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長澤まさみ デビュー20周年記念!
写真集『ビューティフルマインド』に込めた想いとは?

長澤さんが表紙を飾ったotonaMUSE2021年10月号はこちら
長澤まさみさんのデビュー20周年を記念して制作された写真集『ビューティフルマインド』が現在発売中です。写真家、スタイリスト、芸術家、編集者、お笑い芸人、女優、映画監督など、多くのクリエイターが集結した“雑誌みたいな写真集”の中身を少しだけお見せするとともに、長澤さんの写真集に込めた想いやこだわりをたっぷり語っていただきました!

人と関わることで自分が生み出されていると感じる

── 2回めのオトナミューズの表紙撮影(小誌2021年10月号)はいかがでした? 洋服が大好きなので、すごく楽しかったです。洋服って、その日の気分が決まるものだから、すごく重要じゃないですか。毎日忙しくても、お気に入りのワンピースを着ていくだけで気分が変わって仕事を頑張れるとか、洋服の世界はやっぱり楽しいですよね。周りでファッションに関わっている人が多いのもあって、とても身近なんです。 装うことって、役を演じるのと一緒じゃないかな。お芝居するときも、衣装に助けられて演じられる、スイッチみたいなものだと思うんですよね。今回は「メンズの服を着る」という企画だったけど、プライベートで着ることもあります。今日のスタイリングでいうと、OAMC(オーエーエムシー)はいつもTシャツのグラフィックが素敵ですよね。今はジェンダーの境がない時代だから、女性でもメンズ服を楽しめますから。
── ファッション誌もお好き? 大好きです。ファッション誌って、その時々の流行りや事柄がスタイリングやポージングに反映されてる気がしていて。 例えば最近、自分の写真をカメラマンさんが撮ってくれたのを一緒に見ていたら、「あ、この顔。昔すごい流行った顔してる」ってことがあったんですよ。時代によって、流行りの表情や、顔の作り方ってあるんですよね。そのときの顔は、すごく懐かしい表情をしていて、はっとしました。 それを感じたときに、ファッションも進化してるしカルチャーも進化してることに改めて気づかされた一方で、そこからインスピレーションをもらって、ちゃんと自分が前に進んでるっていう実感も得られたんですよね。

長澤まさみ写真集『ビューティフルマインド』(小社刊)より

── お仕事のオン・オフの切り替えは? なるべくオンとオフの差がないよう、地続きな感じでやっているほうかとは思います。そこを分けると、オンのときに緊張しちゃうから。 ── 長澤さん、緊張するんですか? 今も仕事の現場では緊張するんですよ。なので、いざというときなるべく緊張し過ぎないようにオンとオフの境目をあまりはっきりさせないようにしてます。以前、仕事が終わったあとで、もうちょっとこうしておけばよかったっていう後悔があったときに、自分が納得できるように自分で環境作りをするのはすごく大事だなって気づいたことがあったんです。 ── それに気づくきっかけになった作品や人はいらっしゃいますか? 特定の作品や人ではないんですけど、これまで仲よくなったり、共感し合える仕事仲間の人たちから、いろんな影響を受けているんだと思います。
── 写真集に集まってくれた方々に、そのチャンスをくれた方が多くいそうですね。 そうですね。なかでもリリー(・フランキー)さんと宮川(大輔)さんは長いお付き合いで、そこに私が会ってみたいなと思っていた人をお呼びして、新風を吹き込んだら面白くなるんじゃないかな、とみんなで相談して人選しました。おしゃべりが上手な人たちばかりだから、読んでいて面白かったですね。 宮川さんとくっきー!さんとは、心から楽しい気分にさせてくれるような会話ができたし、リリーさんとミッツ(・マングローブ)さんは知的な感じが漂うというか、大人な雰囲気というか。人生の教訓にしたくなるような雰囲気を感じたり。みなさんやっぱりプロなんですよ。きっと楽しんでもらえるページになっているかと思います。

長澤まさみ写真集『ビューティフルマインド』(小社刊)より

── 長澤さんって人に恵まれてらっしゃると、この写真集で感じます。 そうなんですよ。本当に私、人との出会いの運がいいと思います。人と関わることで自分が生み出されてる感じがする。最近だと、『すばらしき世界』の西川(美和)監督と仕事したときに、共演者の方から「西川監督が描く人は多面的で深みを感じる」と聞いて、なるほどなって思ったんです。 人間はどうしても他人を一側面でしか見ない傾向にある、それは自分の主観が邪魔をするから。でも違う側面から見ることで人の深さや面白さをもっと感じられる。それを写真集の中にも詰め込めたかなと。人のいいところを見つける方法が他にもある気がしていて。たくさんの方の力を借りてそれを写真に焼き付けられたと思います。そのことに気づけると、楽しい時間が増えるんですよね。物事の価値観が増えて、人と共有できるネタが増えるから。

長澤まさみ写真集『ビューティフルマインド』(小社刊)より

── 写真集というよりも、贅沢なカルチャー誌のようなでき栄えですね。 雑誌って、私にとって違う世界への扉だったんですよ。雑誌には文学を感じるところや、ファッションやカルチャー、エンタテインメントなど、ジャンルがとめどなくあるから面白くて。そういう面白い雑誌のすごさみたいなものを写真集で出せたらなってずっと思っていたんですよね。 例えば、私はアートが好きなので、アーティストの方に、私の20周年をイメージして作品を作ってほしいって言ってお願いしてみたり。昔からお世話になっている方々や、最近お世話になった西川監督にちょっとしたショートストーリーを書いてもらったり。何度でも読めるものを作りたかったので、今まで一緒に仕事してきた人たちにお願いしたら、これだけのボリュームがある作品になったんですよね。 しかも20年目に作って、21年目にお披露目するのがいいなと思っていたんですよ。じつは私はこれを20周年記念という風に思ってなくて、21年目の「これから始まるスタート」っていう風に考えてるんです。だってこれまでの20年よりこれからの人生のほうが長いから。
── 写真集内の川村元気さんのショートストーリーでは、100歳以上生きてますもんね。 川村さんは私が19歳くらいから仕事してるプロデューサーさんなんですが、彼が現場にいる私の姿を見て、人物像を理解したうえで書いてくれている作品なので、私が読んでも「なるほど」と思いました。 エンタテインメントに携わっていると、名前が先に立って年を感じないってことがあると思うんです。それをあえて134歳の長澤まさみにして、私を描いてくれた。すごく面白かったですね。 ── 写真集も今日の10月号の表紙撮影も、多様化する価値観でリンクしているようです。 ほんとそうですね。ジェンダーの垣根が薄れるのと同じように、いずれ年齢も気にならなくなると思うんです。「アラサー、アラフォーだから私は」っていう価値観ってもう古くなってきているし、結婚を選ばない人たちもいるし。これからは、古い価値観に縛られず、いろんな生き方があっていいんだと思います。 また、女性がこれだけ生きやすくて、女性の発言権がある今の時代は幸せだと思うし、今生きやすいのは先人たちのおかげ。世の中が悪くなってるって思いがちだけど、絶対的によくなっていることのほうが多いんですよね。それを教えてくれたのは、エッセイストのたかのてるこさんなんですけど、彼女のように経験を積む素晴らしさを感じさせてくれる大人って素敵だと、いつも思っています。

長澤まさみさんのデビュー20周年を記念して制作された写真集『ビューティフルマインド』。長澤さんがこれまでの芸能生活で出会った大切な人たちとのコラボレーションにより生まれた本作は、まるで雑誌のような1冊。彼女の伸びやかさや美しさ、表現力が存分に発揮された撮りおろしから、桃井かおり、宮川大輔、リリー・フランキー等「大好きな大人たち」とのスペシャルトーク、西川美和監督、川村元気プロデューサーによる書きおろしの短編、アート作品まで、読み応えのある作品に仕上がっている。時折差し込まれる、ニヤリとさせられる「架空の広告」にも注目していただきたい。

長澤まさみプロフィール/ながさわまさみ・1987年6月3日生まれ。静岡県出身。2000年のデビュー以来、女優として映画・ドラマ等多くの作品に出演。第44回日本アカデミー賞では、映画『MOTHER マザー』にて最優秀主演女優賞を受賞。現在、映画『マスカレード・ナイト』が公開中。

photograph:AKINORI ITO[aosora](model),MAYA KAJITA[e7](still) / styling:MIYUKI UESUGI[3rd] / hair:KENICHI[eight peace] / make-up:MINAKO SUZUKI / model:MASAMI NAGASAWA / interview & text:MASAMICHI YOSHIHIRO / web edit:ANNA TOGASHI

otonaMUSE2021年10月号より

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