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4人で始めたブランドが、世界へ! 大ブレイク中のスニーカー、D.A.T.E.の創設者に聞くブランドの往古来今【来日インタビュー】

2021年にオトナミューズで紹介するや否や爆発的な人気を呼び、セレクトされている店舗では完売し続けるという状態が続く大人気スニーカーブランド、D.A.T.E.(デイト)。4人の創業者のイニシャルを取ってイタリアで2005年に誕生し、今では世界中に実店舗を持つ大きなブランドへと急成長を遂げています。そしてなんと今回、創業者であるエミリアーノさん(デザイナー)とトマッソさん(CEO)のおふたりが来日するということを聞きつけ、デイトの今までとこれからを聞かせてもらえました!
D.A.T.E.のオフィシャルサイト
――ようこそ日本へ! EMILIANO・TOMASSO(以下ET) ありがとう! ――今回の滞在は4日間と短かったと思いますが、美味しい物は食べられましたか? T (笑顔で)この顔を見てよ! 大満足でこの笑みだよ。 E 初日は焼肉を食べたよ。もちろんお寿司も。あとは、食べたことはあるけれど、しゃぶしゃぶも食べたいな。 ――私もイタリア料理、大好きです。数年前イタリアのベローナに行ったことがあるのですが、イタリア料理は日本人と、日本料理はイタリア人と相性がすごくよいと思います。 T ベローナはパオロ(インターナショナルセール)の出身地だよ! ヴェネツィアにも行けるし、ミラノにも行けるし、あちこち行きやすい場所なんだよ。でも次にイタリアに来てくれたら、僕たちのオフィスがあるフィレンツェを連れ回してあげるよ。 ――とっても楽しみです!

友情と情熱が叶えたイタリアンドリーム

――オトナミューズで紹介してから編集部まで「買えない」と電話がかかってきたこともあるほど、本当に大人気のデイトですが、ブランドが始動したころの思い出や、最初にどんなスニーカーを作りたいと思っていたか教えてください。 T 完売するなんてありがたい話だね! たしかにこの雑誌に載っている店舗(マルティニーク)は完売してるって言っていたよね。 E 嬉しいね。ブランドの始まりは、友だちとロンドンで食事をしていたときかな。お店でアペリティーボしていたときに、店員さんにペンを貸してもらって、よくあるお店の紙ナプキンにスニーカーのデザインをドローイングしたことがきっかけなんだ。計画して始まったことではなく、友だちとの夕食の席からスタートしたブランドなんだよ。 ナプキンに描いたそのデザインを「いいね!」って盛り上がって、改めて白い紙にデザインを描き起こしたんだ。その絵をたくさんの友だちに渡して、それぞれ自由に色づけしてもらった。すごくカラフルなものだったり、花柄のものだったり、たくさんあったものの中からイケてるものをいくつかピックアップして、僕たちなりにデザインに落とし込んで、発表したのが最初のコレクションだよ。 ――まるで映画のようなスタートですね! その紙ナプキンは残っていますか? E いや、もうないかも。最初に描いたデザインのものはもうコレクションでは展開していないからここにはないけれど、どこか探せばあるかもね! T あ、写真があるかもしれない! ちょっと待ってね……。(3分ほど探してもらって)ごめん、見つからなかったや(苦笑)。 E 最初のコレクションのスニーカーは、オフィスのガラスケースの上に置いてあるよ。 ――日本ではフーガというモデルが1番人気を集めていますが、海外でもフーガが人気なのでしょうか? T 他のモデルも人気だけど、海外でもフーガはとくに人気のあるデザインだよ。
――デイトはブランドのスタートが2005年、翌2006年には世界的な展示会であるPITTI IMMAGINE UOMO(以下ピッティ)で、3日間で8,000足売れたという伝説的な歴史がありますが、そのときどんな気持ちだったか、改めて教えてください。 E すっごく嬉しかったけど、ちょっと怖かったね。8,000足っていう数字は単純に嬉しかったけど、当時はアレッサンドロとトマッソは本業があったし、生産をどうしようか、っていう問題にも直面したんだ。最初のコレクションの生産は自分たちで行ったんだけど、そのころお願いしていた工房のメインはハイブランドのシューズを生産しているところだったから、この(8,000足売れた)あとの生産体制を、どうしたらいいんだろう? って。 T 僕は当時、本業で別の仕事があって、その仕事が終わったあとにデイトの仕事を進めていたんだ。そんなタイミングでピッティで大ブレイクしちゃったから、当時は本当に困ったよ(笑)。全部、彼(エミリアーノ)のお父さんのガレージで手作りしていたから、生産体制を今後どうするか、っていうのはピッティ後大きな課題になったね。 ――その大問題はどのように解決されたんですか? E さすがに自分たちで作るのは難しいと感じていたからね。もともと僕はシューズデザイナーとして働いていたから、ツテも使いながら2カ月間世界中を周って、自分たちが納得のいく生産者を見つけたんだ。

デザイナーのエミリアーノさん。声も渋くて素敵!

――すごく大変そうですね。 E 何かを始めたり進めたりする過程で、その対象について知ることはすごく好きだから、その2カ月はそこまで苦ではなかったよ。 ――今はどのような生産体系になっているか、教えられる範囲で教えていただけますか? T デザインチームと生地を管理する部門はイタリアに、プロダクトの生産のクオリティ管理は海外にあって……と、いろいろ分業しているよ。 ――初めは4人でスタートさせてここまで大きくなっていますが、どれくらいの従業員を抱えているのでしょうか?  工場で生産している人たちは抜いて、50人くらいです。 ――大きな企業からの支援やバックアップがあったわけでもないんですよね。  これくらいのちっちゃい部屋で始めたんだ。今、目の前にある、このサイズ感のテーブルにコマーシャル部門もスタイル部門も、なんなら全部の部署がこんなテーブル内に収まっていたんだよ! 「~部門に繋いでください」って電話がかかってきたら「少々お待ちください」って一旦保留にして、また自分で「お電話代わりました」って電話を取っていたよ(笑)。でも、それはそれで楽しかったよ!

「このくらいの机で全ての部署が収まっていたんだよ」(トマッソさん)

CEOのトマッソさん。太陽のように明るく話してくれました。

E 4人で始めて、僕とダミアーノは靴の知識はあったけれど、トマッソとアレッサンドロは全く靴の知識がない状態だったからね。靴の外側の目立つところはトマッソとアレッサンドロが、内側の目立たないけれど、靴としては重要な部分のデザインは僕とダミアーノが担当していたんだ。 ――なんだか青春ですね! 友だち同士で叶えるイタリアンドリーム、すごく夢のある話です。 E そうですね。 ――初めから現在のような海外展開は視野に入れていたのでしょうか?  ピッティで発表した時点で、海外からのカスタマーも多かったから海外にも視野を広げてはいたけれど、最初はただ靴が作りたいという情熱だけだったね。
――おふたりと話していて、世界でこんなにも有名にもなっていながらも、このカジュアルな雰囲気は変わっていないんだろうな、という気がします。 E・T 僕たちのブランドは、友情と情熱から生まれたものだからね。  デイトはもともと友情から始まっているから、たくさん大変なこともあったけれど、とにかく情熱があったからこそ乗り越えられてきたんだと思う。情熱が全てだよ! E この4人だけじゃなくって、さっき言った50人の社員みんなで食事したり、遊んだり、友だち同士のようなよい関係性で成り立っているんだ。仲のよい友だちでスタートさせたから、今でもこの関係性は続いているとも言えるし、他の社員たちとも仲のいい関係性を築いているよ。
――デザインはエミリアーノさんだけで担当されていると思っていましたが、現在はいろんな社員の方と話して決まっているのですか? それとも他にもデザイナーさんがいるのでしょうか? E 僕の手書きのデザイン、ラフ画から全てがスタートします。それを生地担当に渡したり、生産担当に渡したり、分担はあるけれど、デザインはあくまで僕のドローイングからスタートするよ。 ――カリスマデザイナーじゃないですか! E・T はは!

共通点が多い日本はインスピレーション源にも

――日本でもデイトは人気ですが、多彩なデザインの中でも比較的シンプルなものが好まれている気がします。そのことに対してどのように思いますか? E 日本に限らず「シンプルでエレガント、完成度の高いもの」という点を、もともとプロダクトとして目指しています。たとえば素材は既存ものではなく一から相談してオリジナルで開発するなど、細部までこだわりはあるけれど、あくまでシンプルに、を意識しているよ。 ――4月号では日本限定のスニーカーを紹介しましたが、いかがでしたか? E 僕たちのテイストにすごく合っているから、好きでしたね。むしろ、日本のマーケットやカルチャーが好きで、よい影響を与えてもらっているんです。
【D.A.T.E.】 最新コレクションはユニセックスが基本
T これは本当だよ。初めて日本に来たとき、街中を歩いていても素敵なところが多いし、インスパイアされることがすごくあったから、いつもよい影響を受けているよ。 ――では、なぜ日本に店舗がないのでしょうか?! T ははは! それこそ今朝、散歩中にどこにオープンさせようかって話していたところなんだ! もちろん日本にもオープンさせたいと思っているよ。もうすぐだから、待っていてね(笑)。
――最後に、これだけ大きなブランドに成長してもなお、デイトで叶えたい夢はありますか? T もちろん! 1つめは、まず店舗を増やすこと。5年前にミラノ、1年前にフィレンツェ、今年はローマにオープンします、あとは東京と、パリにもね! 2つめは、サステナビリティに関するアクション。僕たちだけで世界を変えられるとは思っていないけれど、その一歩として作った際に廃棄となるゴムや生地を使って、オリジナルのスニーカーを作るワークショップなども今後行っていきたいと思っているんだ。やり始めること自体大変なことだから一歩一歩にはなるけれど、どんどん試していきたいと思っています。3つめは、衣料品。すごく大きなコレクションを、というわけではないけれど、セレクトされた数少ないアイテムを少しずつ展開していきたいと思っているよ。 ――それはデイトのスニーカーに合うお洋服アイテム、ということ? T もちろんそうだよ! 実はもう“なにか”はあるんだけどね(笑)。 ――え!? T 日本での展開はもう少し先になりそうだけどね。次に日本に来たらオトナミューズに最初に見せてあげるよ! ――ありがとうございます。とっても楽しみです! 最後に、日本でしたいことはありますか? E 観光だね、いろんな地域を見てまわりたいな。僕は今回初めての日本滞在だったんだけど、なにせ4日間と短かったから。次は自由な時間をたくさん作って、京都にも行ってみたいな。 T 僕は温泉にも行きたいな。猿が雪の中で温泉に入っているところも見たいんだよね……。どこだっけ? ……日光? そうそう、そこ! E 日本って海が綺麗な沖縄だったり北海道だったり、長くていろいろあるから1カ月は必要だよ。次は家族を連れて長期間滞在したいな。 ――ぜひご家族でいらっしゃってください。その時は東京の店舗でお会いしましょうね! E・T もちろん! 楽しみで待ちきれないね!    

「誌面のデザインにこだわりを感じるよ」(エミリアーノさん)と、オトナミューズの全ページに目を通してくれた2人。なんだか緊張しました。

なんと最後には日本に実店舗をオープンさせるというビックサプライズ発言や、お洋服も展開されるかも? というお話も! ブランド創設者のおふたりにお会いしてお話させていただいたことはもちろん、デイトファンとしては聞き逃せないニュースばかりで、終始心拍数は高め。最後には最新号のオトナミューズを見ていただき「どのビジュアルもとても素敵だよ!」なんてお褒めのお言葉もちゃっかりいただき、大ファンになりました。情熱と友情が育んできたデイト。はいていて楽しい気持ちになるのも、弾むように歩き出したくなるのも、包容力のあるエミリアーノさん、陽気なトマッソさん、そしてニコニコと優しい笑顔で2人を見守るパオロさんを見ていると納得できる気が。夢にあふれたお話、ありがとうございました。早く日本にもデイトのお店、作ってくださいね!
D.A.T.E. 日本公式オンラインサイト T-circle

photograph:ICHIRO TAKASE
interpreter:AIKO SHIGEMITSU[A.K.A.Co.,Ltd]
otona MUSE Y & otona MUSE S

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