LIFESTYLE

木津明子のこども食堂日記vol.5

JR根岸線、横浜駅から約20分の洋光台駅。駅前のまちまどレンタルスペースの中に、「こども食堂レインボー」はあります。オープンは月に2日。昼ごはん30食、夜ごはん30食。 ずらりと並ぶカラフルなお惣菜、お魚とお肉のメインディッシュのワンプレートごはん。日によってメニューは変わりますが、家庭的で親しみやすく、栄養価の高い食事をいただくことができます。広めの廊下ではこども達が指揮をとって、わたあめやかき氷など食後のちょっとしたおやつを作ったりしています。 2021年8月に「こども食堂レインボー」は開店しました。店主は『otona MUSE』はもちろん、モード雑誌からタレントのスタイリングまで幅広く活躍しているスタイリスト木津明子さん。売れっ子スタイリストである彼女がなぜ、こども食堂をやってみようと決心したのか。今回のvol.5のテーマは、『こども食堂で働く子どもたち』について。
木津明子のこども食堂vol.4はこちら
こども食堂のスタッフたちの中には、子連れでお手伝いに来る人も多々。幼稚園から高校生までその年齢は様々で、中には毎回必ずお手伝いに来てくれている子もいます。 子どもたちはどんな思いで働いてくれて、そして何を感じているのか。これまできちんと気持ちを聞く機会がなかったので、今回は彼らに素直な思いをインタビューしてみました。

子どもたちを順番に取材。みんな恥ずかしそうに、でも考えながらしっかり答えてくれました。

まずは、当日だけでなく、絵を描いたり支援カードの名前を書いたり、最も手伝っているであろう木津さんの娘・あこちゃん/12歳 「ママがこども食堂を始めると聞いた時、大変にならないかなぁとまずはママのことが心配でした。実際に始まったら、お仕事という感じではなく、思っていたよりも楽しくて、私自身も続けたいなと思えたし、心配はどんどん減っていきました。友達みんなと準備したり接客することがとても楽しい。食べに来てくれた人が笑顔で美味しそうにしてくれると、本当によかったなって思います。こども食堂が月に2回土曜日にあって、それの為の準備もあるし、家族で遊ぶ時間は少しだけ減ったかもしれない。それにママには頑張りすぎては欲しくない。けれど、こども食堂は続けていきたいし、続けていくためにはやっぱり頑張らないといけないだろうし…とか色々思っています」 ちはるちゃん/12歳 「最初からほとんど来てます。あこちゃんに誘ってもらって来てから、すごく楽しいので毎回楽しみにしてます。働くようになって、こども食堂の仕組みがよくわかるようになりました。お客さんと触れ合えることが楽しいし、友達と働けることは嬉しい。食事を運んだり受付することが好きです。これからは、料理を盛り付けたりもしてみたい。それに、友達とか周りの人たちにも、自分がこども食堂で働いているということをもっと伝えていきたいなと思ってます。もっと知ってもらえたらたくさんのお客さんが来てくれるようになるだろうし、こども食堂というものを知ってもらえたらいいなと思うので」

大人2人を囲んで子どもたち全員が餃子づくり。どんどん早く綺麗に作れるようになっていきました。

あかりちゃん/12歳 「あこちゃんに誘われてお手伝いに来るようになりました。こども食堂が始まって2カ月後くらいから始めて、それからほとんど来てます。お客さんに食事を運んだり、話しかけてもらったり、ありがとうって言ってもらえたりすると嬉しいです。大変なことはあまりなくて、楽しいって思うことがほとんどかも。今はお茶や箸を運んだりしていることが多いから、これからは料理を盛り付けるのをやってみたいなって思ってます。あーちゃん(木津さん)とかお母さんたちとお客さんとのコミュニケーションを見ていて、よく来てくれるお客さんとどんどん友達みたいになっていくのがすごいなぁって思います。私も友達とかにもっとこども食堂の話をして、ちょっと遠くても1度来てくれたら嬉しいな」 みとちゃん/12歳 「私は今日がこども食堂1回目です。こども食堂という存在はテレビでしか見たことがなかったので、今回来てみました。ずっと友達から話は聞いていて、その時のイメージでは、子どもに優しい場所。実際に来てみたら、子どもだけでなく大人にも優しい場所なんだなと思いました。なんとなく、人が少ない場所にあるのかなとか思っていたら、いろんな人が歩いている団地内に普通にあって、それもびっくりでした。スタッフの人たちやお客さんとかみんな優しくてめっちゃ楽しい! こども食堂1回目だけど、これからもこういうことに関わりを持って行けたらいいな、また来てみたいなって思います。子どもが来やすいように、子どもが喜ぶような飾り付けとかをしてみてもいいのかもとかも考えてます」

ドーナツ片手に休憩。子どもスタッフ同士も労わりあったり優しくしたり、大人たちがその姿に驚かされることも多々。

ゆずきちゃん11歳 「こども食堂1回目です。みんなで仕事するという体験が楽しそうだったから、あこちゃんとらんちゃんの紹介で来ました。こういう場所だよという話は聞いていて、自分たちで一から色々作るという点は思っていたのと一緒だったけれど、働いている人数が思ったより少なかった。今日働いてみて、また働きたいなって思います。みんなとお仕事するのはやっぱり楽しい。働いたことで、仕組みがだいたい分かったのもよかったです。いつも通りにやっている感じで、これからも参加してみたいって思ってます」 くららちゃん/14歳 「こども食堂4回目です。ママから話を聞いていて、徐々にお手伝いを始めました。1回目は、思った以上に大変でした。お客さんがどんどん入ってくるし、出すのも大変だし、こういうお手伝いをするのが初めてだから何をしていいか分からなくて。でも、だいぶ慣れてきました。分からないことは大人のスタッフの人たちがどんどん教えてくれるし、できることが増えていくのも楽しい。子ども食堂のことはなんとなく分かっていたけど、具体的な仕組みとか何をしているのかまでは分かっていなかったのですが、働くことで仕組みがだいぶ分かりました。今までは運ぶことがメインだったので、今日料理を作る方を手伝ってみたら楽しかったので、これからは料理のお手伝いもしてみたいです」

おやつを食べながら順番に休憩。暖かくなってきたので、外のベンチへ。小さな子どもたちは食堂の隅で絵本を読んだり恐竜で遊んだり。近くに公園もあるので、小学校高学年や中学生のお姉ちゃんたちに連れて行ってもらって遊んだりしています。

この日は、お客さんからのドーナツの差し入れ! こどもスタッフたちは大喜びでした。

お昼休憩の間に子どもスタッフたちにインタビューをしてみて「意外と料理を盛り付けたり配膳したり、料理の手伝いをしたりしたいんだ」という希望(夢)を持っている子が多いということにまず驚きました。早速インタビュー後すぐに大人スタッフたちにそのことを伝え、早速子どもたちは盛り付け係に。餃子を包む作業もお願いしてみると、全員とても楽しそうに包んでいました。 「働く側もハッピーに」をモットーとしている木津さんの思いがきちんと伝わっていて、大人スタッフだけでなく子どもスタッフたちもいつも楽しそう。誰かの為に何かをしてあげている、という事がメインになるのではなく「楽しい! 楽しいから続けていたら、それが気づけば誰かの役にも立っていた」という子どもスタッフたちの雰囲気や笑顔が「こども食堂レインボー」の大きな柱の一つとなっています。 こうしてハッピーが循環する場として続いていきますように。

働いている時も休憩中も、いつでもニコニコと楽しそうな子どもたち。お姉ちゃんたちは、小さな子どもたちの面倒もよくみてくれています。笑いながらドーナツを頬張る子どもたちの後ろ姿を、レインボー婦人会(こども食堂の大人スタッフ)たちは「可愛いねぇ」と眺めていました。

photo&text:MAKI KAKIMOTO

otona MUSE K

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