ド真面目で子どものように無垢で繊細で脆い。俳優・野波麻帆さんが服で紐解く「本当の長澤まさみ」の姿
本音を話せる同業者であり、
可愛い後輩という存在。
―――後輩でありながらも、仕事の相談もでき、プライベートも共有できるなんて、なかなか稀有な存在だなと思います。
私にとっても、こんな関係を築ける存在はまーちゃん以外本当にいません。彼女が「東宝シンデレラ」に受かったのが小学6年生のときで、受賞してひとりで大きな舞台に登壇した際に、うわーって泣いていたんです。たくさんの大人たちに囲まれながら、一般の女の子から芸能の世界に飛び込む瞬間をひとりで背負っていたんだ、小学生だったらそれは泣くよな、なんて思いながら、なんて可愛いんだろう、って思ったのが彼女の第一印象でした。
そのころから付き合っているのですが、彼女は本当に真面目で責任感が強い。「麻帆ちゃん、こうした方がいいと思う」と、ふらふら不真面目な私を(笑)ちゃんと叱ってくれて、そう言われて気づかされることも多く、勉強になることがたくさんあって。だからこそ、年下なのにダメなところも見せられるし、甘えられる、私にとっても本当に大事な存在なんです。
―――そんな旧知の仲だったのですね! そんなおふたりが一緒にお仕事をするようになったきっかけはなんだったのでしょうか?
結婚する前はファッション関係のパーティーでDJをしていたので、ファッション業界の方と遊ぶ機会が多くて。そこでまーちゃんとも一緒に遊んでいたんです。当時私はAMBUSH(アンブッシュ)のデザイナーのYOON(ユーン)と〈the others〉というDJのユニットを組んでいたのですが、YOONと一緒にm-floのライブのスタイリングをしたことがきっかけで、そこからスタイリングのお仕事の話がくるようになりました。そんなふうに活動していたときに、ちょうどまーちゃんに雑誌Smartで連載をする話がきて、じゃあ一緒にやろうよって、第1回と第2回のスタイリングを〈the others〉でやらせていただいたんです。それが最初でした。
その後、彼女の映画の舞台挨拶をスタイリングさせていただいたのを最後に、私は結婚して子どもを産んだり、YOONは自分のブランドを大きくするためにやらなきゃいけないことが増えたりで、〈the others〉は一旦活動休止したんです。私たちothersじゃなくて、mothersになっちゃうねと、冗談を言いながら(笑)。それ以降はスタイリングの仕事は辞めてしまい、まーちゃんのスタイリングにも一切携わっていなかったのですが、おたがいの舞台を観に行ったり飲みに行ったり、ちょこちょこ会っては近況をキャッチアップしたり、いろんな話をする間柄でした。
―――今回野波さんにスタイリングの白羽の矢が立ったのは、長澤さんから直接オファーされたとか。
このスタイリングのお話をいただく前に、ちょうどなにか一緒に面白いことがしたいねと、ふたりで話をしていたんです。私はここ何年かの彼女のパブリックに出てきたときのスタイルが、あまりにも普段の彼女からかけ離れている気がしていて。俳優・長澤まさみなので、もちろん普段の彼女とは違うのは前提ではあったとしても、もっと彼女らしさを出せないかと提案して。彼女は彼女で、ここ最近の自分のイメージを打破するような、なにか新しく挑戦してみたい、と思っていたタイミングだったようで。「だったら私にやらせて!」 と彼女に伝えていました。そんなときにオトナミューズさんからまーちゃんに出演のオファーがあって、「麻帆ちゃんと一緒にできたら嬉しい」と言ってくれて。二つ返事で引き受けました。
photography:SHUNYA ARAI[YARD] styling:MAHO NONAMI hair:RYOJI INAGAKI[maroonbrand] make-up:KOTOE SAITO styling cooperation:RANKO ISHIBASHI model:MASAMI NAGASAWA videographer:MANA SHIRAISHI