年を重ねることで生まれる女性のストーリーがある。梨花と振り返る「オトナミューズ創刊10周年」
一緒に作品を作る「チーム」の有難さ
—どれも思い出深いのは承知のうえで、特に印象に残っているカバーはありますか? 梨花さんはカバー撮影への入魂度合いが桁違いですよね。撮影当日、現場に来て終わりじゃなく、どういうイメージで撮るのか、事前に何度も打ち合わせを重ねると伺いました。
だからヌケ感のあるような写真でも、実はめちゃくちゃストイックに撮影してたりする。
—修行部屋みたいな感じですね。全然そうは見えませんが。
それはね、極限までモチベーションを持っていってるからこそ、できたものなんですよね。2015年7月号(❶)のこれは、フィルムで撮りました。光の作り方もキレイで、今見ても本当にいい。私、こういう路線もいけるんだ、って発見があったビジュアルです。
—編集部的にもターニングポイントで、外部からも反響が大きかったのは、東京で撮影した2018年9月号(❷)のモノクロビジュアルです。年齢の痕跡を消していない梨花さんの肌がとてもリアルで、美しくて。肌はレタッチしてツルツルにするのが当たり前、という時代に、よくぞこの表紙をやってくれた! と、称賛の声が上がったとか。
自分自身の変化とどう向き合うのか……事実を受け入れて、整理していく方法は、時代によっても変わっていくもので。だからこそ、そのときのヒントになるようなものを、“今を生きる、今を表現する”という姿勢で見せられるといいですよね。梨花だからこれができる、と思ってもらえることや、そういうビジュアルを一緒に作るチームがいるっていうのは、本当に大きいことだなって。最近だと、2024年3月号(❸)も大きな意味をくれました。
—フレンチシックで、ガーリーさもあって。今の梨花さんだからこそ到達できた世界観ですよね。
これを見たときに「あ、私、まだモデルをしていてもいいらしい」って思えたの。ファンの方たちからもすごく評判がよくて、今だからできる表現のトーンを掴めた実感がありました。
—今そのように思えている梨花さんですが、この10年のあいだ、カバーガールとしての自信をなくしかけたり、迷われたりした時期もあったんですよね。
何度もありました。子育てもあるし、体調も優れないし、自分自身のキレイになりたいみたいな欲望も低下していて。「……こんなんじゃ無理だよ! カバーガールなんて!」ってどうしても思ってしまって。
—それでも続けてこられたわけですよね。どのようにしてご自身を奮い立たせていたんですか?
それはもう、チームのみんながハワイまで来てくれて、人のエネルギーをもらっていたから成立していたんだと思う。
photo:YUKI KUMAGAI styling:TOMOKO KOJIMA hair:NORI TAKABAYASHI[YARD] make-up:UDA[mekashi project] model:RINKA interview & text:AYANA
otona MUSE 2024年5月号より