「登場キャラ全員、完全に潔白ではない」映画『クレイフェイス』ナオミ・アッキーインタビュー

DCコミックを原作にしたスーパーヒーロー映画シリーズ、DCユニバース。このユニバースでは、スーパーマンなどのヒーローはもちろんだけど、ジョーカーをはじめとするヴィランの人気が高いのが特徴。そんなヴィランのなかでも、かなり「ヤバい」キャラクターを単独映画化したのが『クレイフェイス』です。原作ではホラー映画俳優が歪んだ顔のクレイフェイスと呼ばれる仮面をつけて犯罪を繰り返す、というキャラ。それを、事件に巻き込まれたハリウッドのトップ俳優が顔を無惨に傷つけられたために名声を失い、ある方法で顔を再建したことでダークサイド落ちするという物語に。その「ある方法」を編み出した科学者ケイトリンを演じたのがナオミ・アッキー。

Naomi Ackie 1992年、イギリス生まれ。2016年の『レディ・マクベス』で注目され、2019年の超大作『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』に抜擢。2022年の『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』で主演を務めた。
「この作品に最も惹かれた理由のひとつが、誰も完全に潔白ではないというところでした。登場キャラ全員、選択することに大きなグレーゾーンがあるんです。この物語は、最終的にマットが悪者のクレイフェイスになることを観客は知っていますよね。だからこそ、彼がクレイフェイスになるところまで、全てのキャラクターを自然に導いていくための、最初の段階での準備がとても重要でした。私にとって大切だったのは、単純にケイトリンはどういう人なのかといったことではありません。それよりも、彼女は何を求めているのか? ということ。彼女にとって、全ての人間関係よりも優先してほかの何よりも欲しいものは何なのか。それを求めるあまり、どうして彼女はこの状況に自分自身を置くことになるのか。そこをしっかり固めると、あとは他のことが自然に組み上がっていきました」
ケイトリンは、実験中の新薬を顔の傷で自暴自棄になったマットに投薬。すると、マットの顔はなんと元通り……なんだけど、そうは問屋がおろさず。
「私は誰かを裏切ったことがないので(笑)、実際にケイトリンのような立場に自分の心を置いて、その感覚を信じて演じるというのは、かなり奇妙なことに感じたんですよね。この映画には、ある意味『ノワール』的な雰囲気があります。ホラーという観点で考えたとき、私がこの映画で最も恐ろしく、そして作っていて最も面白かったのは、キャラクター全員が精神的に崩れていくところでした。善なのか悪なのか、彼ら自身の選択によって、少しずつ変えられていく過程を見るのが本当に面白かった。また、ガチのホラー要素もあるんですよ。ケイトリンの研究室には、実験皿の上に肉のような、ものすごく気持ち悪いものが載っていたりして。いろんな角度から、観客を“うわっ”とさせるものが仕込まれているんです。それがすごく楽しいんですよね」
『クレイフェイス』

story 大人気俳優マット(T・R・ハリス)はある事件で顔に傷を負い、キャリアと名声を失う。絶望した彼は、ケイトリン(N・アッキー)が研究中の薬の治験を受けることに。すると、顔の傷は見る間に治るが、治験薬が及ぼす影響はそれにとどまらず……。

監督:ジェームズ・アトキンス/出演:トム・リス・ハリス、ナオミ・アッキー、マックス・ミンゲラ ほか/配給:東和ピクチャーズ、東宝/公開:10月30日より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
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text : Masamichi Yoshihiro
photo : © Getty Images
otona MUSE 2026年11月号より
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1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。
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