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よしひろまさみち

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「悲しい出来事も役を通して消化していける」4月25日公開映画『花まんま』有村架純インタビュー

「悲しい出来事も役を通して消化していける」4月25日公開映画『花まんま』有村架純インタビュー

うまくいくタイミングって、何か別の力が働いているように感じるときはあります

――フミ子は兄・俊樹に隠しごとをしていますし、あるキャラクターが乗り移ったかのような場面もあり、多面性のある役柄ですよね。でもその境目が見えない、すごくフレキシブルな芝居だったと思うんです。

 

有村 そうなんですよね。輪廻転生みたいなファンタジーが盛り込まれているキャラクターで、自分自身に現在進行形で他の人の記憶が宿る人物を演じるのは初めてでした。フミ子にとっては、自分と別の人格に境目がなく、それが日常であるというところを捉えていたので、おそらくフミ子はすごく客観的だったんだろうと思います。なので、兄やんとの喧嘩のやり取りで「私は私や」っていう発言が出てきたりするんですよね。私の解釈ですが、フミ子にとってフミ子の部分がとても大きくて、別のキャラクターに侵食されまいとしているんじゃないか、と思って演じています。

 

――フミ子のように見えない何かに突き動かされるっていう経験、あります

 

有村 見えない力……ちょっとオカルトっぽいですね(笑)。その手の話ではありませんが、今回の作品との出会いのように、うまくいくタイミングって何か別の力が働いているように感じるときはあります。たとえば、自分の私生活で悲しい出来事があったとして、その瞬間は悲しい、でも振り返ってみるとあのとき悲しかったことって、この役で、ここの感情で必要だったんだ、とか。ありがたいことに、お芝居をするお仕事があるおかげで、自分にとっていい出来事だけでなく悪い出来事も、役を通して消化できていくんです。それがすごく助かっていると感じることは多々あります。

 

――役者のお仕事って難しいですけど、そんな利点があるんですね……。しかも、経験済みのリアルな感情が活用できるとは。

 

有村 そうなんです、ありがたいことに(笑)。今回も、それこそタイミングの話なのですが、この王道の家族ものが自分にとっては、すごく必要だった時間、でした。しかも主演じゃなく、大事な役割で参加させていただけたことも含めて。座長としてではなく別の角度から現場を見ることもできましたし、地元でもある関西でオールロケということも全て含めて、タイミングがばっちりあっていたのが、いい影響を与えていると思っています。お芝居の取り組み方は一緒ですが、すごく楽しかったんです。

「悲しい出来事も役を通して消化していける」4月25日公開映画『花まんま』有村架純インタビュー

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interview & text:MASAMICHI YOSHIHIRO
photograph:KAZUYUKI EBISAWA[MAKIURA OFFICE]
hair & make-up:IZUMI OMAGARI
styling:SEGAWA YUMIKOumiko

衣装:エンフォルド

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WRITER

よしひろまさみち/映画ライター

よしひろまさみち/映画ライター

1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。

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