PEOPLE

MON.04.17
2023

これが最新。モデル・竹下玲奈の私服は「新しい古着と、ヴィンテージ」が欠かせない【後編】

イヴ=サンローランのヴィンテージのピアスをつけた竹下玲奈さん
ミューズモデルの「おしゃれ番長」の名を欲しいままに、独自のおしゃれ路線を貫く竹下玲奈さん。過去、本誌で開催された私服特集でも本意気のコーディネートテクニックを披露し、スタイリストやアパレル関係者らもため息混じりに「玲奈ちゃんは本当におしゃれ」と感嘆しています。この春、otonamuse.jp限定企画として竹下さんに私服取材を敢行! 今回はその後編です。「裏テーマは、古着かな」と、オトナミューズだけに手加減なしの最新スタイルを見せてくれました。玲奈カジュアルの極意が分かるかも!? おしゃれ上級者、全員必読!

いつだって探す、ネットでも買う!
古着には勝てない何かがある

ありがたいことに創刊から9年、一緒に成長してくれて、ずっと見捨てずに愛してくれたりするオトナミューズの読者世代にもなると正直、果敢に古着まで探求するおしゃれ上級者もいれば、新進気鋭のデザイナーの感覚を愛するおしゃれ上級者もいる。好みはそれぞれ。古着が似合わなく感じ始めた人もいるし、古着を着ると古めかしく感じる人だっている。竹下さんは前者。古着への熱意が、冷めたりすることはないんですね。 「ぜんぜん変わらないです。なんなら新しい古着屋さんを教えていただきたいです。新しいお洋服も、好きです。全般的に、布が好きなので(※otona MUSE 2022年6月号参照)。新しい服も好きだから買ったりしているんですけど、なんだろうな。古着にしかない何かが、私の中ではあるんですよね。何かが、あるんですよね」
布が好き。竹下玲奈さんインタビュー
TOROで買ったスキーウェア3点セットの古着を着た竹下玲奈さん
竹下さんは普段からあまり饒舌なタイプではない。質問をすれば「うんとね」と、時間をかけて一生懸命考えて答えてくれるけれど、自分から「聞いて、聞いて」と話を始めることはオトナミューズが創刊して9年、一度もなかったように思う。けれどたまにイイ感じの古着――竹下さんが言うところの「イイ布」――をまとっていると「それはどこで買ったの?」と、自ら問いかけてきたことはあった。正直、けっこうお値段高かったやつだけ。本当にお目が高いですね、と聞かれた側は苦笑せざるをえない。 「お買い物はネットと店舗、半分半分くらいかな。サンタモニカはサイズ感の幅があまりにも広くて、ネットでは分からないものが多いから、見に行って買うようにしています。男女一緒になっている古着屋さんはお店で買いますね。表参道のサンタモニカが好きなんです。店員さんのアドバイスがいつも的確で、博識でいらっしゃって。買い物するときにちゃんと教えてくれて、そして買えるから親しみがわくし、楽しいです。うん。 TOROはネットでも買うし、お店にも買いに行ったりもします。ミスタークリーンっていうお店は渋谷区の富ヶ谷にあるんだけれど、そこでも買ったりします。あとはメルカリ? スニーカーはデッドストックがあったり、もう、絶対年代もので買えないやつを新品で持っている人がいたり。『何回かはきました』みたいなのも、買ったりしています。何回かはきましたなんてもう、むしろ、喜んで(※竹下さんは新品のスニーカーを汚してはくのが信条です)。新品じゃないスニーカーなんて、むしろ喜んで、そうそう」 布の話になると急に饒舌になりますね……。そして、ネットで買った最近のヒット古着がこちら。
スキーウエアの古着の3点セットとTHE ROWのブーツをはいた竹下玲奈さん

TOROのネット通販で購入したジャケット、ベスト、パンツの3ピース、THE ROWのブーツは竹下さん私物

「ベストとパンツとアウターを3点セットで買ったんです。TOROのサイトで、よくよく情報を見たらスキーウエアって書いてあって。昔、スキーするときに着用されていた服って聞いて、よりいっそう、欲しくなって。お花の刺繍が入っているんです。防水加工も、なにもないの(笑)」 竹下さんが甘いもの、フェミニンなものをわりと避けている印象をお持ちの方も多いかもしれないけれど、実はこういったガーリーなレトロ柄は大好物。セットで4~5万円くらいでした、とのこと。まさに一目惚れして買ったんでしょうね。ここにTHE ROWの厚底ブーツを合わせているのがちょっと意外。このブーツ、オトナミューズ界隈の関係者で、はいていない人を見つけるほうが難しいほど数年前からヒットしているアイテム。モデル、スタイリスト、み~んなはいています。竹下さんって「みんな持ってる」ものにそんなに手を出さない印象なんですが……? 「あ。こずこず(スタイリストの安西こずえさん)がはいているのを見て、可愛いなと思ってすぐ購入しました。でも、自分の中ではきこなすのに、時間がかかっちゃった。日常でもたまにはこうとして、『何か違うな』っていつものブーツに戻すのを繰り返して。もともとドクター・マーチンとかゴツいワークブーツ系をはくことが多いので、THE ROWも数年かけて少しずつ汚して、最近そろそろ大丈夫そうだなあ、って感じて、今日はいてみました。こういうデザイン性のあるブーツというか、洗練されたデザインのブーツって、照れがあって。やっと使いこなせるようになった感じです」 どうやら、このブーツを竹下さんが購入したのは大流行するより前のよう。流行っているから身に着けておきたいというミーハーマインドはあまりなく、撮影現場や街ではいている人のコーディネートを参考にしているうちに、満足してしまうこともあるそう。それ、もしかしたらシューズボックスにずっと置いておいて、古着と同じように、自分のなかでもエイジングが進んだってことですかね……? 「あ、そうなのかなあ。そうかも。なんでなんでしょうね、ずっと『今じゃないな』って思ってたんですよねえ」
ヴィンテージのコルセットとピアスをつけた竹下玲奈さん

TOROで購入したコルセット、表参道の古着屋で購入したピアスは竹下さん私物

着るつもりはなくて、ただ眺めめたくて買ってしまう服がある。
布が好きだから

続いて登場するのがヴィクトリア系のコルセットに、イヴ・サンローランのヴィンテージのジュエリー。 「ちょっと前だと、『ワオ!』て感じの、ゴージャスで大げさなヴィンテージのアクセも、今やそう見えない時代が来ていると思うんです。これはすごく使いやすいなと思っているピアス。すっごい昔のサンローラン。サンローランがイヴ=サンローランって呼ばれてたころの。70年代? 60年かなあ、そういう時代のものみたいです。表参道に今もあるのかなあ、もうないのかなあ、すごい古いマンションの、2階に上がった一室にある古着屋で買いました。今もあるかもしれない、名前は覚えていないお店で買いました」  
イヴ=サンローランのヴィンテージのピアスをつけた竹下玲奈さん
いいですね、こういうおぼろげな説明。ベロア素材のキャミソールというよりはコルセットと呼んだほうが正しそうな、トップスも間違いなく古着ですね。 「そうです、結構な古着です。多分、ヴィクトリア系だと思います。なんか、眺めたいなと思って。多いんですよ、そうやって買ってしまった眺めるだけ、愛でるだけのお洋服。なにせ、布が好きだから。クローゼットに飾るというか、しまう。眺めながら、愛でながら、お酒をチビチビ飲む(笑)。こういう私服取材とか撮影以外のときには着ないですね。今日みたいに着る機会があってよかったなあって思う。布も喜んでいると思います、ありがとうございます(笑)。こういうものを買うなら、リアルに着られるカットソーを1枚でも買ったほうがいいんじゃない? って妹によく言われるんですけど。うん、そうだよねって納得するんですけど、でも買っちゃう。で、クローゼットを開けたときに見えて、ニヤッとしています」 コルセットはさすがに着て外には出ないけど、ピアスは最近外でもよくつけていますよ、と竹下さん。「布も喜んでいる」あたりの感覚は私には理解できませんが、本物のヴィンテージジュエリー、とってもお似合いだと思います。
セントジェームスの古着のボーダーカットソー、MAISON MARGIELAのスカーフの竹下玲奈さん 私服特集

セントジェームスの古着のボーダーカットソー、MAISON MARGIELAのスカーフは竹下さん私物

MAISON MARGIELAの比較的新しめシーズンのスカーフを頭に巻いて、セントジェームスの古着のボーダーカットソー。マリンスタイルの先駆者であるフランスのセントジェームスは、竹下さんも普段からよく着用している。フレンチカジュアルがとても似合う竹下さんの、らしさがあふれているコーディネート。カットソーは状態はいいけれど首や袖のところにイイ感じのほつれがあり、絶妙なグレーとアイボリー(もとは白だったのかもしれない)のボーダーが肌の質感ともとっても相性がいい。似合うものを知っている人、そんな印象を与えてくれる。 「購入をきっかけにブランドの歴史を知ったりすることもあって、セントジェームスのこのカットソーは10年以上着ているんですけど、穴とかもいっぱいあいて。買ったときはもっとキレイだったんだけど、こんな風になってきちゃった。古着で買って、しばらくはパジャマ兼用で着ていて、ボロボロになってきて今は見る人から見たらどうなのかなって思うかもしれないけど、私はこの感じが好きなんですよね」 外で着ていた服が古びてきたからパジャマにするという話はよく聞きますが、パジャマとして愛用してエイジングが進んだから外で着るという話はあまり聞きませんよね。比較的最近の柄であるスカーフと、永遠のベーシックであり自分的にヴィンテージ化してきたカットソーの組み合わせを、自分の心の中で「新しいものと古いものの組み合わせ、いいぞいいぞ」と楽しんでいる。本当に布が、服が好きな人なんだな、と痛感させられます。   「昔はいろんなものに興味があって、いろんな色に興味があって、過去の私服特集を見ても、自分探しを、すごくしていたのかなって思う。今回『自由に私服でコーディネートしてください』ってオトナミューズさんに言われて、おうちでいろいろ着てみたんだけど、やっぱ古着をミックスしたスタイルかなあ。最近も、街でお買い物をして帰ってきたあと、家でネットショッピングしたりしていて、自分でも『やばいぞ、私』と冷静になることがあるんですが(笑)。服、好きですね。うん、興味がぜんぜん、なくならないです。昔みたいにあれもこれも着て自分探しをするという感じじゃなくて、今は。好きなものは分かってきて、好きなものを探して、好きだから買う。それがすごく、楽しいですね」
前編はこちら 竹下玲奈さんのインスタグラム

styling & model:RENA TAKESHITA
photograph:SHOHEI KANAYA hair & make-up:TOMOE NAKAYAMA

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