CULTURE

映画ライターの森田真帆が、ラスベガスで
生のBTSに触れて魂ごと浄化され、
性格まで良くなってしまったお話【前編】

グラミー賞史上初めて、ラスベガスでの授賞式が行われ、その熱気が抜けぬ4月12〜16日の4日間、ベガス中を紫色に染めたBTSのコンサート『BTS PERMISSION TO DANCE ON STAGE – LAS VEGAS』。行きたくても行けなかったわい……という人多かったですよね。と、なんとベガスに行った人発見。そのうえ、アレジアント・スタジアムで行われたそのライブのプラチナチケットまで自力でゲットし、今年の運を使い果たしたのでは? という映画ライターの森田真帆さん(ARMY歴1年)が、あまりの感動に腑抜けになったという最高の体験を綴ってくれました。BTSのソロ活動強化という衝撃ニュースで心がざわついたARMYの皆さん、ARMYビギナーでこの感動を得た! というレポートでちょっとでも気を取り直して! ※想いが迸りすぎてボリュームが激増してしまったので、前後編の2回に分けてお届けします。

アレジアント・スタジアム。マジ巨大
YONHAP NEWS/アフロ

はじめまして! 映画ライターの森田真帆です 本原稿の編集作業をしていた6月14日、BTSが今後ソロにも力を入れながら活動をしていくという発表をしました。翌日のメディアには「活動休止」という文字も踊りましたが、グループとしての活動も継続していくと発表され、二転三転する情報に心は動揺しっぱなし。毎日いろんなニュースを読んで、YouTubeの考察を見たり、SNSを見たり、「大丈夫だ!」と心を落ち着かせる作業を一生懸命していました。 BTS会食動画の配信中は仕事中だったのですが、友達から「大変!」ってメッセージが来たときは正直、ついに日本のコンサートが発表されたのかも! ってウキウキしていたんです。だからこそ、泣いているRMの姿はショッキングだったし、いまだに正直どういうことになっていくのが全く想像がついていなくて不安な日々が続いています。 今回の記事は、生まれて初めてのBTSのコンサートにラスベガスへ行って、魂ごともろもろ浄化され、とんでもなく優しくて明るい人間になったっていうお話です。できることなら、きっともうすぐ日本に来るかもしれないよね! っていう期待の中でこの記事を読んでいただきたかったし、いつ来ることになるのか全く分からない状況でコンサートのレポートをアップするのは、辛くなってしまう方もいるかもしれず、すごく複雑な気持ちです。ですが、BTSというグループがステージで放つ、伝説という言葉では到底書き表せないほどのとてつもないエネルギーを伝えたい! 懸命であることがこんなにも人の心を動かすこと。「すごい」って言葉じゃ全然足らないけど、こんなすごいグループを好きになれて、本当によかったなっていう思いを、ARMYの皆さんと少しでも共有できたら嬉しいです! デビュー当時から応援している ARMYの皆さんが死ぬほど羨ましい! まずは、私のARMY歴について。私がBTSにハマったのは、昨年のことです。当時私は、コロナで決まっていた仕事が続々と吹っ飛び続け、映画のレビューの連載もゼロとなり、この先お先真っ暗闇な絶望のドン底におりました。大好きな映画を観ていてもただただ焦燥感だけが襲ってくる日々のなか、親友の真木よう子から「マホも沼って!」とまるで嫌がらせのように続々と送られてくるBTSの動画を無心で見始めたのです。 そして2日後。気づけばYouTubeで次々に出てくる動画を朝から晩までひたすらに見まくり、1週間後には発売されているCDやコンサートのDVDを買い、毎日のように聞き、歌詞を読み、彼らのアルバムやPVのコンセプト解説を読み、彼らについての本を読み漁り、動画が見られるといううわさのdTVに加入し、ファンクラブに入り、過去の動画をむさぼるように見まくり、ふと気づけばとある音楽授賞式で号泣する長男のジンくんやメンバーの姿を見て「ふだんはあんなに元気で明るい子たちなのに、つらかったんだな。本当に頑張ったんだな」とまるで昔から知ってるかのように一緒に涙するというとんでもない事態になっておりました。 ああ、もっともっと早く彼らの素晴らしさに気づけたらよかったのに、5年前の私は一体何をしていたんだ! 結婚して10日で離婚したいと言い出す男に夢中になっている暇があったら、BTSに夢中になっていたかった! デビュー当時から応援しているARMYの皆さんが死ぬほど羨ましい! デビューのときから彼らの成長をずっと見てきて、ライブで一緒に歌い、ともに涙を流していた古参のARMYでいたかった! と、逆立ちしたって取り戻せない日々をただ1人、後悔しながらチキショウチキショウと言っている、そんな超新参者ARMYです。 そして過去の映像や過去のライブを見るたびにつのる思いはただ一つ、「バンタンのライブが見たい!」。悲しいことにわたしが沼ったのは、ライブをできなくなってしまったコロナ禍。会いたくても会えないし、彼らの生のライブを一度でも観たいという思いは日に日に募っていきました。

グラミー賞授賞式にて
REX/アフロ

行くぜ、ベガス! そんなとき、仕事でロサンゼルスに行くことが決まったのです。2日間旅程を伸ばしただけで、ラスベガスのライブに行けるという大チャンス! 転売が許されているというアメリカの謎システムによって、チケットもまだある(めっちゃ高いけど!)。このチャンスで金を使わずしていつ使うのだ! と貯金を崩し、アメリカ行きのチケットを買って、ラスベガスのモーテルを予約し、そしてライブチケットもついに購入! ラスベガスに着いて驚いたのは、空港にいる世界中のARMYたちの多さ。話しかけてみればアメリカのみならず、タイ、韓国、ノルウェー、イギリス、ブラジルなどたくさんのARMY。ラスベガスの大きなビルボードにはBTSの写真が掲げられ、コンサートの前日はポップアップストアや写真展が開催され、かの有名なベラージオの噴水ショーはBTSバージョンとなり、紫にライトアップされたラスベガスの街が完全にBTS CITYになっていました。いやすごい! マジですごすぎる! 本当は、物販に並んでいるときの話とか、書きたいことはたくさんたくさんあるんですが、こまかいことはいったん割愛して、コンサートのお話を。とはいえ、一曲ずつぜーんぶ書きだすと読んでる方に眼精疲労が襲いかかることになると思うので、とにかくBTSのコンサートが作り出す特別な熱量と、とんでもないヒーリング効果をお伝えします!

このとおり、ベガスは4日間、ずっとBTS一色
Backgrid/アフロ

ライブに生で参加すると分かる、 その場の熱量 TOHOシネマズで行われたライブビューイングで、叫びたい気持ちを押し殺しながら見たあのオープニング映像。それがスクリーンに映し出された瞬間、会場にはものすごい大歓声が上がりました。たぶん私が人生で聞いた歓声のなかで最大級のすごさ。地鳴りレベルのギャアアアーー! です。もちろん私もギャアアアア!と、こんな声が出るのかよってびっくりするレベルのデシベルで叫びまくり、それだけで泣けてきたのです。ソウルの凱旋ライブでは、声出しが許されず、ARMYたちの声が聞けないと動揺していたBTS。そしてこの2年間、伝説的なヒットを記録しているにもかかわらずワールドツアーをできなかった彼らに、6万5千人の大歓声はどう聞こえているんだろう。今、どんな気持ちでスタンバイしているんだろう。もうそんなことを考えただけで涙がどんどんわいてくる。 檻のセットの中にメンバーが姿を現した瞬間、とんでもないエネルギーが会場中に充満したのを感じてマジで鳥肌が立ちました。待って、待って。心の準備が全然できてない!! ヤバイヤバイヤバイヤバいんだけど!!! と独り言をブツブツ言っていたら、隣の黒人の女のコも「オーマイガオマイガオーマイガオーマイガーーーー!」と泣いている。ああ、このときめきは世界共通なんだね! もうすぐあの檻が上がる、そしたらずっとずっと生で見たかった「ON」が流れ、トップバッターのジミンちゃんが……キタアアアアアアア! ……とライブが始まったところで前編は終了。続きは後編で!
森田さんインスタグラム

森田真帆(もりたまほ)
バツ3の映画ライター。18歳で渡米し、ハリウッドの映画製作現場インターンを務めた後帰国。現在、シネマトゥデイなどの映画サイトで執筆のかたわら、大分県・別府ブルーバード劇場で館長補佐を務める。著書に『崖っぷちのハリウッドライフ』(シネマトゥデイ文庫 発売中)。
Twitter @mahomorita

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