ブラピ主演アクションから怖〜いサスペンスまで。映画ライターよしひろまさみちが薦める9月のマスト映画5本
ブラピが大暴れ!
『ブレット・トレイン』
伊坂孝太郎さんの小説『マリアビートル』を原作にしたぶっ飛びアクション映画『ブレット・トレイン』。ブラピことブラット・ピットが主演していることも話題ですよね。そんなブラピ、公開直前のタイミングで3年ぶりに来日。今年はトム・クールズが来るわ、豪華ハリウッドスター来日続きですわね。で、映画はどうよ、と思われるでしょう。それがですよ! ブラピ、マジで大暴れ。新幹線と思しき超高速列車の車中で複数の同業者に狙われる殺し屋を熱演しております(この列車の名前が「ゆかり」っていうのもつっこみどころなんですが)。もちろんスタントマンのお仕事も多いんだけど、驚くべきは顔がちゃんと映っているアクションシーンの多いこと多いこと! イコール、それはブラピがからだを張っている証拠です。こんなブラピ見たことない、ってレベルなのでぜひ。あ、日本が舞台なのでマシ・オカさんや真田広之さんも大活躍よ〜。
哀愁のウド・キアー
『スワンソング』
老いたゲイのヘアドレッサーのロードムービー『スワソング』がむちゃくちゃいい! なんとこの主人公・パットには実在のモデルがいて、オハイオでは名の知れた伝説の人だったそうな。そんな人のキャラを土台に、マイノリティの老い、親友との決別と許し、現役のころに抱いていた仕事への情熱などなど‥‥アラフォー以降の人なら共感できることばっかり詰め込んだ傑作なのです。なによりすごいのが、哀愁たっぷりにパットを演じたウド・キアーの芝居。「いるわ、こういう人……」って思っちゃう存在感にひれ伏してください。
10月21日より公開
ポール・ニューマンの名画を一気観
『テアトル・クラシックス ACT.2
名優ポール・ニューマン特集』
伝説のハリウッドスターと呼べる存在はそれほど多くないものの、彼はまさにそのひとり。というのが、ポール・ニューマン。オスカー俳優として知られるだけでなく、現役時代には保守派の政治家から敵視されるほどのリベラルな人権活動家で、今のハリウッドスターが目指すアイコン的存在でもあるんです(オーガニック食品ブランドで大成功した実業家としての一面も含めて)。そんな彼の名画4作品を一気にスクリーンでお目にかかれるチャンス。「テアトル・クラシックス ACT.2 名優ポール・ニューマン特集」が全国劇場で開催予定です。今のうちに日程チェックよ。
夏は終わりますが、怖い映画その1
『NOPE ノープ』
スリラー映画として異例のオスカー候補作『ゲット・アウト』を生み出したジョーダン・ピール監督が、最新作『NOPE ノープ』で再び世界を恐怖のズンドコ節に。この作品、詳細な情報を全く知らせずに全米公開に踏み切り、まんまと大ヒットを収めた問題作です。一度観ただけでな物語の奥底まで読み取るのが難しいため、リピート鑑賞する人続出。いや、たしかにその気持ち分かる! と、鑑賞後は共感していただけることでしょう。空から何かが降ってくる、っていう冒頭枯らして、「宇宙人?」とか思うかもしれませんが、想像を軽く裏切る後半部に愕然ですよ。
夏は終わりますが、怖い映画その2
『ザ・ミソジニー』
怖いもんもういっちょ。こちら『ザ・ミソジニー』は日本製です。ある殺人事件を題材にした芝居の稽古をしているうちに、現実と物語の境があいまいに……、というオカルト色強めのホラー。低予算で制作されたものだけど、それがかえって作品の不気味さにプラスに働く皮肉よ。なんせ『リング』(1998年)などで和製ホラーブームを全世界に広めた脚本家・高橋洋さんの新作ですから、その薄気味悪さったら太鼓判押しちゃうレベルよ〜。
selection&text:MASAMICHI YOSHIHIRO