「母親にとって最低の地獄」ジェニファー・ローレンスが自身の出産経験を重ねて語る映画『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』

昨年開催された第78回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、第83回ゴールデングローブ賞ドラマ部門主演女優賞にもノミネートされた『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』でのジェニファー・ローレンス。

Jennifer Lawrence 1990年8月15日、ケンタッキー州生まれ。2010年の『ウィンターズ・ボーン』でアカデミー賞主演女優賞に初ノミネートされ、『世界にひとつのプレイブック』(2012年)で同賞を獲得。映画賞の常連となる。
田舎町に移り住んだ女性が、出産と育児を経て心を崩していくさまを描いた、女性からするとホラーのような作品です。「これって、男は育児参加に積極的ではないってのが問題なのよね」というのがジェニファー。そのとおり!
「母親は親として24時間体制の育児ケアをすることを期待されるのに、父親はそうじゃない。いえ、やっている方もいらっしゃるとは思うけど、そもそも男はそれを期待されていないっていう文化的な背景があるのがよくないんだと思う。子どもを産んだ女性は、完璧に家事と育児をこなすことを期待されて、キャリアも同時に求められてたとしても、育児を優先しろって話になるのよ。おかしい。絶対におかしいし、このシステムは間違ってると思う」

彼女が演じたグレースは作家。執筆業なら都会でなくてもできるはず、と、夫と共に飛び込んだ新生活。でも、子どもが生まれると、育児のプレッシャーと夫の無関心によって精神崩壊……もう地獄ですよ。
「私が初めて子どもを産んだときは、コミュニティ、特に母親のコミュニティがとても重要だと感じたんです。出産によって女性の人生は一夜にして変わり、前の生活はまるで終わったかのように感じてしまうんですよ。公園で会ったお母さんや、同じくらいの年齢の赤ちゃんがいる友だちがいなかったら、孤立感を感じていたでしょう。だからグレースを演じるときも、そのことを強く意識していました。監督がグレースたちを基本的に何もない場所、つまりコミュニティのない場所に移すというアイデアを出したとき、物語では最高のアイデア、実際にあったら最低の地獄だと思ったんです(笑)」
当然夫婦はケンカ続き。夫役はロバート・パティンソンが演じていますが、けっこうガチなファイトシーンが……。「ロブのように気の合う相手と一緒にファイトシーンをやるのは、けっこう楽しいんですよ(笑)。彼が演じたジャクソンは、すっとぼけたキャラだし、そこはもう本気で……っていっても、もちろん振り付けだから全然当たってませんけどね」
『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』

story_作家のグレース(J・ローレンス)は夫のジャクソン(R・パティンソン)と田舎町に移り住み、穏やかな暮らしをするはずだった。が、出産をきっかけに生活は一変。育児に追われ執筆する気力も失い、孤独と重圧に苛まれて幻覚を見るようになる。
監督:リン・ラムジー/出演:ジェニファー・ローレンス、ロバート・パティンソン、シシー・スペイセク ほか/配給:クロックワークス/公開:現在、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー中
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text : Masamichi Yoshihiro photo
otonaMUSE 2026年8月号より
EDITOR
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