「友だちや家族となら口にものが入っていてもしゃべりますよね。演技と自分が地続きでいたい」大注目の29歳俳優・片山友希のマイルール

MEGUMIさんが企画・プロデュース、木村太一さんが監督を務めた映画『FUJIKO』(6月5日公開)。1970~80年代を舞台に、ある日突然シングルマザーになった富士子の波乱万丈の人生をエネルギッシュに描く本作。オトナミューズウェブでは抜群の存在感を放った主演・片山友希さんへのロングインタビューを敢行、前後編に分けてお届けします。後編では、引き続き作品の制作秘話を伺いつつ、「余計なことはしない」というマイルールについて教えていただきました。お話を聞いてくださったのは映画ライターのSYOさんです。

――『FUJIKO』を拝見して、画面の端々から熱量やぬくもりを感じました。
片山 木村太一監督のお人柄もありますし、例えば衣装ひとつとってもすごく可愛くて、現場でも“これはいい映画になる”とみんな感じていたと思います。
――劇中でも多数の衣装が登場しますね。
片山 ただ、組み合わせを変えているだけで同じズボンを何回もはいていたりもするんです。個人的にはそこがいいな、と思っていました。作品によっては大量の衣装を着ることもありますが、実際の人って何百着も持っていないですよね。限られた服を着まわしているものですし、『FUJIKO』からはちゃんと“生活”が感じられて、やりやすかったです。

――撮影前には、富士子のモデルとなった木村監督のお母様にも会われたそうですね。
片山 誰に対してもフラットなところが、自分の父に似てるなと思いました。うちの父、相手が偉い人だからとか、そういったことで態度が変わらないんです。監督のお母様も「本当にありがとうね」「よろしくお願いいたします」というオーバーリアクションな感じは全くなく、最初から「大変でしょ?」とフランクに接して下さいました。
――本作は80年代のシングルマザーの大変さや、地域による子育ての温かさが描かれた作品でもありますね。
片山 ただ、地方にはいまでも“みんなで子育てする”文化は残っている気がします。私は京都出身ですが、今でも近所のおばちゃんと連絡を取っていますから。もちろん「ワンオペ育児」という言葉が皆が知っているものになったり、SNSなどの発達で一人で子育てをする大変さを発信しやすくなったりした現在と比べて、当時はお母さん一人で抱え込んでしまうところはあったかもしれません。ただ、私自身は子育てを経験していないぶん、今も昔も大変さ自体は大きく変わらないのではないかと感じています。
――確かに。「生きているだけで精一杯」というセリフが登場しますが、普遍的な苦労でもありますね。
片山 そうですね。当時を経験していない方でも、今のご自身と重なる部分を見つけられる映画だと思います。

――片山さんがお芝居のお仕事をされていくなかで、大事にしているマイルールはありますか?
片山 自分と地続きでいたいので、必要以上のことはやらないようにしています。必要以上に驚いたり、説明するお芝居はしたくないなと。たとえばごはんを食べているシーンなどでもよく感じるのですが、日本人は「口にものが入っている状態でしゃべらない」「机に肘をついて食べるのは行儀が悪い」という教育を受けてきたからこそ、演じるときも礼儀正し過ぎる気がするんです。でも、一人でいるときだったら肘だってつくし、友だちや家族といるときは口にものが入っていてもしゃべるのが“普通”ですよね。椅子の座り方もそうで、姿勢よくしすぎず自分が好きな位置でお芝居をしたいと思っています。
――そうしたスタンスは、お仕事の中で徐々に生まれてきたものなのでしょうか。
片山 そうですね。お芝居を始めた最初のころは「手をどこに置いたらいいんだろう」「いつもどうしてたっけ」といちいち悩んでいました。でもあるとき、フランス映画を観たら家の中のシーンで俳優さんがめちゃくちゃ楽な姿勢で足も開いてお芝居をされていたんです。どうしても“お芝居”や“カメラ”を意識しちゃうと楽でいようとしなくなってしまうけれど、そうじゃないと思い切れました。
この意識はモデルのお仕事にも関係しているように思います。カメラマンさんに「片山さんはもう服を着ているんだから、ただそこにいるだけでいいです」と言われたことがあり、それってすごく難しいなと。ここでも“何もしない”が私のテーマになっています。

――役者としてのターニングポイントは、やはり映画『茜色に焼かれる』でしょうか。
片山 そうですね。尾野真千子さんは本当にカッコいい方でした。居酒屋で本音を話し合うシーンの撮影では、さっきまで楽しくしゃべっていたのに「よーい、スタート」の瞬間にぶわっと泣かれるんです。ものすごく切り替えがお上手な方で、自分もそうなりたいと試してみたらまったくうまくいかなくて(笑)。そのとき、人には人のやり方があるから、自分のやり方をやるしかないと悟りました。私は一瞬で切り替えられるタイプではないので、ずっと集中しているやり方を貫いています。
――今後の目標はございますか?
片山 韓国語を勉強しているので、いつか韓国の作品に出たいです。後はやっぱり、面白い作品に出合いたいです。ただ台本を覚えて現場に行くよりは、自分がそこにちゃんといたいと思えるような面白い作品、尊敬できるキャストや監督の方とご一緒したいです。
――片山さんが面白いと思う作品が気になります。
片山 一つは、脚本がしっかりしている作品でしょうか。ドラマ『地面師』や『エルピス-希望、あるいは災い-』のように計算し尽くされた脚本に惹かれます。また、韓国の映画『三姉妹』を観たときは度肝を抜かれました。皆さん演技力がとんでもなく高いのに、演技合戦にならずに映画の一要素として作品自体のクオリティに貢献していて、感動しましたね。ああいった俳優の演技力を存分に発揮できる作品に出合いたいです。


映画『FUJIKO』
原案・監督:木村太一
出演:片山友希、YOU、リリー・フランキー、MEGUMI、うじきつよし、竹下景子、イッセー尾形、岸本加世子ほか
6月5日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
配給:Atemo
© 2026 FUJIKO Film Partners
この記事の画像一覧
Interview & Text_SYO
Photograph_KAZUYUKI EBISAWA[MAKIURA OFFICE]
Styling_AKIRA MARUYAMA
Hair & Make-up_MARIKO ADACHI
トップス¥74,800、パンツ¥52,800(ANNA CHOI/ANNA CHOI CLIENT SERVICE)、ヒール¥49,500(POOLDE)、ネックレス¥28,600、左中指リング¥11,000、左中指ネイルリング¥11,000(JUSTINE CLENQUET/THE WALL SHOWROOM)
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