黒木華さん撮り下ろし&インタビュー「これを見た方に悪い役をやらせたいって思ってもらえたら嬉しい(笑)」
BEHIND THE SCENES
ここでは連載のディレクションを務めるメイクアップアーティストのUDAさんと黒木さんにインタビューを実施。今回のクリエイティブのテーマや、撮影を終えた黒木さんの思いを伺いました。
『普段はあまり見せないやんちゃな部分を
引き出してもらえた撮影でした』
ーー黒木華さん
役者さんは自身の内面や個を出すことって、実はあんまりないように感じていています。自分が演じているので当然それは自分なのですが、(自らの)内側にあるものを引き出しつつも、どれだけその“役”でいられるか、ということが多いんですよね。本来は内面を表に出すことは恥ずかしく感じてしまうのですが、一方でオープンでもいなきゃいけないって、役者って変な仕事ですよね(笑)。だからお話をいただいたときは、「引き出してもらえるなら、引き出してもーらお!」という気持ちでした。どんな自分になるのか興味があったというのもありますし、UDAさんが引き出してくれるなら、絶対に面白いだろうなって。
撮影のリファレンスでヴィヴィアン(・ウエストウッド)の写真が何枚かあったのですが、確か初期のヴィヴィアンってセックス・ピストルズの衣装を手がけていたんですよね。私、70〜80年代のロンドンの服装とか雰囲気がすごく好きなんです。撮影前の打ち合わせのときには洋服に関することは全く話していなかったのに、「もう覗かれてる!」とびっくりしました。また、UDAさんはクラシックな部分を大切にしながらも、古びることなく新しいものを生み出していく面に魅力を感じているとお話しされていましたが、私自身もそこに共感する部分があって。というのも、日本の古典作品に出演させていただいた際、おそらくその時代の精神性と異なる時代にいるからこそ、古いもののよさが分かって、よりよいものにできている部分があるんじゃないかと思っていたんです。だからびっくりました、ばれてるって(笑)。
今日は撮影が進むにつれて画がどんどん見えてくる感覚があり、「じゃあ自分はこうしたらいいんだ」というのが、本当にスムーズにできました。こういったクリエイティブな場所にいられるのはすごく面白いし、自分のなかにあるやんちゃな部分を出すことができる現場は本当に楽しいし、私にとってもとても刺激になりました。
あとはUDAさんはロックな方だと思っていて。クリエイティブのお仕事をされている方たちは、壊して進んでいくという一面や、崩して作っての繰り返しだったりもすると思うので、役者の仕事とどこか似ている部分があるなと感じました。だからこそ、違和感なくオープンな姿勢でUDAさんと向かい合うことができたと思います。
出来上がったものを見ていただいて、悪い役をやらせたいって思ってもらえたら嬉しいです(笑)。
direction & make-up:UDA[mekashi project] photograph:MITSUO OKAMOTO styling:KANAKO SUGIURA
hair:NORI TAKABAYASHI [YARD] model:HARU KUROKI interview & text:MIYU SUGIMORI
otona MUSE 2025年3月号より
EDITOR
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