季節は春、新しい始まりのタイミングに相応しい香り。風間ゆみえの「香水と私の8つのストーリー」vol.4
BUTTERFLY EFFECT
EAU TRIPLE –ROSE DE DAMAS–
BY OFFICINE UNIVERSELLE BULY
小さなはじまり
靴をはきかけたときに小さな蝶が
飛んできたので息をひそめた。
足元からふわり立ち上る花の香りに誘われてきたのね。
ここに蜜はないのごめんね。
そんな出がけの直前に起きた出来事は、
いいことがありそうな気にさせて
私を少しご機嫌にしてくれた。
華やかなローズ、そのローズを膨らませる
温かみのあるジンジャー、ベチバー、
シダーウッドにムスクがアクセント。
そして、ビュリーの香水は
アルコールを使わない水性香水なので、
みずみずしくて、しっとりと肌になじみ、
つけていることも忘れそうなほど控えめだけど持続して香る。
自分でもなぜか分からないけど
シャワーのあと毎日脚に吹きかけている香りです。
TIME TO BLOOM
FLEUR DE PEAU
BY Diptyque
肌に咲く花
“フルール ドゥ ポー”は訳すと「肌に咲く花」。
その素敵な名前からどんな香りが浮かびますか?
きっと思った通りです。愛撫するようなやわらかな香り。
全体的におとなしい、これみよがしな華やかさを
好まないような......。甘くしっとりと香るアルデヒドが、
うまくふんわりと丸まり、ローズ、アイリス、ムスクの
充実した香りが 品よく漂う温かさが 気に入って、
ピンポイントでうなじというか、少し窪んだ風池(自律神経を整えたり、眼精疲労、
肩こりにもいいツボ)につけています。といっても、
ツボに香りが作用するのかは分からないけど......。
ふとしたときに香りが揺らいで届きます。
photograph:BUNGO TSUCHIYA[TRON](image), MAYA KAJITA[e7](cut out) styling & model:YUMIE KAZAMA art:EIICHI KASHIMURA
2023年 otona MUSE 5月号より