【河合優実・山崎エマ監督対談】親御さん、子どもに戦争や難民のことを分かりやすく伝えるチャンスです!映画『モンキービジネス』
――しかも映画も絵本も永遠に残るものですから、後悔ないようにやらないといけませんよね。
山崎 そう。自分がいなくなった後でも残る物語を作りたい、と思ったのもレイ夫妻がきっかけだし、ジョージが目標。それがキャリアの物差しになっていて、あこがれでもあるんですよね。今年初めて発売した書籍も、私としては初めての経験でしたけど、書き終えてみるとレイ夫妻の生き方が私の人生の一分になっていると実感できましたし、彼らのドキュメンタリーを作ったことも日本語吹替版をこのタイミングで出せたことも全部つながってる、と思っています。
河合 その点、俳優はいつもひとり作業なんですよね(笑)。現場に行けばキャストとスタッフと一緒に切磋琢磨して、思いを分かち合えるんですが、基本的には「読み解く」という作業も俳優の仕事の大部分を占めるので、まず、ひとりで家でひたすら考える。だからこそ現場で初めて考えをシェアすることが楽しく感じるんだと思います。私たち俳優の仕事も、レイ夫妻と同じように、いろいろな経験をしたうえで芝居をすることで次の世代に残すものができる、と感じています。私はまだまだですけどね。
山崎 いやいや。河合さんをはじめ、俳優の皆さんも0から1のクリエイトをされてますよ!

――すごくいいコラボレーションですねー。監督、河合さんの声のお芝居をご一緒して、フィクション映画撮ってみたくなったりとか?
山崎 いえいえ(笑)。でも、何があるか分かりませんよね。今はドキュメンタリーに命をかけていろいろなことをやっていきたいですし、ジョージと出会ったのも河合さんと出会えたことも全部ご縁ですから、このご縁を大事して研鑽をつんでいくことで、何か別の形になるかもしれないですね。今回、短い期間でも見えたことがありますし、それがとても刺激になってるし、今後の河合さんがいない作品でも影響があると思っているんです。この先のキャリアの中で、おたがい影響し合ってたら、それが1番嬉しいかな。
河合 私もそうですよ。すごく影響受けましたし、このご縁は大事にしたいと思ってます。
――近いけど別の業界にいる人同士がリスペクトしあって、陰ながら応援しあってるのってすごくいいですよね。
山崎 さっきも言ったとおり、私がこの作品を作った時点の年齢の方と今ご一緒できていること自体が奇跡だし、運命なんですよね。
河合 私の年でこれを作ったっていうのが本当にすごいです。想像できません。
山崎 必死でしたから。リサーチもそうだし、お金集めるのも大変。でも、やりたいことに向かっていく揺るぎないパワーがあったんでしょうね(笑)。
――最後に日本語吹替版をこれからご覧いただく方へおすすめを。
山崎 8月は夏休みなので、子育て層にも足を運びやすいタイミングと思ったんですけど、この映画に切っても切り離せない背景である戦争も、日本では終戦記念日のある8月にリンクします。第2次世界大戦のことだけでなく、今起きている戦争などあらゆることの入口として本作を観ていただいて、学んでもらいたいなと思います。私自身、4歳の息子がいることで、息子が育つ未来は不安が少なくなってほしいという思いがあります。そのためには歴史を知らないといけないし、知ることで今のいろいろな社会的な選択や判断につながっていくと思っています。「ジョージの知られざるエピソード」として観ていただくのもうれしいですが、レイ夫妻のことに興味を持っていただけたら、たとえば夏休みの自由研究の題材にしていただいたり。そうやってこの物語が広く届いて、安心な未来へ向かう勇気をもらえるんじゃないか、と思っています。
河合 親子でこの映画をご覧いただいたとき、お子さんが「どうしてこの2人はパリから自転車で逃げなきゃいけないの?」とか「この夫婦はどこの国の人なの?」とか質問されると思うんです。それに対してきちんと答えようとすることで、いろいろなことを考え直すきっかけになると思います。またそうすることで、今の社会でも、自分と違う背景を持つ人に対する接し方が変わったり、そのときにレイ夫妻のことをちょっと思い出したり。人と人が手をとりあって思いやりのある社会への入口になるような作品だと思うので、夏休みはぜひともお子さんとご一緒に映画館へ足を運んでいただきたいです。

『モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険』日本語吹替版
story ドイツ出身で南米を経てパリで児童向け絵本を作っていたレイ夫妻。第二次世界大戦が始まり、パリがナチスドイツの侵攻を受ける直前に自転車で脱出し、アメリカで『おさるのジョージ』をヒットさせる。レイ夫妻の数奇な運命を描くドキュメンタリー。
監督:山崎エマ/出演:ハンス・レイ、マーガレット・レイ ほか/配給:シネリック・クリエイティブ、エスパース・サロウ/公開:8月14日より、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
© 2026 シネリッククリエイティブ
この記事の画像一覧
Interview&Text_MASAMICHI YOSHIHIRO
Photograph_KAZUYUKI EBISAWA[MAKIURA OFFICE]
Styling_HIROMI SHINTANI
Hair&Make-up_ TAKAE KAMIKAWA[mod’s hair]
河合さん衣装クレジット■スカート¥90,200(Mame Kurogouchi)
イヤーカフ¥9,350(STELLAR△HOLLYWOOD)
Mame Kurogouchi
http://www.mamekurogouchi.com/
STELLAR HOLLYWOOD
03-6419-7480
WRITER
1972年、東京都新宿区生まれ。大学在学中からゲイ雑誌『バディ』編集部で勤め始める。卒業後、音楽誌、情報誌、女性誌などの編集部を経て独立。『sweet』、『otona MUSE』(共に宝島社)で編集・執筆のほか、『an・an』(マガジンハウス)、『家の光』(家の光)、『with』(講談社)、『J:COMマガジン』(J:COM)など多くの媒体で、インタビューやレビュー記事を連載。テレビ、ラジオ、ウェブなどでも映画紹介をするほか、イベントでの解説、MCも。ゴールデングローブ賞国際投票者、日本アカデミー賞会員、日本映画ペンクラブ会員。





















