【ク・ギョファン】「彼はどんな初恋をした人なのか。演じる前にいつも想像するんです」映画『サヨナラの引力』来日インタビュー
――これまでかなり個性強めのキャラクターを演じてこられましたが、ウノはだいぶ印象が違いますよね。この役に挑んだことで新しい発見や試行錯誤はありましたか?
ク・ギョファン この映画は正統派のラブロマンスですよね。僕がこれまで取り組んできた作品は、どこかでもめごとが起きたりするものなんですが、これは最初から最後まで愛について語っています。そういうのは本当に初めてだったので、キャラクターに向き合うことから始めました。これまでの役でも愛を注ぎ込む努力はしてきたんですが、それとは全くアプローチが違い、ひたすら深く愛という感情に向き合わないとできない役ですから。それで、彼が映画のストーリー以前にどういう初恋をしてきたんだろう、ということを思い浮かべました。じつはこれはウノに限ったことではなく、いつもやっていることではありまして……『新感染半島 ファイナル・ステージ』(20)で演じたソ大尉のときも、同じようなことを考えていたんですよ(笑)。

――この作品では、大学生から10年以上の長い時間経過がありますよね。初恋のみならず、学生時代にあったことや仕事を始めたばかりのころとか、ご自身と重ねることもあったのでは?
ク・ギョファン 僕もウノも、ものを作る立場にありますよね。僕は映画、ウノはゲームディレクターなので、何かを作り出すときに、共通する思いみたいなものはあると感じていました。たとえば、作りたいものに向かってあきらめないこととか。また、ウノは自分が作ったゲームで遊んでいるユーザーを初めて見る瞬間がおそらくあったはずですが、それってすごく貴重なときなんですよ。僕も初めて携わった映画を観てくださった方にお会いしたときに、「楽しかったです」と言われたことがあるんですが、今でも忘れることができませんから。
――ウノから影響を受けたことは?
ク・ギョファン ウノは自分の仕事に対するビジョンに信念があり、作ろうとする作品に対して愛情を持って取り組み、決してあきらめません。しかも、彼が作るのはゲーム。ゲームはユーザーを喜ばせるためにあるものですが、彼はそのように作るのではなく、まずは自分が好きなもの、その魅力をユーザーにアピールして好きになってもらおうとするクリエイターです。そういう姿は、俳優としての僕にも影響を与えてます。僕も自分の好きな映画、芝居を通して、皆さんに好きになっていただければいいな、と思いますから。

Interview&Text_MASAMICHI YOSHIHIRO
Photograph_KAZUYUKI EBISAWA[MAKIURA OFFICE]
WRITER
1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。






