【ネタバレあり解説】観た人それぞれにツッコミたくなること満載で最高『プラダを着た悪魔2』
進化したテーマとおしゃれ
ということで、公開3日で日本の興収や約10億円、世界全体で2億ドル超えのロケットスタートをきりました『プラダを着た悪魔2』。もう観たわよね。ええ、観たこと前提でいきますよ。
06年版のテーマは「組織、社会の一員としてお仕事を続けるためには、どこにモチベを置くか」でした。アンディ、エミリーともに20年で着実に経験を積んだので、今作はそこをさらに掘り下げた「成功体験に頼らない信用と信頼」が大テーマ。いや、いろいろあるのよ。06年版だって、パワハラ、ガラスの天井などなど、当時の社会にはびこるダメな常識をシニカルな笑いであぶりだしたんだから、今作もそう。
たとえば、ジンちゃんががんばったミランダvsコンサルのカフェテリア密会なんて「コストカットするのいいけど、浮いたお金全部コンサルいくじゃん」。はたまた死亡フラグ立ってた会長他界後に化繊のトレーニングウェアのドラ息子就任ってのも前者同様大企業あるあるの話だし。ミラノでのミランダvsガガ様とか、ゴシップでも最近みられない「雲の上で繰り広げられるセレブバトル」だし。編集会議でのミランダvs若手編集者も、どんなに経験豊富でコネもパワーもある編集長でも読めない、デジタルネイティブ世代の情報処理速度の現れだし。いや、めちゃくちゃある。そしてツッコミどころも満載なの。
ただ、前作もそうだったように、観た人それぞれにツッコミどころがあるから、鑑賞後が盛り上がるってもんよ。それもSFでもファンタジーでもなく、リアル世界のコメディだから、自分ごとに落とし込めちゃう。あー、こういう劇場公開映画、ほんっと少なくなってきたから最高よ。

ビスチェでギュッと絞ったトップスにゴルチエ様のワイドパンツって……元ネタはマドンナね。
で、最高だったのはやっぱファッションね。前作は某ウィンター様などを怒らせていたので、パトリシア・フィールド姐さんが奔走してかき集め。ぶっちゃけ言いますと、前作のとき、各ブランドは「どうなるかわからん」映画には一切手を貸さない! とお怒りだったわけですわ。だからこそ、本人登場どうもどうもなヴァレンティノ以外は、パット姐さんのコネとコーデセンスがギラギラ光っていたのよねー(それゆえに、当時はSATCとの比較をよくされていましたもの)。
だがしかーし、パット姐さん、御年84歳。もう好きにやりたいでしょうよ。しかもあのお方、めちゃいい人&仕事大好きだけど、前しか見てないから、続編を手掛けるなんてノンノン(と言ったかはしらんけど)。つーことで、今回はモリー・ロジャースが担当。彼女も申しております、「私たちはパットがやったことを受け継いだだけ」と。
(ちなみに、そんなパット姐さんは、23年にドキュメンタリー映画と回顧録を発表、24年にブティックを再開店、25年にサマンサことキム・キャトラルの結婚式の衣装スタイリングをしたりで、やりたいことやりまくりでお元気です)。
WRITER
1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。










