【ネタバレ有り解説】氷河期世代目線で語る『スワロウテイル 4Kリマスター』が超傑作な理由
傑作と呼ばれる理由のために昔話しますわ
大好物映画が4Kリマスターされたので、さっそくおかわりしました。っていうか、何度観たかしらんけど、『スワロウテイル』です。観るだけじゃなくて、主題歌の「Swallowtail Butterfly 〜あいのうた〜」と劇中歌の「マイ・ウェイ」もカラオケしまくったわ(観ると歌いたくなるのよね)。1996年の映画だから、知らない、観たことない、っていう方も多かろうと思います。岩井俊二監督が「巨匠」と呼ばれるゆえんとなった作品なんですよ〜。

とんでもなく照明暗いシーンが多いだけに、4K化はありがてぇ!
アラフィフ世代以上が今観ると、「あー、バブルが弾けてなかったらこうなってたかもね」っていう世界。お若い世代が観ると「なにこの異世界!」になるはず。物語はググってくで。さんざんこすり倒されているから。ここではこの映画が公開された当時、どういう時代でどういうマインドを持っていたかをお話します。そうすると、傑作の理由も分かるから。
実際には短かったバブル経済期間(1986〜91年)なので、この映画が公開された1996年はとっくにバブルが弾けて超不景気……と思うでしょう。ノンノン。違ったんですよ。知識だけでご存じの方にはピンとこないかもしれませんが、少なくとも20世紀の内は、その名残がムンムン残ってましてな。もちろんジュリアナや六本木のディスコはとっくに姿を消し、DCブランドブームも廃れ、不動産が大暴落して地上げ屋も来なくなり(ちなみにバブル期にあった地上げのトンデモ話はガチです)、分かりやすい景気のよさみたいなのはなくなってたんだけど、ふんわりと「近いうちに景気は戻るでしょ」みたいな期待感があったの。だから、『スワロウテイル』のイェン・タウンみたいに、出稼ぎの移民が増加した多国籍多文化の街のイメージが湧きやすかったのね。ぶっちゃけ上野あたりがそれに近い感じになってましたしね(中国語系ではなく中東系だったけど)。
WRITER
1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。







