小田切ヒロさん(以下 O 佐田さんは僕の中でレジェンド。今日がずっと楽しみでお目にかかれて本当に光栄です。
佐田真由美さん(以下 S) こちらこそです! いつもいろんなところで発信していることやメイクのルックを拝見させていただいていて、いつかお願いしたいと思っていたので、今回は本当に楽しかったです。小田切さんは最新美容情報にも詳しい印象なので、ディープに美容の話をしたいと思って現場に来たのに、なぜか都市伝説や小田切さんの半生の話を掘り下げ過ぎましたよね(笑)。最新美容トークは次回に持ち越しましょう。今回メイクをしていただいて感じたのは、小田切さんがひとつひとつの仕事を大切にされているお人柄だということ。一緒に仕事をさせていただいて気持ちがいいなって、背筋がすっと伸びました。
O 僕らの仕事は一本一本全てが勝負。毎日が真剣というだけなので、いつもどおり過ごしただけです。そんなことより、僕は佐田さんの骨格の美しさに感動しっぱなしでした。正直、こちらの技量がなくてもどんどんキレイにハマっていくんです。もともとコントラストのある骨格だからほんの少しメイクを施すだけで格段に素敵になりますし。
S ありがとうございます。私はヒロさんのメイクが肉眼で目にしたときとカメラを通して見るとき、どちらも美しくて驚きました。「今の私、素敵にしてもらえてる」という気持ちが、自信を持ってカメラの前に立たせてくれました。今回作っていただいたルックはどちらもベースはきちんと作りこんでパーツにはヌケ感、マニッシュにするときは優しげなムードを暖色で足す……みたいな、トータルで見たときのバランス感覚がすごく好きでした。最近、大人はメイク感が程よくあるほうがいいなって思っていた気持ちともフィットして。長い間ずっと、すっぴん風は正義みたいな風潮があったじゃないですか。でも大人になるにつれて、それは自己満足で優しさが足りないのかもしれないと思うようになって。
O 分かります。メイクって、誰かにとっての“景色”でなんですよね。だからこそ、それを認識しながら顔を作ることを僕はすごく大切にしているんです。メイクには顔を合わせた人に心地よさを与えるパワーもあることをこの場を借りて伝えたいです。
自分をいい意味で肯定する力が
心地よさを連れてきてくれる
S 小田切さんがメイクをする上で他に心がけていらっしゃることはありますか?
O 僕は顔が人生だと思っているんです。だから、メイクをする上でまず大切にしているのは、運気が上がるかどうかですね。
S なるほど。小田切さんの作るビジュアルの仕上がりにどこか高揚感が溢れているのはそういう理由だったんですね。
O ありがとうございます。今度は僕が佐田さんにうかがいたいんですが、ご自身のブランド『エナソルーナ』のジュエリーをデザインされているときに意識されていることはありますか?
S 品があることと、実際に自分が買いたいかどうかを大切にしてますね。
O これまでには、お蔵入りになった商品もたくさんあるんですか?
S 「素敵だと思ったんだけど、ごめんなさい」ってなったことは何回もあります。でも、アクセサリーはエコ。金属部分は溶かしてリサイクルできるし、ストーンも付け替えることができるので、その分、絶対に妥協はしないようにしています。あと、独りよがりにならないようにも気をつけているかな。立場的にネガティブな発言を控えられてしまう傾向があるから、スタッフのみんなには「正直な感想を言ってね」っていつもお願いしてます。それほど孤独なことってないじゃないですか。
O それはキャリアを積んだ佐田さんだからこその考え方ですよね。プロ意識や人としての温かさも含めて……。そして今日こうしてお話しさせていただいて、佐田さんはすごく“今を生きている”方なんだなって眩しかったです。僕は常に二歩三歩先のことを考えてしまうクセがあるから、ちょっと生き急いでいるのかもしれなくて。
S そんな小田切さんには佐治春夫さんの『宇宙のカケラ』という本をおすすめしたいです。常にこういう気持ちで生きていればなんでも大丈夫だなって思える一冊で、私は大号泣してしまいました。
O 生き方って思考で変わりますもんね。
S 「私イケてる」って思い込んだらそんな空気感になったりしますしね(笑)。
O 本当に。それに気づけているという時点で僕たちはきっとハッピーです。