薪で沸かす大正時代の銭湯にアンティーク時計店【愛媛・八幡浜】で叶うレトロ巡り|旅エッセイ

素晴らしかった「伊丹十三記念館」
そうなってくると、確かに愛媛には、ずっと行ってみたいと思っていた昔ながらの銭湯がいくつもあるし、麻雀をしながら「伊丹十三記念館は行ったほうがいいよ」とさらにオススメまでされてしまって、さっきまでただの思いつきだった愛媛が、どんどん現実味を帯びてきた。何でもない記憶が、思いがけないところで思いつきのキッカケになったりして、人生の小さな伏線回収をしているみたいだなあと思う。
愛媛か北京か、それが問題だ、ってな具合にまあまあ真剣に悩んでいるうちに、日付が変わるまで1時間を切っていた。理屈で考えれば、もちろん北京だった。もう航空券は買っていて、行きたい場所も食べたいものも決まってる。それなのに、気持ちはすっかり愛媛に向いていた。
予定は未来の自分のために作るものだけど、その未来が来たとき、必ずしも気持ちまで予定通りとは限らない。わたしは自分を言いくるめるのが得意だし、今こんなに愛媛に行きたいなら、その気持ちに従ってみたほうが絶対いい。

麻雀中、自分の番がくるまでの間に、サッとスマホを開き、北京行きのキャンセルと愛媛行きの購入を、あれだけの悩みとは釣り合わない軽さでポチッと押した。23時30分、明日の行き先が北京から愛媛に変わった。
photograph & text:MISATO SHIMIZU
WRITER
タレント・モデル・俳優
清水みさと
タレント、モデル、俳優など幅広く活動。サウナ好きが高じて、「サウナイキタイ」のポスターをはじめ、ラジオ「清水みさとの、サウナいこ?」(AuDee/JFN全国21局ネット)のパーソナリティーを務めるほか、TRANSIT「世界のサウナ巡礼記」、るるぶ「あちこちサウナ旅」、リンネル「食いしんぼう寄り道サウナ」、オレンジページ「本日もトトノイマシタ!」など多数の連載を担当。
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