【2022年春夏トレンド】
辻直子さんが解釈する
大人のY2K
おしゃれな人って生き方もファッションも、立ち止まっていないというか、ちゃんと“今”をキャッチして、その中で自分らしいスタンスを貫いている気がします。そこで今季の注目トレンド「Y2K」を避けて通るのではなく、楽しむためにはどうしたらいいか、人気スタイリスト辻直子さんと一緒に向き合ってみようではありませんか!
Iラインのドレスは、
Y2Kムードのいいとこ取り。
個人的にはそう思うんです
「Iラインのドレスは、Y2Kムードのいいとこ取り。私にとってはそんな感覚。重ね着や着まわしみたいな実用性はないけれど、その分有無をいわせぬ女っぽさや堂々たる品格がある。ウエストシェイプされ、からだに沿うコンシャスなシルエット。そこには圧倒的な説得力が存在する気がします」(辻さん、以下同)
ザ・スタンダードではない
プレイフルな進化形が
今のツイードの気分
「チアフルなカラーツイードやカットオフになったヘム、遊び心をきかせたデザイン。大人が今選びたいのは、当時のものを引っ張り出してきたような王道のクラシカルなタイプよりも、エネルギッシュにアップデートされた進化形。合わせのアイテムにも色を投入してコントラストを持たせると、旬なムードがさらに高まります」
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色使いも着こなし方も潔く。
ミニはバランスを一新させて
「Y2Kの象徴ともいえるミニボトムは、ビッグシルエットのロックTでルーズに着る、みたいな今までの感覚を一旦リセットするところから。まずは、トップスがコンパクトっていうバランスの取り方に切り替えて。要素がそぎ落とされたシンプルでラフな白Tをボトムインして、腰まわりをキュッとさせる。大事なのはタイトな部分をどこかに置くこと。それだけで、以前とは見え方がガラリと変わるはず」
今、ショートパンツをはくなら
コンサバ志向が気分
「今季の空気感をまとうなら、ショートパンツはちょっとコンサバに捉えてもいいんじゃない? と思います。90sなキュロットやバミューダパンツを思わせる品行方正なデザインに、タートルネックニットを合わせたこの上品さ。ベルトも、かっちりした印象を後押ししてくれるキーピースです。服自体はシックな色のワントーンにまとめ、足元にメタリックの靴を投入する。この力加減が今のアティチュード」
デニムや肌見せは
自分と時代のリアルを探って
「ウォッシュをかけたブルーデニムにアッパーなカラーを合わせる。ローライズデニムの復活にはさすがに同調しづらいけど、こちらのテンションならインストール可能ですよね。足元が軽いと昔っぽさが加速してしまうから、ボリュームソールの靴で時代感を“今”に引き戻すのが肝心。“ヘルシーな肌見せ”も旬のキーワードですが、大人の品格を意識するなら“背中あき”くらいの肌感がリアル」
レイヤードは不要。
ベストは一枚で着るのが
素敵だと思う
「慣れ親しんだオーバーサイズではなく、ジャストサイズ。Tシャツやシャツを入れずとも一枚で着られるサイジングが鮮度の決め手。Y2Kには、90年代後半のムードが色濃く反映されているんですよね。なので、こんなふうにパンツとのセットアップやスーツでミニマルに装い、主張のあるアクセサリーを添える。90sタッチな仕上げが気分です」
ピンクを着るなら
トーンで着てみる、それが
新しいピンクの使い方
「いくつになっても女心をくすぐられるピンク。これまではガーリーな色だからとポイントで取り入れるのが主流だったけど、Y2Kのアグレッシブなムードを体現するなら迷わず全身で。濃淡やトーンの差、異素材でメリハリをつければ、ノスタルジックなピンクもハッとするほど新鮮に映ります」
いかがでしたか? 辻 直子さんによる大人が取り入れるべき「Y2K」の着こなし提案、ぜひ参考にしてみてくださいね。
photograph:TISCH[MARE](model), MAYA KAJITA[e7](still) / styling:NAOKO TSUJI /
hair:KOICHI NISHIMURA[VOW-VOW] / make-up:YUKA WASHIZU[Beauty Direction]
/ model:RINA / text:NAO MANITA[BIEI]
otonaMUSE 2022年5月号より