CULTURE

WED.08.24
2022

TVっ子エディター・
マニタナオのドラマ放談 vol.3
テレ東の深夜枠を見逃さないで!

7月クールの各ドラマ、どれも佳境に入ってきましたね~! な、8月後半。今期は各局、マンネリから脱するぞ!といった尽力を感じさせるバラエティ豊かなラインナップで。私自身、心惹かれる作品がわりとあり、通常よりもチェック数多め(ゆえに、鑑賞時間をつくるのに必死)です。

まずは、公正取引委員会という、なかなか一般人にはなじみ薄めな組織のおハナシが新鮮な月9『競走の番人』、そして(永野芽郁ちゃんが個人的に好きという理由で)チラリ観るだけのつもりが、スタートアップ企業にフォーカスした内容が興味深くて意外とハマってる火曜の『ユニコーンに乗って』。続いて水曜は、当時かなりハマった『過保護のカホコ』が記憶に新しい遊川和彦脚本『家庭教師のトラコ』、木曜は前回の7/25UP分で書かせていただいた『純愛ディソナンス』、さらに金曜は(ハイソでリッチな弁護士ものじゃなく)庶民派トラブルを扱うリアルさがいい「金曜ドラマ」枠の『石子と羽男』。もちろん、生粋の坂元裕二ファンとしては見逃せない土曜の『初恋の悪魔』、あとは「日曜劇場」枠の『オールドルーキー』も一応、というラインナップ……に加え、忘れちゃいけないのがテレ東の深夜枠2本! 今回はそこをピックアップしようと思います。

『純愛ディソナンス』の記事はコチラから

1本目は『復讐の未亡人』(テレ東系・木曜深夜2635~)。

そうです! (本連載初回でもフォーカスした)前クールの『やんごとなき一族』にて見せたコミカルな怪演が“松本劇場”として大いに話題となった松本若菜さん! 彼女が連ドラ初主演を務めるのが本作。第1話は、TVerなどの無料見逃し配信において、深夜枠としては快挙といえる堂々4位にランクインしたとか(拍手)。

初回『やんごとなき一族』はコチラから

松本さん演じる鈴木密は、最愛の夫を自殺に追い込んだ職場に、美月から密へ改名して潜入。自殺の一端を担ったと思われる同僚たちに近づき、真相をあぶり出したうえで復讐を遂げる。そのためなら、体を張ることもいとわない。事実、前半戦はかなりの濡れ場があって、『やんごとなき~』とはまったく異なるベクトルで振り切った松本劇場。「このドラマのヒットの要因は彼女の脱ぎっぷりに尽きる」という見解もあるようで、ただならぬ決意を感じるワケなのです。

つねに落ち着いたトーンのスローテンポで話す、密さん。その口調は、ともすれば退屈な印象を視聴者に与えかねないけれど、そこは彼女の正統派な美貌と、長年の脇役キャリアで積み重ねてきた演技力のなせるワザ。むしろその淡々とした感じが、覚悟を決めて復讐に徹する女の狂気を引き立て、且つ、ストーリーに一定のピリついたムードを漂わせる絶好のエッセンスに。

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月クールの『ミステリという勿れ』に始まり、『やんごとなき~』からの今作。2022年はまさに、松本若菜さんの名役者ぶりが広く知れ渡ったブレイクイヤーといっても過言ではないはず! ってことで、今週はついに最終回。緊迫感たっぷりの復讐劇、その結末が気になりすぎてもう!!

そして2本目、『雪女と蟹を食う』(テレ東系・金曜深夜2412~)。

こちらは、痴漢冤罪であらゆるものを失い、人生に絶望して自暴自棄となった男が、強盗に入った先の人妻とカニを食べに北海道へ向かうというストーリー。な~んてさらりと聞いたところで「え? 何で? 展開強引すぎない?」となりそうですが。ドラマを観てるとね、意外とならないんですよコレが。自然なの。違和感ないの。なぜって、主役の北を演じるジャニーズWEST・重岡大毅さんがハマり役だから。

というのも、不甲斐なさとか弱さ、情けなさを演じさせたら、この人わりとハイレベルで。ジャニーズタレントの中では抜きん出て俳優力のある人物(と私は思っている)。2020年の『知らなくてイイコト』で怪演した、嫉妬心ゆえに短絡的な行動に走ってしまう、ヒロインの元恋人役は凄まじかった。2021年に主演した『#家族募集します』で見せた、胸の内をさらけ出して号泣するシーンにも心をぎゅっとつかまれた記憶がある。かと思えば、映画『溺れるナイフ』で演じた、ムードメーカー的お人好しな同級生役のように、包容力や優しさを本分とするタイプにもフィットする。すごく器用で、芝居に吸引力があるのです。

そこに、相手役の入山法子さん。往年の雪女イメージにぴったりすぎるのはもちろん、パブリックイメージであろう涼しげな清楚さに加えて、今作で扮する孤独な人妻・彩女役では、成熟した女性の妖艶さをこれでもか! といった具合に放っています。つかみどころのないミステリアスな佇まい、時おり垣間見える凜とした姿勢も、思わず見入ってしまうほど。プライベートで何度か面識のある法ちゃん。知り合う前から彼女のファンだった身としては、法ちゃんに潜在する魅力が余すところなく発揮されてる役だな~と、しきりに思う次第であります(完全なるファン目線)。

“死生観”をテーマにしたというこのドラマ。“死”を意識するほどに、食欲や性欲といった“生”の象徴に向かうって流れが、人間くさくてじわじわ面白い。しかも、「テレ東といえば」のグルメや旅番組的エッセンスもMIXされていて。さりげなく旅欲も掻き立てられちゃう。ストーリーを邪魔しないこの割合も上手だな~と。このまま予定調和でいくなら、旅のゴールとなるのは“死”。ふたりは蟹にありつけるのか。結末に希望はあるのか、はたまた暗く終わるのか(無性に祈るような気持ちです)。

ちなみに、両方のドラマに同じ俳優さんが出演中なのです。『復讐~』では蜜を助ける夫の弟役、『雪女~』では小説家である彩女の夫の担当編集者役に扮する、淵上泰史さん。松本若菜さん同様、脇役キャリア長めで実力派、作品ごとにしっかり結果を残されているお方ゆえに、彼の芝居の違いを堪能するのも、ツウな楽しみ方かと思います~。

text:NAO MANITA[BIEI]

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