちまどレンタルスペースの中に、「こども食堂レインボー」はあります。オープンは月に2日。昼ごはん30食、夜ごはん30食。 ずらりと並ぶカラフルなお惣菜、お魚とお肉のメインディッシュのワンプレートごはん。日によってメニューは変わりますが、家庭的で親しみやすく、栄養価の高い食事をいただくことができます。広めの廊下ではこども達が指揮をとって、わたあめやかき氷など食後のちょっとしたおやつを作ったりしています。 2021年8月に「こども食堂レインボー」は開店しました。 店主は『otonaMUSE』はもちろん、モード誌からタレントのスタイリングまで幅広く活躍しているスタイリスト木津明子さん。売れっ子スタイリストである彼女がなぜ、こども食堂をやってみようと決心したのか。vol.1では、開業に至るまでの過程を木津さんからお話しいただきました。前回のvol.2から、月に1度こども食堂へお手伝いに行っている、編集・ライター 柿本 真希が木津さんにお話を伺ったり、実際のお店の様子などをレポートしています。 今回のvol.3は、『こども食堂を支えてくれている “支援” とは?』。
vol.2の記事はこちら
「こども食堂レインボーは、様々な方の支援で成り立っています。Vol.2でお話しした『支援チケット』とは別に、食材や物品などで支援してくださっている方やブランドも。出逢い方は様々です。実際の友人、知人、仕事をご一緒した人などからお声がけいただき、話し合った後に、送っていただいたり、食堂の前に一緒に立っていただいたり。“ハッピーの連鎖”を大切にしたいので、お互いに無理がないということが理想。そこで、まずこちらの気持ちや運営方針についてきちんと話して、分かり合うというプロセスを飛ばさないように心がけています」と木津さん。 では、実際に支援してくださっている方の思いとは。こども食堂レインボーのハッピーの連鎖に関わってくれている皆さんのの思いを伺います。

支援というカタチでも
繋がっていくハッピーの連鎖

井原愛子さん/MAPLE BASE 代表 「きっかけは、木津さんのお姉さんの友人という縁です。Instagramでこども食堂を始めることを知りました。元々、私自身が森と繋がる活動(秩父にカエデの木を植樹しながら、今あるカエデを利用して循環型の新しい林業を目指している)をしており、それが仕事にもなっているのですが、そこにはボランティアの方の力が必要で、いつもたくさんの方に協力していただきながら成り立っています。いつも自分が助けてもらっている事が多いからこそ、自分の出来ることで何か協力できないかと家族に相談したところ、自家栽培の野菜なら提供できそうという話になり、ご相談させてもらいました。収穫したての旬の野菜を子どもたちに喜んでもらえたら嬉しいです。これからもこども食堂レインボーの子ども、大人みんなが輝けるように、離れた場所から応援しています!」

メープルベースさんのつやつやと元気な野菜。

本田美奈子さん/LYDIA 代表 「かねてからこども食堂の活動にとても関心があり、サポートできたらと思い調べた結果、地域に根付いてそれぞれの活動をされていることを知りました。身近な地域の食堂や組織を微力ながらサポートしていたので、ファッション業界にいる自分にとって身近な木津さんがご自身でこども食堂を立ち上げると友人から聞き、自然と協力したいと思いました。また一方で、スタッフの実家や友人など身近な方でお米を育てている方がいたので、両者に対して継続的な支援となるのではないかなと思いました。お米はいくらあっても困らないなぁと! 木津さん本人にもメッセージしましたが、思っているのと実際に行動するのでは全く違います。行動力に心から尊敬します。これから継続していく中で大変なこともたくさんあると思うので、まわりに甘えまくってどうにか継続してください。私も微力ながら何でもお手伝いしたい気持ちはいつも変わらないです。そして、メニューが毎回とても美味しそうなので、いつか食べてみたい♡」

本田美奈子さんが毎回送ってくださっているお米。

木村由比子さん/フリーランスPR 「PRをしているアルコインターナショナルのショールームで、こども食堂スタッフの方と出会い、お話を伺ったのがきっかけです。アルコインターナショナルの会社理念は“地球を、たのしくする。”です。こども食堂の活動をSNSなどで拝見したところ、すごく楽しそうに皆さん笑顔で過ごしていらっしゃるのを見て、関わりたい!と素直に思いました。まさに地球をたのしくしていく活動をされているな、と感じました。物品の提供だけではなく、今年は現場に伺ってお手伝いをしながら子ども達の笑顔に会いたいなぁと思っています。これからも素晴らしい活動を無理なく楽しく継続して頂きたいです」

アルコインターナショナルさんのカラフルなマスクはスタッフ全員も愛用。この他にも提供してもらったキッズ用バッグはクリスマスプレゼントに。

中垣貴野さん/AIGLE マーケティング&ブランドコミュニケーションズ 「AIGLEがキッズラインを展開していることもあり、ブランドとして子どもたちのために何か役立てる活動をしたいと思っておりPR担当者にも相談していたところ、紹介いただきました。木津さんから直接こども食堂レインボーの活動や子どもたちのこと、木津さんの思いを伺うにつれ、ぜひAIGLEとしてもなにか支援させてほしいという思いが強くなりました。AIGLEの場合は、とくに洋服などが子どもたちに役立てていただけるとのことで、昨年は子どもたちへのクリスマスプレゼントとして喜んでもらえたらとの思いで、アウターやTシャツなどの洋服を提供させていただきました。AIGLEはフランスで『使命を果たす会社』という企業形態をとっており、利益の追求だけではなく、環境配慮や社会的責任を果たすことを企業定款に掲げているブランドです。よりよい社会に向かうために、木津さん・こども食堂レインボーさんへのご支援などを含めて、少しずつでも私たちにできることを形にしていきたい。関わるひとたちがみんな笑顔でハッピーでいられる、そんな瞬間を共にすることがなにより嬉しいことだと思っていますので、それを共有できた今回の支援については、本当に感謝しています! 」

AIGLEの軽くて温かいキッズアウターは、サイズやカラーも豊富で子どもたちはもちろん親御さんたちも嬉しそうに選んでいました。

和栗真祐子さん/アリサン有限会社 マーケター 「PRをされている松浦さんからご紹介いただき、こども食堂レインボーを知りました。弊社では以前からフードバンクへの寄付や非難民支援等を行っており、このような社会支援活動には元々力を入れておりましたが、近年日本でも取り上げられることが増えてきた「こども食堂」という業態にはまだ支援をしたことがなく、興味を持ちました。詳しくお話を伺う中で、原材料や提供メニューなどにもこだわり、子どもたちのお腹を満たす以上の取り組みもされているということなどが分かりました。弊社で取り扱っている食材はオーガニックであったり、ベジタリアン対応の特殊なものも多いのですが、そういった食品を選ばれる方々には健康面、またエシカル面など『選ぶ理由』がそれぞれあります。そのような面も含めた食育も合わせて行っていただけるのではないかと考え、支援を決めました。今後も一緒に何かお取り組み等させていただけたらと思っています。支援の輪が広がっていくことを祈っております」

実は大豆、えんどう豆、しいたけ、お米で出来ているオムニミートで作ったハンバーグ。

田窪大祐さん/TACUBO オーナーシェフ 「元々友人を通しての知り合いだった木津さんのInstagramを見て、こども食堂レインボーのことを知りました。料理の世界で長くやらせてもらっている立場ですし、このような素晴らしい活動がある事を知り、何かお手伝い出来ないかと思ったのがキッカケです。いつの日か実際に現場に行って、料理を作りたいなぁと思っています。そして、そこに来てくれた子ども達にシェフってカッコいいな! と憧れの存在になるためにダイエット頑張ります(笑)! 子ども大人どちらも美味しかったと喜んで頂けたと聞いて、とても嬉しいです」

恵比寿にある人気イタリアンTACUBOのシェフが作ったミートソースは、子どもだけでなく大人にも大好評。

藤森真さん/株式会社シャルパンテ、ヴィノシティ・グループ代表取締役オーナーソムリエ 「友人からの紹介で、主催者である木津さんと知り合い、熱い思いをお聞きし、実際にこども食堂レインボーにも伺いました。その時、美味しいものを食べている子ども達の笑顔を目の当たりにして、改めて、僕達飲食業界が頑張る意義を感じさせてもらえ心が震えました。“強力=協力”、ちょっとの善意が沢山集まり[協力」し合うことで、沢山の子ども達を笑顔にできる[強力]な力になります。今後もぜひ多くのご協力が集まることを願っています。個人的な思いとしては、日本の未来を背負って立つ子ども達へ、僕ら飲食業界の楽しさ、やりがいなどの魅力を知ってもらい、大人になった時にいつか僕らと一緒に働いてくれる子が現れてくれること、または飲食業界に従事しなかったとしても、美味しいものを食べる幸せを感じてもらい僕らのお店に足を運んでくれるお客様になってくれることを心から願っています」

藤森さんからは、ビストロ・ヴィノシティ・マキシムで人気のハンバーグ。あっという間に完売でした。

「様々な形や思いで支援をしてくださっている方やブランド。このような“ハッピーの連鎖”が続いていけるよう、こども食堂レインボーは楽しく真っ直ぐに進んでいこうと思います。続けるということの大変さを体感、実感しながら模索している今。食べに来てくれる子どもたちや支援の方々、働いている私たち、みんなの笑顔が無理なく続くよう頑張りたいと思います」と思いを新たにする木津さん。2022年も、沢山の子どもたちの笑顔が見られそうです。

edit:MAKI KAKIMOTO

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