脱ぐ!歌う!全編英語!日本を背負い過ぎな山本耕史。ミュージカル『フル・モンティ』インタビュー

――ジェリーと山本さんが違うのは、彼が冴えない男の象徴みたいなところですけど。
山本 これといった特徴がないんですよね、ジェリー。一緒にストリップに挑戦するデイヴって役はちょっとぽっちゃり、ハロルドは紳士だけどちょいダサい、ホースはアフリカン・アメリカンとかそれぞれ見た目やキャラ設定に特徴があるんだけど、ジェリーは本当に何もない。マッチョでもないし、服もダサい。こんなにも特徴がない役だからこそ、僕に声かかったってのはあると思うんです。深読みしすぎかもしれないけど。
――え、それはどうして?
山本 『RENT』もマーク役がそうだったんですが、そもそもアメリカ人キャストの中でアジア人がやるような役じゃないんですよ。でも、トレイとしては「異質だけど突出した存在として人種を設定から変えてもいける」と思ったんじゃないかな。それはジェリーにも言えることだと思うんです。
――それに、デイヴのように大柄な男との対比として、アメリカ人よりは華奢に見えるアジア人ってのもありですよね。
山本 そうそう。デイヴを引き立てるためには、ある程度細めの人が必要なんですよ。それにイーサンがすでにデカい。スティーヴンと僕が並んだら、僕なんてぜんぜん小さく見えますよ。日本人だけのキャスティングで、若くて華奢な子たちと芝居したら、僕はとてつもなく大きく見えちゃうかもしれないけど、このカンパニーだったら僕は中肉中背。ジェリーのためには、ちょっとだらしなく見えるくらいの体型にしないとね。
――日本人キャストでいうと、ゆりやんレトリィバァさんがジョージー役に。
山本 いや、ほんと楽しみですし、むしろどういう気持ちか聞いてみたいですよ。だって、彼女、初めてのミュージカルでブロードウェイのキャストと共演じゃないですか。英語はお上手ですけど、英語セリフは初めてでしょうし。ワクワクしてるのか、それとも怖いのか、早く聞いてみたい。
――『RENT』は日本人ひとりだったから、今回はちょっと気分が違います?
山本 クリスタル・ケイさんはいたけど、国籍で言うと日本人は僕だけでしたからね。あのとき、どこかのメディアの方から「山本さん、日本背負いすぎじゃないですか?」って言われたんですけど、ほんとそれ(笑)。だから今回はゆりやんさんがいることで、心強いですよ。稽古のときに分からない英語の指示来たら、ゆりやんさんに聞いちゃおうと思ってます(笑)。
――え、演出に通訳はいないんですか?
山本 そうなんです。各セクションに必ず日英の通訳さんがついているんですが、演出にはいないんです。だから、分かったフリするしかない(笑)。
――すご。
山本 でもね、勉強になるんですよ。歳とキャリアを重ねれば重ねるほど、先生になってっちゃうでしょ。習う、学ぶことってすごく少なくなるんです。それが、このカンパニーだとつねに生徒側。年齢で上下関係はありませんし、学ぶことばかりですごく新鮮ですよ。
――いやー、いい現場。本当にご縁ですねー。
山本 僕のキャリアは全てご縁で成り立ってると思ってます。とくに日本の作品は、監督やプロデューサーからお声をかけていただいて次の仕事、ってことが多いので。ただ、それが海外でも発生するとは思ってもみませんでした。
――じゃ、日米合作ではなく、次のご縁はウエストエンドかブロードウェイで!
山本 そんなことないでしょ……とも言い切れないですよね。『フル・モンティ』が実現しちゃったから(笑)

日米合作ブロードウェイミュージカル「フル・モンティ」
演出:トレイ・エレット/脚本:テレンス・マクナリー/作詞・作曲:デイヴィッド・ヤズベック/出演:山本耕史、Adam Chanler-Berat、Greg Hildreth、ゆりやんレトリィバァ、John Hemphil ほか
原作:映画『フル・モンティ』(97) ディズニープラス「スター」にて配信中
チケット一般発売6月6日(土)からスタート!
東京公演
8月19日~9月7日(全24回)
会場:東京国際フォーラム ホールC(東京都千代田区丸の内3-5-1)
料金:S ¥17,500、A ¥11,500、B ¥6,000
大阪公演
9月10日14日(全7回)
会場:新歌舞伎座(大阪府大阪市天王寺区上本町6-5-13 YUFURA 6F)
料金:特別席 ¥18,000(昼)¥17,000(夜)、S ¥16,500(昼)¥15,500(夜)、A ¥11,500(昼)¥10,500(夜)、サイドシート ¥9,000(昼)¥8,000(夜)
この記事の画像一覧
Interview & Text_MASAMICHI YOSHIHIRO
Photograph_KAORI IMAKIIRE
Styling_TOM KASAI
Hair & Make-up_ KAZUHIKO NISHIOKA
WRITER
1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。













