BEAUTY

香りは幸運を呼ぶラッキーアクション? スタイリスト風間ゆみえの「香水と私の8つの話」vol.1

香水ボトル スタイリスト風間ゆみえの「香水と私の8つの話」
近ごろ、ファッション界隈では、香りが幸運を呼ぶラッキーアクションだと話題に。香りは気を動かし、動くことで運気は変わるー。奇しくも季節は春、新しい始まりのタイミング。そこで今回はゆみえさん流の香りとの付き合い方を、ショートショートのような形でお届け。

香水と私の8つの話

皆さんは香水をつけますか? 私はほぼ毎日使います。植物療法のひとつである芳香(アロマ)療法としても芳香成分として香りを扱いますが、香りについて考えてみるときに私の日常ではこういう効能があるからこの香りを使おう、という感じではないようです、それはもう少しロマンティックで神秘性を帯びたもの。色香という言葉があるように、香りとはもっと佇まいがあり、おしゃべりで、感情豊かなものなのです。まるで生き物のような。 いい“匂い”だと感じる香りに包まれたい、纏いたい。そこには、ただただリラックスしたいという思いよりも、そこそこの緊張感、刺激を与えてくれることを望んでいてー。その刺激となる匂いの分子が嗅覚センサーに瞬間的に反応し、脳をくすぐるようにして香りが作り出す情景のなか、幸せな気分に浸るのです。その馥郁たる香りで、自分の足りていないと感じる部分をうめるように......。なんてことを考えてつけているわけでもないのですが(笑)、きっとそんな感じ。なりたいと思い浮かべる自分像を作り上げるような、肌を滑らかにメイクアップするように、服を素敵に着るように、香りも同じように纏っているのだと思います。 だから、着る服によって香りを選んだり、つけた香りによってそれに似合う服を選んだり、どちらも自分のその瞬間の気分に寄り添って行われる。そうやって私の人生には気づけばいつも香りが側にあるのです。 なので「ゆみえさんは何をつけているの? それは香水?」そう聞かれると嬉しくなります。正体が分からないくらいがいいからです。香りにはしっかりとそれ自体の個性があって、素敵な名前もある。でも、誰もが知るような名香でも、高名な調香師が創造した神秘的な香りの水も、私の肌の上で(体温で温められてふくらんで)私の匂いになる。その時点ではもう香水ではなくひとりの女性の匂いになるのです。 今回ここに紹介する8つの香水も、どれも素敵な物語を作り出せる今の私のお気に入りです。香水には酔ってしまう、どうしても苦手だと言うひとも少なくはないですよね。以前、私はお寿司が苦手だったのですが、食べられないというと「人生損してるぞ!」なんて言われて「私の人生、お寿司で変わりませんから」そんなふうに思っていたけど。いやいや、今私、香水が苦手なひとにそれを言ってしまいそう(笑)。

NAKED HEART
Huemul
BY FUEGUIA 1833

脱げないドレス

Huemul BY FUEGUIA 1833

香水〈ウエムル〉100mL¥41,800(FUEGUIA 1833/FUEGUIA 1833 Roppongi)、その他本人私物

私にはバスタイム後、ランジェリーや服を纏う前に 3プッシュ、裸のままに吹きかけている スキンパフュームがある。 それはヌーディに艶っぽく香ってくれる。 肌にぴったり吸いつく透明なベールを纏う感じ。 植物性のムスク、ミルキーウッドが甘く香るマッソイア、 姿を見せないジャスミンが重なり合う ......、 透きとおるように軽い。 これは香水をつけているという感覚とはまた違う、 私をプロテクトするお守りのような、 つまりもっとインティメイト(密接)な関係。 まるで脱げないドレスみたい。

MONOCHROME CHIC
PORTRAIT OF A LADY
BY FREDERIC MALLE

似合いたかった

PORTRAIT OF A LADY BY FREDERIC MALLE

香水〈ポートレイト オブ ア レディー〉50mL ¥33,880(フレデリック マル/ブルーベル・ジャパン)

「ある貴婦人の肖像」タイトルの響きに惹かれて手に取った香りは、 酔ってしまいそうなほど濃厚なのに、美しくて品のある媚びる感じのないセクシーさ、静謐さのある夜の香りのイメージもあって、表面に甘さを見せないスパイスやウッディが落ち着いていて甘く官能的。 友人がつけていてよく似合っていた。手放してしまったけど、もしかしたらいつかは似合うときが来たのかもしれない? または変身願望がそう思わせる? 私じゃない、なってみたいと思う女性像の香り。

photograph:BUNGO TSUCHIYA[TRON](image), MAYA KAJITA[e7](cut out) styling & model:YUMIE KAZAMA art:EIICHI KASHIMURA
2023年 otona MUSE 5月号より

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