CULTURE

ブラピ主演アクションから怖〜いサスペンスまで。映画ライターよしひろまさみちが薦める9月のマスト映画5本

ブラピが大暴れ!
『ブレット・トレイン』

伊坂孝太郎さんの小説『マリアビートル』を原作にしたぶっ飛びアクション映画『ブレット・トレイン』。ブラピことブラット・ピットが主演していることも話題ですよね。そんなブラピ、公開直前のタイミングで3年ぶりに来日。今年はトム・クールズが来るわ、豪華ハリウッドスター来日続きですわね。で、映画はどうよ、と思われるでしょう。それがですよ! ブラピ、マジで大暴れ。新幹線と思しき超高速列車の車中で複数の同業者に狙われる殺し屋を熱演しております(この列車の名前が「ゆかり」っていうのもつっこみどころなんですが)。もちろんスタントマンのお仕事も多いんだけど、驚くべきは顔がちゃんと映っているアクションシーンの多いこと多いこと!  イコール、それはブラピがからだを張っている証拠です。こんなブラピ見たことない、ってレベルなのでぜひ。あ、日本が舞台なのでマシ・オカさんや真田広之さんも大活躍よ〜。

story たまたま東京にいた殺し屋レディバグ(B・ピット)は、エージェントから新たな依頼を受ける。それは東京駅発の超高速列車で、カバンを盗み、次の駅で降りる、という単純なものだった。彼のミッションは一瞬にして終わるはずだったが……。
監督:デヴィッド・リーチ/出演:ブラッド・ピット、ジョーイ・キング、アーロン・テイラー=ジョンソン、真田広之 ほか/配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/公開:現在TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー公開中

『ブレット・トレイン』公式

哀愁のウド・キアー
『スワンソング』

老いたゲイのヘアドレッサーのロードムービー『スワソング』がむちゃくちゃいい! なんとこの主人公・パットには実在のモデルがいて、オハイオでは名の知れた伝説の人だったそうな。そんな人のキャラを土台に、マイノリティの老い、親友との決別と許し、現役のころに抱いていた仕事への情熱などなど‥‥アラフォー以降の人なら共感できることばっかり詰め込んだ傑作なのです。なによりすごいのが、哀愁たっぷりにパットを演じたウド・キアーの芝居。「いるわ、こういう人……」って思っちゃう存在感にひれ伏してください。

story かつては街の名物的存在だった元ヘアドレッサーのパット(U・キアー)。介護施設で暮らす彼のもとに、昔の親友であり上顧客だった女性の遺言が届く。それは彼女の死に化粧の指名。一度は断った彼は、仕事への情熱を思い出し、無一文で街に戻ることに。
監督:トッド・スティーブンス/出演:ウド・キアー、ジェニファー・クーリッジ ほか/配給:カルチュア・パブリッシャーズ/シネマート新宿ほか 全国ロードショー中 ©︎2021 Swan Song Film LLC

『スワンソング』公式

10月21日より公開
ポール・ニューマンの名画を一気観
『テアトル・クラシックス ACT.2
名優ポール・ニューマン特集』

伝説のハリウッドスターと呼べる存在はそれほど多くないものの、彼はまさにそのひとり。というのが、ポール・ニューマン。オスカー俳優として知られるだけでなく、現役時代には保守派の政治家から敵視されるほどのリベラルな人権活動家で、今のハリウッドスターが目指すアイコン的存在でもあるんです(オーガニック食品ブランドで大成功した実業家としての一面も含めて)。そんな彼の名画4作品を一気にスクリーンでお目にかかれるチャンス。「テアトル・クラシックス ACT.2 名優ポール・ニューマン特集」が全国劇場で開催予定です。今のうちに日程チェックよ。

『ハスラー』(1961年)監督:ロバート・ロッセン ©︎1961 Twentieth Century Fox Film Corporation.

『熱いトタン屋根の猫』(1958年)監督:リチャード・ブルックス ©︎1958 WBEI

『暴力脱獄』(1967年)監督:スチュアート・ローゼンバーグ ©︎1967 WBEI

『明日に向かって撃て!』(1969年)監督:ジョージ・ロイ・ヒル ©︎1969 Twentieth Century Fox Film Corporation.

『名優ポール・ニューマン特集』公式

夏は終わりますが、怖い映画その1
『NOPE ノープ』

スリラー映画として異例のオスカー候補作『ゲット・アウト』を生み出したジョーダン・ピール監督が、最新作『NOPE ノープ』で再び世界を恐怖のズンドコ節に。この作品、詳細な情報を全く知らせずに全米公開に踏み切り、まんまと大ヒットを収めた問題作です。一度観ただけでな物語の奥底まで読み取るのが難しいため、リピート鑑賞する人続出。いや、たしかにその気持ち分かる! と、鑑賞後は共感していただけることでしょう。空から何かが降ってくる、っていう冒頭枯らして、「宇宙人?」とか思うかもしれませんが、想像を軽く裏切る後半部に愕然ですよ。

story LA郊外にあるヘイウッド家の牧場は、半年前に牧場主が飛行機の落下物で事故死して以来、経営が急激に悪化。経営を引き継いだOJ(D・カルーヤ)とエメラルド(K・パーマー)は、テーマパークに馬を売って乗り切ろうとするのだか……。
監督・脚本:ジョーダン・ピール/出演:ダニエル・カルーヤ、キキ・パーマー ほか/配給:東宝東和/現在、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー中 ©︎2022 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

『NOPE』公式

夏は終わりますが、怖い映画その2
『ザ・ミソジニー』

怖いもんもういっちょ。こちら『ザ・ミソジニー』は日本製です。ある殺人事件を題材にした芝居の稽古をしているうちに、現実と物語の境があいまいに……、というオカルト色強めのホラー。低予算で制作されたものだけど、それがかえって作品の不気味さにプラスに働く皮肉よ。なんせ『リング』(1998年)などで和製ホラーブームを全世界に広めた脚本家・高橋洋さんの新作ですから、その薄気味悪さったら太鼓判押しちゃうレベルよ〜。

story ひと夏の間山荘を借りた、劇作家も務める俳優ナオミ(中原)。彼女は新作の稽古と称して、かつて夫を奪った俳優ミズキ(河野)をそこに招く。謎めいた母殺し事件を題材にしたその脚本は、ミズキを不安に陥れるものだった。
監督・脚本:高橋洋/出演:中原翔子、河野知美、横井翔二郎 ほか/配給:『ザ・ミソジニー』フィルムパートナーズ/公開:シネマカリテほか全国順次ロードショー中 ©︎2022 『ザ・ミソジニー』フィルムパートナーズ

『ザ・ミソジニー』公式

selection&text:MASAMICHI YOSHIHIRO

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