LIFESTYLE

フリーランスディレクター
田上陽子の北海道移住ライフ
vol.2「春に向けて準備中」

元セルヴォークのディレクターとして、オトナミューズ誌面をはじめ、数多くのメディアにも出演し活躍していた、フリーランスディレクターの田上陽子さん。ワイナリーを営むパートナーとの結婚を機に、今年から本格的に北海道へ移住した田上さんの北海道ライフを連載でお届けすることになりました。連載第2回目は、もう少しだけ先に訪れる春に向けて、今準備していることを聞かせていただきました。

田舎暮らしで変わった
時間とからだの使い方

北海道に引っ越してきて1カ月半が経ちました。こちらはまだまだ寒いですが、ようやく雪解けが始まり、春の訪れを少しづつ感じています。 実際の田舎暮らしはと言うと、まず大きく違うのは時間の使い方。家を一歩出たらすぐにコンビニがあり、タクシーでひょいとどこへでも行けていたようなこれまでの生活から、今はどこに行くにも車移動だし(タクシーは町に1台だけ!)、雪で電車はすぐに止まります(苦笑)。外食する場所も限られているため自炊も必然的に増え、冬は雪かきにも時間を取られます。 というと大変そうに聞こえますが、いうなれば“生活”に時間をさくようになったわけです。これまで20年間ペーパードライバーだった私が運転できるようになり、健康的に自炊もし、雪かきだって体を動かせて一石二鳥(笑)! 車で1時間ほどかかる札幌でさえ近いと感じられる程、感覚が変わってきました。 そんなこんなで、こちらの生活リズムにも慣れてきたわけですが、完全に雪解けする4月には畑仕事がいよいよスタート。ワインの葡萄畑の他に、今年は野菜も作ってみようかと今から張り切っています。大地の力、植物の力を存分に感じたいなと。 農業といえばからだが資本。これまでの仕事は頭を使うことが多かったけれど、今度はうって変わって肉体労働。そのためにも春までに少しでもからだ作りを! と、最近はランニングや腹筋、背筋のトレーニングなど、体づくりに励んでおります。体育会系の夫のスパルタコーチのもと、正直キツいと感じることもありますが(苦笑)、からだを鍛えられてラッキーだなとポジティブにとらえています。

ランニングコース。人一人いない自然の中を駆け巡って、リフレッシュできます。

そして、運動をした後の温泉がそれはそれは格別で。北海道は至るところに温泉があって、銭湯のように日常的に入ることが根付いています。私が住んでいる場所からも、少し車を走らせればたくさん温泉があって、寒い土地ならではのオアシス!  常連のおばあちゃんたちが「〇〇ちゃん、今日は早かったねぇ」などと挨拶しあっているのに思わずほっこり。地域のコミュニティの繋がりの深さ、田舎ならではの人の温かさも感じます。

上:近所の鉄分多めの温泉。体が芯から温まる。下:ニセコも近いのでよく行きます。この日は友人と合流して五色温泉に。

畑作業がないこの時期のワイン作りはというと、去年の秋に収穫した葡萄から作られたワインを、樽やタンクの中で熟成させている最中。微生物(酵母)の働きで、葡萄の中に含まれる糖分がアルコールと二酸化炭素に分解されて発酵し、その後、樽やタンクで熟成され、ワインが完成形に近づいていきます。 それぞれのタイミングや発酵の仕方など、その工程はとても繊細。作り手のスタイルによって、多種多様なワインが生まれるわけです。発酵していく様子を見ていると、まさに生命が作り出す飲み物だなぁと感じます。だからこそ、毎年違う味に仕上がるのも醍醐味。熟成中のワインをテイスティングしながら、去年と比べてこーだな、あーだな、などと感じながら、どんなワインに仕上がっていくのかを見守っているところです。  

上:フレンチオークの樽で熟成中の赤ワイン。まだまだ液体がフレッシュな状態。下:香りや味をチェック。

一方、葡萄畑は冬の間は雪ですっぽり覆われ、今年は特に雪が多く150cmくらいは積もっているので畑の杭も隠れてしまうほど。近ごろ少しずつ雪が溶けてきて、杭が姿を現してきています。北海道の厳しい寒さの中では、外気より雪の下の方が暖かいといわれており、今は雪の下で葡萄の木が冬眠している状態。雪が完全に溶けて、葡萄の木が姿を現してきたら、いよいよ今年のヴィンテージに向けた葡萄の栽培が始まります。早く春の息吹を感じたいですね!

最近の葡萄畑。杭が少しずつ顔を出してきています。雪が溶けて土が見えてくるのを待ちます。

ENEY

Profile
たがみ ようこ/PR会社でオーガニックコスメなどを中心としたPRを経験後、スキンケアブランド「F organics(エッフェ オーガニック)」、人気コスメブランド「Celvoke(セルヴォーク)」を立ち上げ、ディレクターに。現在はフリーランスディレクターとして、ジュエリーブランド「ENEY(エネイ)」などを手掛けると共に、パートナーの営むワイナリーでワイン造りに奮闘中。

text:YOKO TAGAMI

otonaMUSE I

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