CULTURE

TVっ子エディター・マニタナオのドラマ放談 vol.4
『ブラッシュアップライフ』でなぜか泣く。

TVっ子エディター・マニタナオのドラマ放談 vol.4
仕事柄、俳優さんのインタビューをさせていただく機会も多く、TVドラマのチェックは業務の一環。最近ではアマプラ、ネトフリで観られるオリジナル作品や韓国ドラマに押されてる感も多少ありますが、声を大にして言いたいのが「日本の地上波ドラマだって負けてないよ~🔥!」ってこと。そんなドラマ好きエディター・マニタナオが、あくまでも個人的な切り口とアングルでお届けするドラマ放談。今日の話題はみんなが夢中のあのドラマです。 唐突かつ私事ではありますが、11月頭に第一子を出産いたしまして現在産後3カ月。「自分の時間まっっったくなくなるから覚悟しときな〜!」と先人たちが口を揃えて言っていましたが、コレ、脅しではなく事実でした。今までのようにドラマタイムなど取れるはずもなく、録画さえできず。なんとかこの一本だけは!!!とTVerやhuluを総動員し、(スマホ画面にて最小音量で)牛歩なペースで観進めているのが、、、ようやく現在最新話の5話に追いつけた『ブラッシュアップライフ』! いやほんと、まじの牛歩にも関わらず(1話見るのに数日要す)、まったくダレることなき面白さ。今期この一本に決めてよかった〜! と実感しております。 ※淀みなくスラスラと語りたいゆえ、俳優さんについては失礼ながら敬称略でやらせて下さいまし(あしからず)。
平凡のなかに潜む面白さやシュールさを根こそぎ拾い集める才能ピカイチ(※私調べ)なバカリズム脚本。たわいもない、いや何てことない、むしろ何にもない普通の日々が描かれてるんだけど。観ていてそれを退屈に感じないのは、私たちがリアルに知っている時間たちが忠実に反芻されているから。そこには過去に経験した日常的なアレコレが散りばめられていて、随所随所で記憶がブワッとよみがえってくる。心の底から懐かしさの極み! てか胸キュン。英語でいうところの……ハートパウンディング!!

うわ、 懐かしー! と深夜にひとりでニヤリする、
これぞバカリズム選り抜きノスタルジー。

厳密にはドラマの設定が2010年に成人式を迎えた世代だから、ミューズ世代の我々はそこからさらに1ディケイド上なわけで(ちなみに私は齢四十二です)。ドンピシャではない。とはいえ、その時代を1ディケイド上のフェーズで体験してきたがゆえに、その記憶は色濃く鮮明で思わずニヤついてしまうポイントが目白押し。これぞノスタルジーのなせるワザだと思うのです。 たとえば、赤外線通信。あったね、そんなの! 携帯端末同士をつき合わせて、通信していたよね私たち。観てて一瞬何だか分かんなくてスルーしそうになったけど、じんわり取り戻したよ記憶。要は今のエアドロみたいなもんですよね。そんな感じで五月雨式に畳みかけてくるノスタルジーに加え、どのエピソードも観終わったあとに自分的ハイライトが脳内でリフレインする。きっと世代や環境によって、皆それぞれのハイライトがあることと思うので、それを言い合うのもまた一興。

せっかくなので、
MYハイライトを軽く語らせてもらいたい

まず初回。主人公の近藤麻美(安藤サクラ)の子ども時代を演じる子役ちゃんの風貌がツボ。公衆電話、お金要るんだーーーうぁーーーの表情も最高過ぎます必見。アーンド、こちとら完全なるポケベル世代ゆえ、*2*2(発音は「コメニコメニ」)というフレーズに胸アツ。 そして第2話。冒頭、おもむろに流れる国武万里『ポケベルが鳴らなくて』。下がり眉に切な顔で歌っていた国武さんが思い出されました。この曲、久々まじまじと耳を澄まして聞いてみたらば、まじで都合のいい女感満載の歌詞だったことに心の底から驚いた。 第3話は何といっても黒木華扮するレナちゃん。痛快キャラで思わず「フー!!」と称賛すること必至。さらに思いがけぬタイミングで人生終わって「油断したーー(悔)!」てとこでは大いに笑った。 第4話では、24時間テレビのスタンドインで淡々と歌うZARD『負けないで』、ロケ場所仕込みの制作部さんによるスーパープレーの別角度アゲイン、さらには塚地早入り登場シーンのメロウなBGM(そして戸惑う塚地)。どれも最高過ぎた。笑うの通り越して、もはや脳内で拍手したよ拍手。 続いて第5話。夏帆扮する“なっち”の天然キャラぶりが愛おしい。何かのインタビューで夏帆さんが「今回は役作りしていない」と話していたことが頷ける、ウルトラハイパー自然体の演技がリアルで心地よいのである。そして、気心知れた女同士の雑談は、溜まった疲れを吹き飛ばすくらいの絶大なる効果なのだよね(うんうん分かる)。会社にて“脈々と受け継がれる10時くらいから出社している風の顔” にも共感が止まらない。私も編集部在籍時代、よくしていた顔です。 と、まぁざっとこんな。こんな、というか、何なら普通に初対面の人とでもワイワイ盛り上がれるほどに濃くてボリュームあるハイライトなワケですよ。いやコレほんと、絶対観たほうがいいです。あ、毎回異なるエンディング曲を聞くのも楽しみで。ちなみに第3話、ちょうど3週目の人生の始まりシーンで赤ちゃん映像と共に中島みゆき『ファイト』が流れるんですが。自分の昨今がシンクロし、ドラマのノスタルジームードも相まって何故かやたらぐっときて、何か知らんけどちょっと泣きました(産後メンタル)。 『ブラッシュアップライフ』は日曜夜10時30分。 マニタよ、目指せリアタイ視聴! huluで全話配信中なので、まだ観てないよ~って方もぜひ!
間仁田さんインスタグラム

Profile
まにた なお/ファッションエディター。オトナミューズをはじめ、雑誌やアパレルブランドの広告などで企画ディレクション、編集、ライティングまで幅広く担当。プライベートでは一児の母として0歳の愛娘の育児に奮闘中。最愛のヴィンテージ服への欲求はひとまず封印。

text:NAO MANITA[BIEI]
illustration:YUKI HORIMOTO

SHARE

  • x
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • LINE

Pickup

Weekly ranking

VIEW MORE