風間ゆみえさんとハンティング!心を掴んで離さない宝物 【前編】
スタイリスト風間ゆみえさんと一緒に探索する、私たちがずっとずっと好きなものたち。ミューズ読者が20代の頃から、唯一無二な審美眼によって作り出すチャーミングな世界観を通じて私たちを魅了してきた風間さんの、“好き”の源流を感じ取れるような言葉と写真で前後編に分けてお届けします。
CHANEL Bag
永遠に続くエレガントな魔法
「30代初めのこと。パリのカンボン通りにそびえ立つシャネル本店へ向かった日は、モノトーンの服に赤い口紅を塗っていった。改めて思い起こしてみても、そんな気構えまで楽しませてくれるのはシャネルでこそ。ブランド創設から百十余年経つ今でも、コレクションのひとつひとつにガブリエル・シャネルのDNAが息づき、彼女の遺したフィロソフィーに止まない敬意があるから。
帽子店からその歴史をスタートさせたシャネル。その後、女性の可能性を広げるべく大胆かつ自由に、いくつもの革新を重ねた。ジャージー素材の採用やリトルブラックドレスの提案、そして女性の社会進出を後押ししたシャネルスーツなど、輩出してきたもの全てに、激しい情熱と強い思想、そして絶対的エレガンスが宿されている。女性の両手を自由にしたチェーンバッグは、その最たるひとつ。
『流行は色褪せるけど、スタイルは不変』というガブリエルの言葉通り、モード界を牽引しながらも、シャネルはいつだってシャネルのストーリーの中にあり続けているのです。ガブリエル・シャネルというひとりの女性が放った魅力と、その確固たる強さに私たちはずっと惹きつけられ、いつだって胸が高鳴ってしまう」
Polka dot
心を躍らせる、水玉の呼吸
「永遠のアイコンといえるドットも、粒の大きさで表情をガラリと変え、その女性像もさまざま。繊細なピンドットであればクラシカルに仕上がり、水の玉が大きければそのポップな可愛さを着こなす楽しみが湧いてきます。
ずっとずっと好きだけど、ずっとずっとあるものだからこそ時にはハイエンドなブランドからのチョイスでクチュール感ある水玉を今の気分で着こなしたり、その時その時の気分と選び方で、いろんな女性になれるのがドットの醍醐味なのです。それぞれの個性が光るからドットをドレスコードとしたお出かけやイベントを計画するのも楽しそう♪」
HEART
ROCKなリズムにハートを弾ませて
「エッジのきいたシルバーメタルのハートモチーフは、コートニー・ラブやクロエ・セヴィニーのような永遠のガーリーアイコンを彷彿させる。POPでラブリーなイメージの強いハートモチーフを、大人の女性が纏うにはどこかROCKなリズムを感じさせるスウィート&ビターなバランスが心地いい」
Costume Jewelry
コスチュームジュエリーは
“イケてる女”の七つ道具
「『仕事が終わったら、会おうよ♡』そんな急なお誘いにも、慌てなくて大丈夫。なぜなら、バッグの中にはコスチュームジュエリーを忍ばせているから。それは大人にとって最強の切り札。耳元やデコルテにキラめくビジューを飾ってリップを塗れば、シンプルなシャツやニットもパッと華やぎ、スマートにドレスアップを叶えてくれる。
20代、30代……、ちょっとしたスパイスとしてネイルや靴で添えていたキラめきは、歳を重ねエネルギーが動から静へと落ちついてきた今、顔まわりに持ってきても華美になり過ぎず、サラリと決まるように。まばゆい光を集める大ぶりビジューは、いつしか大人の余裕で気負わず楽しめるようになり、とても頼もしいパートナーになっていた」
Bag Charms
小さ過ぎるものに
胸がキュンとするのはなぜ?
「始まりはきっと、ドールハウス。小さなテーブルに椅子、そして壁に掛けられたランプには本物のごとくオレンジ色のあかりが灯り、そこに広がるもうひとつの世界にワクワクした。他にも切手サイズのトランプ、マトリョーシカの最後に出てくる子……、どんなものも小さくなればなるほど可愛くて、なぜか愛おしさが増していく。
そして、大人になった今再び胸をときめかせたのはデルヴォーが創り出した“小さな世界”。アメリカのイエローキャブ、イギリスの赤い電話BOX、そして日本のサクラなど、さまざまな素材によるユーモアと高度な職人技による精巧な美しさは、まさにアートピースそのもの。大きさはリップ1本、もしくはキャンディ3つが入るほどだけれど、それこそがミニチュアの美学。時にはこういうファンタジーを冒険できる大人でありたいな」
Watches
愛しい腕時計はもうひとつの顔
「時計って、こちらが選んでいるようで、実は時計に選ばれている!? “似合う・似合わない”が洋服よりもハッキリしていて、最初に心を決めたものが似合うとは限らないから。その奥深さを説くように、ふと面白い話を思い出す。そう、有名な心理テストで“腕時計はパートナーを表す”というもの。必要ないと言う人もいれば、何本も欲しいと言う人もいたり、アクセサリーという回答があったり(笑)。
自分の好みと必ずしも一致しないし、逆に意外なものがしっくりくることもあって、そうやって時計の世界に誘われていく。そして、しばらく共にした時計は、いつしかその人の女性像を作り上げていく要素のひとつに。時計に合うリングやブレスレットを着けるようになり、その人のスタイルをどんどん膨らませていく。時計によって新しい風が吹き込まれ、最終的には時計にその人らしさが投影されていく。時計は、その人のもうひとつの顔。さて、あなたにとって時計とは? 」
いかがでしたか? 風間さんの言葉には、それぞれの宝物に絶対的なセオリーやストーリーがたっぷり詰まっていましたね。後編もお楽しみに♡
photograph:SAKI OMI[io] / styling:YUMIE KAZAMA / hair & make-up:KYOHEI SASAMOTO[ilumini.]
/ model:RENA TAKESHITA / edit:YURI SUGIYAMA / cooperation:HILLTOP HOTEL
※素材の略号:YG=イエローゴールド、WG=ホワイトゴールド、PG=ピンクゴールド、RG=ローズゴールド、DIA=ダイヤモンド、SS=ステンレススチール
otonaMUSE 2022年1月号より