韓国でパスポートを紛失。どうすればいい?何が必要?『緊急旅券』を取得したリアル体験レポート
さあ、勝負の火曜日です。ドーミーインにスーツケースを預かってもらい、書類や現金や写真とボールペンを握りしめて徒歩で向かいました。9:30から受付とは聞いていましたが、9:00前に到着してやりましたらば、ツインツリータワーという立派なビルには警備の方がたくさんいて、1階には日本大使館訪問者用の受付がありました。このビル、どう考えてもおカタい企業がたくさん入ってる風味で、1階で写真なんかパシャパシャ撮ってたら白い目で見られるムードしか漂っていなかったので、写真はありませんすいません。あ、もちろん大使館内も写真はNGでした。そりゃそうよね。
「日本大使館は9:30からなので、ここで少しお待ちください」と日本語でていねいに説明され、時間少し前に「そろそろ大丈夫なのでどうぞ」と、エレベーターのボタンを押してくれました。ちなみにセキュリティカードがないとエレベーターのボタンすら押せない高セキュリティのビルですから、くれぐれもお行儀よくしておきましょう。実際待っている間、韓国語でなにかしら叫びながら詰め寄っていたご年配の男性は、警備員の方に促されサラッとつまみ出されていました。
ツインツリータワーA棟の8階にある在韓日本大使館は、入館時に手荷物検査やセキュリティチェックがあり、受付で飲料は預けます。スーツケースがある場合も入口に預けることになりますから、館内には必要なものだけ持って入る準備をあらかじめ、しておきましょう。

ドーミーインから仁寺洞を徒歩で向かう道。仁寺洞は雑貨や食器の店がたくさん並んでいて、休日は観光客でワッショイしていました。
当然、一番乗りだった私(でも、同様にパスポートを紛失したと思われる日本人の方は数名後ろに並んでいました)。受付では日本語が堪能な韓国人スタッフの方に警察の紛失届はあるか、写真はあるか、現金は用意してあるかなど簡単な質問を受けます。準備万端な私はドヤ顔で番号札をもらって窓口で呼ばれるのを待ちます(まあ、1番だからすぐ呼ばれたんですけど)。窓口職員の方もとっても日本語が堪能でいらして、じゃあ『帰国のための渡航書』を出そうね~とおっしゃるので「これこれこういう事情で『緊急旅券』の発行をお願いしたいんです」と訴えかけました。すると「?」という表情のあと、「なるほど、ちょっと領事に確認してきますね」と待つことになります。ちなみに私以外の『帰国のための渡航書』の発行を待っている方たちは、比較的さっぱりとそれを手にして退出していきます。
「1番の方」と呼ばれると、窓口職員の方と私の間には分厚いガラスがあり、めちゃめちゃ姿は見えるんですけど、会話はおたがい受話器を取って行うという「韓国ドラマの刑務所のシーンとかで観たことある光景」の方式。なんでだろうこれ、暴れる人とかいるんですかね、もしかして。後日調べたところ、職員の安全のため、ここ防弾ガラスなんだそうです。書類はガラス窓の下を行き来する、引き出しみたいなものを介してやりとりします。「領事に確認したところ、緊急の理由を証明するものと戸籍謄本が必要なんですが、ありますか?」と問われます。私、戸籍謄本だけは用意できていなかったのですが、これが……どうにもこうにも絶対に必要だったんです。「マイナポータルなどでも今出せないのなら、戸籍謄本をご家族に取得してもらって写真を送ってもらって、後日、原本を必ずここ在韓日本大使館に送る、という流れでも対応します」とおっしゃっていただき、最後の手段・実家の母にTEL。もしもし、あら、どうしたのアンタ、平日の朝から珍しいわね。パスポート失くした。あらまあ。え、韓国にいるのに? そうよね、お友だちと旅行行くって言ってたわよね。戸籍謄本がいるの? わかった。お母さん市役所行ってくるから、ちょっと待ってて。大丈夫、うちから近いのよ、市役所。
……と、異常にものわかりのいい実母からものの30分後には戸籍謄本の写真が送られてきました。まあピントがボケボケなものですから何度か撮り直しを頼むことにはなったのですが、発行された番号などまできっちり写った写真を格闘の末にゲット、用意していたeチケットの写真や社用の出張の行程などと共に「これが領事のメールアドレスです」と渡されたアドレスに送信し、「発行できる場合は3時間後くらいになるので、15:00くらいにまた来てください」と正午前には送り出されました。持つべきものは! なにごとにも動じない母! お母さんありがとう! 相変わらず、肝っ玉が巨大で救われたわ!

大使館近くの光化門広場では、釈迦の誕生日を祝う奉祝塔が設置されておりました。おめでとう釈迦。センイルチュッカヘ。おかげで1日帰国が遅れたけど、そもそもそれも釈迦のせいじゃないもんね。
ちなみに、この大使館で申請時に私が提示&提出した■/記載した□内容を再度おさらいすると、下記です。
■身分証としての運転免許証
■ソウルの警察署でもらった紛失届証明書(LOST PROPERTY REPORT)
■証明写真2枚
■戸籍謄本の全面が写るよう複写した写真(実家の母が震える手で撮影したものをLINEで受け取りました)
■戸籍謄本の原本をいつまでに在韓日本大使館に送付します、という誓約書(日付とサインを記入するだけです)
■緊急旅券の発行の必要を証明する、eチケットや業務内容を添付したメール
□今回、帰国する飛行機などの便名
□紛失したパスポートの番号
□紛失したパスポートの登録の際に使用した本籍地の住所
□日本での緊急連絡先の名前、住所、電話番号(実家の母親にしておきました)
□韓国での滞在先(ホテルの住所、電話番号、部屋番号)
さらに『緊急旅券』はICチップが搭載されていない、1年間が使用期限の限定的なものであることを説明されました。そして次の渡航先が緊急旅券で渡航できるかどうか、ご自身で確認してください、と日本の外務省のPDFが読み取れるQRコードを提示されました。リンク先は下記と同じだと思われますので、申請の前に確認しておいてくださいね。
もちろん、領事が緊急旅券の発行を許可してくれるかどうかは数時間後にしかわからないのですが、やれるだけのことはやった、と、晴れ晴れとした気持ちで大使館近くを散策。徒歩で南大門市場までおみやげの海苔を買いに行ったり、そういえば何も食べていなかったなあとコーヒーを飲んでホットクを食べていたらあっという間に過ぎました。再度大使館を訪れたら、先ほどから対応してくださっている窓口職員の方が、私を見つけてパッと明るい表情になり、「呼ぶからちょっと待っていてくださいね」とガラス越しにおっしゃいます。これは……いけたのかもしれない。

ご迷惑をおかけした皆様には、南大門市場のこちらで買った焼き立て海苔を配り歩きました。好評でなによりです。
「こちらが緊急旅券です。紛失届も日本での再発行時に必要ですからお返しします。戸籍謄本の原本は必ずすぐこちらに送付してください。住所はこちら。緊急旅券の有効期限は1年間ありますが、ICチップも入っていませんし、その出張が終わって日本に戻ったら、お早めに日本でパスポートの再発行をすることをオススメします」と、ムラサキ色の緊急旅券を渡され、説明されました。料金は現金で57,000ウォン。ちょうどあるかと思ったら細かい紙幣がなく、「あ、ちょうどあると思います! ……スイマセン、ウソをつきました」と60,000ウォンを差し出したら、職員の方は顔をそむけて笑いをこらえながら「大丈夫ですよ、おつりはあります」と、このあたりからは謎の連帯感が生まれていたため、穏やかなやりとりでした。本当に本当に、ありがとうございました。数日後にはまた韓国にまいりますが、いい取材をして日本の方にも韓国の方にもお役に立てるよう頑張ります。的なことをまっすぐ目を見て伝えたら、職員の方はちょっと照れながら「お疲れ様でした」と送り出してくれました。情が厚くて、親切で、ちょっとシャイな韓国の方たち。疲れきってボロボロでしたが、私やっぱり韓国が、韓国の方たちが好きだわ。と思いながら在韓日本大使館を後にしました。

空港に向かうための安国駅のバス停で、上司や友人や両親に報告するため発行ホヤホヤの緊急旅券を撮影。赤でも青でもなく、ムラサキなんだねー。
というわけで、ほうほうのていで帰国。仁川空港でも羽田空港でも何度もムラサキのパスポートを二度見されながら、「ああー、コイツ、パスポート失くしたんやな」とニヤニヤされながらも、これほど切実に家に帰りたいと思ったことはありませんでした。出張前、日本にいられたのは2日間のみ。会社では「あのYがパスポートを紛失するなんて珍しい」的に引かれつつも「まあ、あいつならどうとでもして帰ってくるだろ」と誰も心配していなかったことにも気づいており、とりあえずみやげのお菓子やニキビパッチをバラ撒き(上司には焼き立て海苔とラーメンをもちろん渡しておきましたYO!)、2日後には成田空港に向かいました。
otona MUSE Y
EDITOR
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