【インタビュー】山下智久「常にビジョンを持って、新しい景色を探しに行く」海外ドラマ初主演『神の雫/Drops of God』を語る

――オトナミューズでは「37歳、輝く季節が始まる！」をコンセプトに掲げています。山下さんと同世代かと思いますが、キャリアについて今現在はどんなお考えをお持ちですか？

ピークをどこに持っていくかは考えています。「15歳がピークだった」みたいになったらちょっと寂しいじゃないですか。人生をトータルで考えたときに、何年先くらいにピークを持っていきたいかを考えながら動いています。

――たとえばお仕事のペースなども……。

そうですね。仕事とプライベートのバランスもそうですし、あとは僕自身がこれからやりたいこととして「ひとつひとつの仕事の質をしっかり高めていく」があります。若いときはいろいろ試して量を重視するものですが、じょじょに「量より質」に重きを置くように変わってきました。友人たちの会話が刺激になることもあるし、僕を取り巻く環境も背中を押してくれていると感じています。

――そうした歩みの中で、映画やドラマといった映像エンタメの現在地をどのように捉えていらっしゃるのでしょう。

どこで生まれ育っても世界に届きやすい環境が整ってきて、本当に面白ければちゃんと伝わっていくんだなと感じています。そういった意味では、どこで仕事しても関係ない時代に入ってきたのかもしれません。傾向として明るいテイストを求められたりダークなものを求められたりは周期で変わってくるかと思いますが、ボーダレスになったぶん普遍的な面白さを追求していけばいいという意味ではシンプルになった気がしています。昔は流通の関係で「このエリアには、この国の作品の方が届きやすい」と聞いたこともありますが、いまはそうしたものもなくなってきたと思うので純粋に「面白い」と思うものを追求していくのが最も大事なことだと感じます。そのなかで、自分自身も高めていきたいと思っています。とくに外国にいるときには、遠慮せずに自分の意見をちゃんと伝えるようにしています。

――先ほどの「質を高める」のお話にもつながってきますね。

成長するためには経験をたくさん積むことが大事でしょうから、過去の自分が取り組んできたこともちゃんと生きていますし、この先も自分のペースで1㎝でも1㎜でも前に進むことを続けていきたいです。

――進化し続けていくうえで、新しい環境に身を置くことへの不安や怖さを感じることもあるのでしょうか。

飛び込むこと自体への不安はあまりないかもしれません。子どものときにも、右も左もわからない状況でこの世界（芸能界）に入りましたから。当時は相当試行錯誤しながらでしたが、あの経験があったからどこに行っても割と冷静に過ごせるようになりました。もちろん身の危険を感じるところには行きたくありませんが、それ以外は怖さはとくにありません。

――それこそオトナミューズのターゲットである37歳という年齢は、キャリアが固まってきたぶん、ともすれば新たな挑戦に躊躇してしまう時期でもあるかなと思います。

僕は「あのときやっておけばよかった」と後悔する方が怖いと思うタイプです。「やりたい」と思ったときにやってみる、自分の心が喜ぶことを選択してきました。経験を積んで成長していくと、触れるものも増えていきます。そうすると好きなものも、逆に嫌いなものも増えてきて、見える景色が広がってきた感覚があります。新しい世界を知るには、学んでいくしかないと感じます。

――先ほどのピークのお話に通じるかもしれませんが、“目標”を遠くに設定してそこに向かってきた感覚でしょうか。

そうですね。自分が求めていることをある程度明確にしておかないと見過ごしてしまうんです。「今日、赤い車を何台見ました？」と聞かれたとき、パッと答えられませんよね。でも「赤い車を数える」と思って過ごしていたら、明確に意識として残ります。そういった感じで、自分は日ごろからビジョンをきちんと持つようにしていて「そこにたどり着くにはこの要素が必要だ」とういう意識で過ごしています。そのお陰で、チャンスを見逃しにくくなったかもしれません。

あとは行動力。いまこの場所までたどり着けたこともそうだし、これから先にやりたいことを現実にするためには行動力が不可欠だと思っています。ビジョンがはっきりしていると自然とそっちに向かって生きていくようになりますし、「今は休むべきだ」という判断もしやすくなります。ちゃんと自分のペースでビジョンに向かって運転していくために、逆算して考えられるといいますか。もちろん大変な舗装されていない道もたくさんありますが、僕を応援して下さっている方々も含めて一緒に成長して、新しくて面白い景色を探し出していけたらいいなと思っています。