「ヤングケアラーをケアする環境づくりは絶対に必要」映画『若き見知らぬ者たち』磯村勇斗インタビュー
監督とは多分、波長があったんだと思っています
――ありがとうございます。この作品、時系列が工夫されていたり、幻想的な演出があったり、とすごく凝った構成になっていますよね。脚本上で決まってたこと? それとも編集でこうなってます?
磯村 脚本段階で決まってました。シーンによっては、こういう流れになる、ということが脚本上に書かれていることもありました。本編を僕も観ていますが、全て脚本の進行どおりなんですよ。これはもう監督の計算ですよね。しかも計算通り。
――すごい。よく思いついたって思いますよ。特に彩人が銃で撃たれるシーン、あれなんて、つかみはOK、という感じで一気に引き込まれました。ただ、どうやって撮影していたか、分からなかったけど。
磯村 僕が自転車をこいでいるところをアップで撮ってて、途中でこめかみに拳銃がきて撃たれるシーンですよね、詳細は控えますけど実はすごく泥臭い方法で撮ってるんですよ。自転車、こいでませんから。
――え? 気になる(笑)。シンプルだけど、めちゃくちゃ効果的なシーンですよね。しかも、あのオープニングのおかげで、「この先、めちゃくちゃ不穏になりますよ」っていう啓示になってます。内山監督、お若くてアイデアマン。何か「これを観ておいて」的な情報共有はあったんですか?
磯村 監督が持っている世界観の共有みたいなことが全くなかったんですよ。想像するに、内山監督はおそらくこういう時代のこういう作品が好きなんだろうな、っていうのは想像できるんですが、役作りや撮影中にそういった話は一切出てこなかった。
――えー、リファレンスほしいじゃないですか。
磯村 ほしかったですねー。でも、普段の会話の中で、監督のことを理解できたところがあったので、具体的なリファレンスがあるよりは混乱しなかったかも。
――というと?
磯村 多分波長があったんですよ。クランクイン前にプライベートで一緒に過ごす時間を持つことができたんですけど、そのときに監督がこの作品で狙っていることが分かったんですよね。きっとそれは波長がかみあったからだと思っています。
Photograph:KAORI IMAKIIRE
Interview & text:MASAMICHI YOSHIHIRO
styling: TOM KASAI
hair & make-up: TOMOKATSU SATO